「ドコモ口座不正利用事件」で社会問題化
dアカウントにとって災難だったのは、2020年に起きた「ドコモ口座不正利用事件」だろう。ドコモ口座という決済などに利用できるサービスにおいて、銀行の預貯金が不正に利用されるという事件が起きた。当時、dアカウントと銀行口座の紐付けに関するセキュリティが甘く、さらにドコモユーザー以外の被害に遭う可能性があるなど、結構な社会問題になった。
dアカウントは、そもそもドコモに契約があり、回線と紐付いた形で認証するだけであれば、何ら問題はなかった。
しかし、NTTドコモはオープン化に踏み切り、ドコモの回線がなくてもdアカウントを持てるように開放した。結果、ドコモ口座不正利用事件が起きてしまった。不正利用事件を契機にセキュリティ面の強化が図られたのだが、これでユーザーの使い勝手が一気に落ちた。
「使いたいときにログアウトしている」「ログインしたくても上手くいかない」という状態が続き、結局使わなくなるという状態を招いてしまっている。
仕事柄、4キャリアを比較する上で、4社の回線、アカウント、スマホ決済サービスをすべて持ち、いろいろと使い分けている。その際、1台のiPhoneにすべて入れているのだが、au Pay、PayPay、楽天ペイは別会社の回線を使っていてもスムーズに使えるが、d 払いだけでは使おうと思うたびにログアウトしてまともに使えない。ドコモ回線に切り替えるなどしてなんとかログインする感じだ。
最近ではパスキーに対応してちょっとまともになった感じはあるが、完璧という感じではない。他社もオープン化でセキュリティ面では苦労しているようだが、なぜかdアカウントだけが突出して使いづらい。
今後、4キャリアは通信のみならず、金融やショッピングなど、経済圏をいかに拡大するかが重要になろうとしている。その際に必要なのは、様々なサイトで使える「アカウント」なわけで、dアカウントをいかに便利で快適、安全に使えるようにするかは、NTTドコモにとって避けては通れない喫緊の課題ではないだろうか。
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