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渡辺由美子の「誰がためにアニメは生まれる」 第61回

【後編】興収20億円突破記念! Netflix・ツインエンジンのキーマンに舞台裏を聞く

『超かぐや姫!』大ヒットの裏には日本のネットカルチャー愛が深い宣伝チームの活躍があった

2026年05月03日 15時00分更新

文● 渡辺由美子 編集●村山剛史

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「事前に知ってもらう」宣伝が大きなカギに

―― 前編では、本編の配信に先駆けて公開したMVなどのおかげでお客様の期待値を高められたというエピソードが飛び出しました。そこで後編ではまず、宣伝チームの方々が果たした役割を具体的におうかがいできればと思います。

T 長坂 宣伝方針としては、今回「音楽」をフックに興味を持ってもらおうとプランを立てましたが、なかでも大事な最初の特報映像(2025年11月5日公開)で使用する楽曲として選んだのはryoさんの「ワールドイズマイン CPK! Remix」です。

―― その特報映像ではライブシーンに乗せて「ワールドイズマイン」が流れます。「世界で一番おひめさま」という歌詞を聞いた途端、かぐや姫と重なる部分や往時のニコニコ動画の盛り上がりを思い出しました。手応えはありましたか?

T 長坂 「ryoさん本人が作った新しいワールドイズマイン」はボカロを古くから聴いている方々に刺さるだろうという確信がありました。Xのインプレッションの最低目標は100万で、300万に届いたら良いなと考えていたところ、2日か3日で300万を超えまして。そこである程度、手応えを感じましたね。

 次に、特報映像経由で『超かぐや姫!』本編にも興味を持っていただくために、11月13日から「ロンリーユニバース」などの【歌ってみた】を立て続けに公開していきました。

 これらの【歌ってみた】動画は、「本編に楽曲提供しているボカロ作家さんの人気曲を『超かぐや姫!』のキャラクターが歌う」という見せ方にして、本編に期待をつなげられたら……という設計でした。

―― 原曲を別の歌い手さんが歌う【歌ってみた】の文脈に乗せることで、往年のボカロPの方々が『超かぐや姫!』で新曲を作っていることをアピールしつつ、キャラクター紹介につなげたのですね。

T 長坂 はい。そして【歌ってみた】を経て、12月2日公開の「『超かぐや姫!』本予告映像」で、かぐやと彩葉が出会ったり、仮想空間<ツクヨミ>でヤチヨたちと出会ったりするストーリー部分を初めて公開しました。また、12月初旬には本編オリジナル曲のMVも2種類投稿しています。

 MVでこの2本を同時期に出した理由は、対照的に見える2人の歌姫――かぐやとヤチヨ――を通して『超かぐや姫!』の魅力をわかりやすく伝えるためです。かぐやに日常を舞台にしたポップな可愛さ、ヤチヨに<ツクヨミ>ならではの煌びやかさ・格好良さをそれぞれ象徴させるというコンセプトでした。

―― 11月5日から順番に出していくタイミングも興味深く感じました。

T 長坂 期間に注目していただけるのはありがたいです。11月初頭に情報を出し始めて1月22日の配信まで、約2か月半に設定しました。

 なかでも意識したのは、事前宣伝の期間そのものを、お客様が盛り上がれる場にすることでした。そこで動画公開も長い期間をかけて少しずつではなく、毎週アップされるぐらいギュッと凝縮させたほうが、お祭りになって楽しく盛り上がれるだろうと。MVの配置などもそのコンセプトをもとにしています。

―― 期間を絞ったことで、ファンの方が集まる時間と場所を設定したのですね。

Netflixが宣伝で目指した「あの頃のインターネット文化」

―― Netflix側では、どのような宣伝を目指したのでしょうか?

Netflix宣伝担当 桒原(以下、N 桒原) 役割としてはまず「広く面を取る」ことです。デジタル広告を大規模に展開したり、全国でTVスポットCMをかけたりして、YouTubeなどにMVを見に行かないライトなエンタメファンにも知っていただけるような広告展開を実施しました。

N 桒原 たとえば屋外のサイネージ広告を使うことで、通りすがりの方々にも世界観やキャラクターのビジュアルを広く観てもらい、作品に関心を持ってもらえたらと。

 ただ、そうした役割がありつつも、今回の『超かぐや姫!』では広い面を取るだけではお客様まで届かないな、とも思っていたんです。

 そこで、ツインエンジンの長坂さんや橋本さんとかなり早い段階から宣伝についてご相談し、「まずは往年のインターネットカルチャーで育った方々に届かせる」という共通の目標を立てました。結果、Netflixとしての広告展開方針をより明確にできましたね。

 具体的には「広く面を取った上で、深く点で刺す」という2点をすごく意識しました。具体例として挙げられるのは、秋葉原駅前をジャックした屋外のサイネージ広告です。もし、単純に広い面を取ることだけを目的とするならば別の街という選択肢もあったかもしれませんが、深く点で刺すことも考えるとやはり秋葉原だと。

マスに広めるための大掛かりなマーケティングは、ノウハウと強みを持っているNetflixが担当した

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