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科学技術振興機構の広報誌「JSTnews」 第57回

【JSTnews12月号掲載】ムーンショット型研究開発事業 目標2「2050年までに超早期に疾患の予測・予防をすることができる社会を実現」課題名「複雑臓器制御系の数理的包括理解と超早期精密医療への挑戦」「ウイルス-人体相互作用ネットワークの理解と制御」

「誰」を優先対象とすべきか、ポストコロナ時代の新型コロナワクチン接種

2025年12月16日 12時00分更新

文● 中條将典

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 新型コロナウイルスの変異株や将来出現し得る新たな株に備えるためにも、新型コロナワクチンの継続的な接種は欠かせません。その際、誰を継続的な接種の優先対象にすべきかは感染拡大および重症化を抑制する上で極めて重要です。

 名古屋大学大学院理学研究科の岩見真吾教授、福島県立医科大学の坪倉正治教授らの研究チームは、2021年4月から22年11月にかけて、福島県在住の2526人を対象に新型コロナワクチンの初回2回接種および1回追加接種後に誘導されるIgG(S)抗体価の変化を、数理モデルと人工知能(AI)を融合させた独自手法で解析しました。IgG(S)抗体はワクチン接種や感染によって作られ、この数値が高いほど体内にウイルスに対する免疫が備わっていると考えられます。解析の結果、ワクチン接種を受けた人々の中には抗体価が高く誘導され、長期間にわたって維持される「耐久型」、抗体価の誘導が不十分かつ速やかに減衰する「脆弱(ぜいじゃく)型」、初期には抗体価が高く誘導されるものの、その後急速に減少する「急速低下型」という3種類の特徴的な集団が存在することを特定。脆弱型と急速低下型の集団は、早期にブレークスルー感染を経験していたことが判明しました。さらに、ブレークスルー感染を経験した人は、そうでない人に比べて追加接種後100日以内の血中IgA(S)抗体価が有意に低いことも明らかになりました。

新型コロナワクチンを初回2回接種および1回追加接種後に誘導されるIgG(S)抗体価の時間に伴う変化(縦軸の目盛りは10の対数)。平均型以外に、3つの特徴的な集団が存在することがわかった。

 今回の研究は、限られた医療資源を有効活用し、効果的なワクチン接種体制を構築するために有用なものです。将来のパンデミックや個人および集団レベルの免疫強化政策の立案にも役立つことが期待されます。

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