雑談、お絵かき、DJ、コーディング……拡大し続けるコンテンツを支えるプロダクト担当幹部に聞く
ゲーム実況だけじゃないTwitch、世界700万人のストリーマーをどう盛り上げている? TwitchConで聞いた
2024年10月31日 15時30分更新
“ゲーム実況”の配信プラットフォームとして知られるTwitch(トゥイッチ)。ただし、世界でおよそ700万人いるストリーマー(配信者)はゲーマーだけではない。雑談からIRL(In Real Life、現実の日常生活のこと)、DJや音楽演奏、お絵かき(イラスト制作)やコーディング(プログラミング)まで、ありとあらゆることがTwitchでライブ配信されている。
「Twitchの中心にはストリーマーがいる」と語るTwitchのプロダクト担当幹部のジェレミー・フォレスター氏に、最近の“配信トレンド”から、幅広いカテゴリのストリーマーを盛り上げるための取り組み、そして「TwitchCon San Diego」で発表された最新機能などを聞いた。
幅広いカテゴリのストリーマーを盛り上げる取り組み
――Twitchと言えば“ゲーム実況”のイメージが強いですが、実際にはさまざまなカテゴリの配信が行われています。そうした幅広いストリーマーの活動を支援するために、プロダクト面ではどのように取り組んでいますか。
フォレスター氏:おっしゃるとおり、Twitch上のコンテンツはゲーム以外にも拡大している。たとえば現在、最も伸びているカテゴリは「雑談」だ。そこでプロダクト開発においても、ゲーマーかそれ以外かを問わず、“すべてのコンテンツクリエイター”が活用できるツールを提供しようと心がけている。
その一方で、人気が高まっているコンテンツのトレンドをキャッチして、トレンドをさらに盛り上げるようなマーケティング施策、プロダクト施策も進めている。
たとえば最近では、オンラインで授業やトレーニングを受けられる「教育・啓蒙」や、自分の仕事の様子を配信してコミュニティを作る「コワーキング」といったジャンルの配信も登場している。こうした新しい配信向けにカテゴリを作ったり、既存のカテゴリに統合したりすることで、ストリーマーがTwitch上での“居場所”を見つけ、視聴者を獲得しやすくするような取り組みだ。
特定のカテゴリ向けの取り組みとしては、今年の夏に「Twitch DJプログラム」をスタートした。これは、われわれがレコード会社との包括的なライセンス契約を結ぶことで、Twitch上で配信を行うDJが「合法的に」(著作権を侵害することなく)音楽をストリーミングできるようにする取り組みだ。DJ配信で得られた収益の一部は、楽曲を使用したミュージシャンやレコード会社に還元される。
ゲーム会社(ゲームパブリッシャー)とも、ゲーム実況を見ている視聴者にゲーム内のアイテムをプレゼントする「Twitch Drops」の取り組みを行っている。たとえば新作ゲームがリリースされたときに、Twitchでそのゲームの配信を2時間視聴したらアイテムがもらえるキャンペーンを実施すれば、視聴者にもゲーム会社にもメリットがある。そして、視聴者が多く集まるので、ストリーマーにもわれわれにもメリットがあるわけだ。
“ストリーマー開発者”はTwitchのエコシステムを豊かにしている
――開発者がコーディングする様子をライブ配信するトレンドもあると聞きました。開発者やエンジニアのストリーマーも多いのですか。
フォレスター氏:コーディングのライブ配信は人気コンテンツのひとつだ。ゲームほどポピュラーではないが、一定数のコアな視聴者がいる。
コーディングのストリーミングでは、開発者がコーディング作業を進めながら、その内容を視聴者に解説する。視聴者が質問をしてストリーマーがライブで答える、Twitchならではのコミュニケーションも活発だ。
開発者やエンジニアの存在は、Twitchのプロダクトエコシステムも豊かにしている。ストリーマーである開発者の中には、ストリーマー向け、視聴者向け、モデレーター向けなど、さまざまなTwitch向けサードパーティ製品を開発する人もいるからだ。たとえば「OBS」(人気の高いオープンソースのストリーミングソフト)のプラグインや拡張機能を開発し、ストリーマーに新しい機能を提供するといった活動が見られる。