「Zoom Experience Day Summer」基調講演レポート
“ウェブ会議以外”のZoom活用事例が続々と、井村屋は工場、東京大学はサポート窓口刷新
2024年07月19日 14時45分更新
ZVC JAPAN(Zoom)は、2024 年7月18日、ユーザー向けイベント「Zoom Experience Day Summer」をハイブリッドで開催した。「未来の働き方に向けたAIの活用とコミュニケーションの総点検」をテーマにセッションやネットワーキングイベントが展開され、約1200名が参加した。
基調講演に登壇した同社 代表取締役会長兼社長の下垣典弘氏は、「Zoomは日本において、2022年から2024年までの今日も、パンデミックの時期と同じくらい成長している。その下支えになっているのが『プラットフォームの拡大』だ」と説明する。
同社は、クラウドPBXである「Zoom Phone」から「Zoom Contact Center」をはじめとするCXソリューションまで、コミュニケーションプロダクトの拡大に注力してきた。2024年4月には、各プロダクトを統合して、共通のAI機能を搭載したコラボレーションプラットフォーム「Zoom Workplace」を提供開始している。
基調講演では、Zoom Workplaceの導入を決定した井村屋グループ、Zoom Contact Centerの国内ファーストユーザーである東京大学の取り組みが紹介された。
井村屋グループ全体のコミュニケーション基盤を「Zoom Workplace」に統合
井村屋は、「おいしい!の笑顔をつくる」をミッションに、菓子・食品の製造販売やレストラン事業などを展開する、約120年の歴史を持つ企業だ。そして、Zoomの先進ユーザーでもある。
井村屋グループでZoomを導入したのは2018年。「経営陣が名前も知らなかったZoomを、『無償なので』という殺し文句で導入した頃からの付き合い」と言うのは、同グループのデジタル戦略室長である岡田孝平氏だ。
その後、Zoom MeetingsやZoom Roomsでミーティング環境を整備し、2020年には既存のPBX(電話交換機)を「Zoom Phone」に刷新。社内のチャットツールも「Zoom Team Chat」に切り替えた。
そして今回、Zoomの活用をグループ全体に広げ、全社的なコミュニケーション基盤として統合することを決定した。国内で利用していたオンプレミスのグループウェアをZoom Workplaceに移行し、海外拠点も含めた共通のコミュニケーション基盤として活用する。
Zoom Workplaceは、コミュニケーションや生産性向上のためのプロダクトを統合した、Zoomが“チームワークを再構築”するとうたうプラットフォームだ。各プロダクトにはAI機能である「Zoom AI Companion」が搭載され、有料プランでは追加料金なしで利用できるのも特徴だ。
Zoom Workplaceに統合されたプロダクトの中で、岡田氏が期待するのが「Workvivo」である。Zoomが2023年に買収したWorkvivoは、企業内での情報発信やコミュニケーション活性化、エンゲージメントの測定を支援する従業員エンゲージメントソリューションだ。
「これまで、PCを使う社員は素早く社内情報を得られた一方で、食品を製造する工場の社員は、主な情報伝達手段が紙での回覧や工場内の掲示、上司からの口伝えだった」と岡田氏。
今後は工場内にモニターを設置して、Workvivoを通じて経営トップからのメッセージ、社内コミュニティや新製品の情報などを発信していく予定だ。画像や映像も送れるため、届けられるコンテンツの幅も広がる。海外拠点を含めてWorkvivoでつながっていくことで、「グループ全体でシナジーを高められるのではないか」(岡田氏)と展望を語った。