日本電信電話(NTT)は9月3日、世界初となる超長波長帯(U帯)の一括変換技術を用いて、100Tbpsを超える長距離光増幅中継伝送に成功したことを発表した。現行の機器を活かしつつ、データ伝送容量をこれまでの3倍以上に拡大できるという。
これまでの光ファイバーを使った通信では、C帯およびL帯と呼ばれる帯域を利用してデータを送受信している。将来、必要なデータ伝送容量がさらに増える可能性を考慮すると、隣接するU帯も活用してデータ伝送容量を増やしたいところだが、既存の材料系では対応する伝送装置の開発が難しいことが課題となっていた。
今回発表した技術はU帯一括変換技術を活用し、伝送装置開発の問題を解決するというもの。これにより、C帯またはL帯とU帯をあわせて、従来の3倍以上のデータ伝送容量を確保できるという。
実験では既存のファイバー上で集中光増幅器のみを使用し、現行の陸上システムと同じ中継間隔を保ちつつ、800kmの距離で100Tbps超のデータ通信に成功。技術的には、東名阪(約500km)の基幹光ネットワークを問題なくカバーできることが実証された。
本技術が実用化されれば、次世代通信規格の「IOWN」や6Gの光回線基盤技術としての活用も期待される。