【JSTnews4月号掲載】NEWS&TOPICS 戦略的創造研究推進事業 ALCA-Next 技術領域「グリーンバイオテクノロジー」/研究課題「変動環境適応型の共生窒素固定作物の開発」
マメ科植物と細菌の共生関係のカギとなるたんぱく質領域を発見
2026年04月14日 12時00分更新
マメ科の植物は、根の根粒と呼ばれる器官に窒素固定細菌を感染させており、この細菌が大気中の窒素から生成したアンモニアを栄養として受け取る一方で、光合成産物を提供する共生関係を築いています。これまでに「NIN」と呼ばれるたんぱく質が、根粒の形成、根粒内部への微生物の感染、窒素のアンモニア変換に至る一連の過程で、遺伝子の働きを統括することが知られています。しかし、その仕組みをどのように獲得したかはまだよくわかっていません。
筑波大学生命環境系の壽崎(すざき)拓哉教授らの研究チームは、マメ科植物ミヤコグサを用いた実験で、DNA配列に結合するNINの領域の直後に15個のアミノ酸から成る短い配列が存在することを発見し、この領域を「FR」と命名。たんぱく質とDNAの相互作用解析と、人工知能(AI)によるたんぱく質の構造予測に基づいて、FRがDNAへの結合を安定化させる役割を果たし、多様なDNA配列に結合できるようにすることで根粒共生に必要な多くの遺伝子を同時に制御できるようになったことを明らかにしました。さらに、進化的解析から、このFRは根粒共生が出現する以前から一部の植物に存在していたことがわかりました。
この研究成果は、たんぱく質のわずかな構造変化が新たな生物機能を生み出す仕組みを示したものです。将来的には、窒素肥料への依存を減らす技術の開発や、植物と微生物の共生の人為的な設計により、持続可能な農業に貢献することも期待されます。
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