メルマガはこちらから

PAGE
TOP

【建設×リモートワーク】定年後でも“パイロット”になれる時代が来た

特集
未来を変える科学技術を追え!大学発の地味推しテック

定年後に残るのは「現場仕事」ばかりなのか

 「定年したらゲーム三昧でのんびり暮らそう」という夢を見ていたのに、 気づけば物価も上がり、年金だけではちょっと心細い。いざ求人を探すと、出てくるのは建設、配送、警備…といった現場仕事ばかりだ。

 「リスキリングしろ」と言われても、腰も膝も自信がないし、炎天下での作業なんて想像しただけでツラい。でも、現場に行かずに「現場の仕事」ができるとしたら? そんな話がもうすぐ現実になりそうだ。

重機を“リモートワーク化”するARAV

 東大発スタートアップのARAV株式会社が手がけるのは、既存の建設機械をそのまま遠隔操作できるようにする技術だ。

 同社の遠隔操作ソリューション「REMOTE CONTROL Model V/E」は、建機に高精細カメラやセンサーを後付けするだけで、すぐに遠隔操縦が可能になる。

 現場の映像はリアルタイムでオペレーター側に送られ、PCの画面を見ながら専用コントローラーで重機を動かす仕組みだ。アームの動きや油圧の細かな反応まで忠実に再現されるよう調整されており、まるで実際に運転席に座っているかのような操作感が得られるという。

ノートPCとコントローラーで重機を遠隔操作

 遠隔操作で気になる「遅延」も、通信のタイムラグを極力抑える独自技術で解消。土をすくう、ならす、寄せるといった繊細な動きが手元の操作にそのまま追従し、作業の流れが途切れにくい。

 さらに、既存のバックホウに取り付けて自動化できる無人油圧ショベルRX「ヨイショ投入くん」も開発。国土交通省の安全基準をクリアし、現場投入も始まっている。単純作業はヨイショ君が自動でこなし、少し複雑な操縦だけ遠隔で人が行うことで、省力化と安全性の両立が実現できる。

“建設×リモートワーク”という新しい職業

 炎天下でもなく、騒音の中でもなく、自宅や事務所から画面を見ながら重機を操縦する──そんな働き方が、いま本当に可能になりつつある。

 モニター越しに現場を見ながらショベルアームを操作する体験は、シミュレーションゲームのパイロットそのものだ。

 定年後の再就職では現場作業が厳しい人でも、「家から働けて、重機を動かす」という新しい選択肢が生まれる。むしろ、定年後に楽しみたかった“ゲーム的な没入感”が、仕事として実現するという逆転現象かもしれない。

 現場は無理だけど、画面操作ならできそう。いや、むしろやってみたいかもしれない。

生成AIの影でフィジカルの技術もちゃんと育っていた

 最近は生成AIばかり話題で、「ロボットに任せるにはコストがかかる肉体労働しか人間には残らないのでは」と不安になっていたが、「体を使う仕事をデジタルで代わりにやる」というテクノロジーも着実に進化していた。

 「AIに仕事を奪われる」だけじゃなく、「AIと機械のおかげで、できる仕事が増える」。そんな時代が、建設DXから始まっているのかもしれない。

合わせて読みたい編集者オススメ記事

バックナンバー