このページの本文へ

連載:今週の「ざっくり知っておきたいIT業界データ」 第142回

IT市場トレンドやユーザー動向を「3行まとめ」で理解する 7月6日~7月12日

国内ITサービス売上は富士通がトップ維持、会社のメンタルヘルス窓口に「相談しない」理由、ほか

2024年07月16日 08時00分更新

文● 末岡洋子 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

 本連載「ざっくり知っておきたいIT業界データ」では、過去1週間に調査会社などから発表されたIT市場予測やユーザー動向などのデータを、それぞれ3行にまとめてお伝えします。

 今回(2024年7月6日~7月12日)は、国内ITサービス市場規模とベンダーランキング、リファービッシュ(整備済み、メーカー再生品)家電の購入状況、APM(アプリケーションパフォーマンス管理)/オブザーバビリティ市場の成長、産業分野別/従業員規模別の国内IT市場規模、職場のストレスとメンタルヘルスの相談先についてのデータを紹介します。

[ITサービス]2023年の国内ITサービス市場は前年比6%増、ベンダーは今年も富士通がトップ、3位にNECが浮上(IDC Japan、7月12日)
・2023年の国内ITサービス市場規模は6兆4608億円、前年比6%増
・ベンダー売上のトップは富士通、前年と変わらず
・トップ6ベンダーの顔ぶれは前年と同じ、3位NECと4位日立製作所が入れ替わる

 国内ITサービス市場は2023年、前年比6%増の6兆4608億円となった。すべてのセグメントがプラス成長となったが、特に「プロジェクトベース市場」では上位10ベンダー中6社が売上額成長率10%以上を記録している。産業分野別では「通信/メディア向け」を除く全産業で上位10社がプラス成長だった。ベンダー売上上位6社は、1位から順に富士通、NTTデータ、NEC、日立製作所、IBM、アクセンチュア。顔ぶれに前年からの変化はないが、昨年4位のNECが3位、昨年3位の日立が4位と入れ替わっている。

2023年の国内ITサービス セグメント別のベンダー売上(出典:IDC Japan)

[家電][リファービッシュ]リファービッシュ家電購入経験者は4%、多いのはパソコン、スマホ、タブレットなど(GfK Japan、7月11日)
・リファービッシュ家電、購入経験者は4%
・「購入経験なし」のうち4%が「今後利用する意向」
・購入したリファービッシュ家電は、パソコン、スマホ、タブレット端末など

 リファービッシュ(整備済み、メーカー再生品)家電について、18~69歳の男女約5300人を対象に調べた調査より。購入経験のある回答者は4%で、購入した製品カテゴリは「パソコン」「スマートフォン」「タブレット端末」「テレビ」が多く挙がった。購入経験のない回答者でも、4%が「今後リファービッシュ品を利用したい」としており、近い将来に約8%まで利用者が増える見込みがあるとしている。

リファービッシュ家電の購入経験者は4%。未経験者でも4%が購入意向を示している(出典:GfK Japan)

[オブザバビリティ][APM]2023年度の国内APM/オブザーバビリティ市場は前年度22%増(アイ・ティ・アール、7月11日)
・2023年度のAPM(アプリケーション・パフォーマンス管理)/オブザーバビリティ市場の売上金額は前年度比22%増、約103.7億円
・2024年度も前年度比21%増の見込み
・SaaS(約57億円)がパッケージ(約47億円)を逆転

 国内のAPM(アプリケーションパフォーマンス管理)/オブザーバビリティ市場は、2023年度、前年度比22.5%増の約103億7000万円となった。続く2024年も前年同期比21.9%と高い成長を見込む。背景として、システムの大規模化と複雑化により、システム状態の把握と問題への迅速な対応が期待されていることがあるという。同市場は2023~2028年度まで、CAGR(年平均成長率)21.6%で成長すると予想している。提供形態別では、2023年度、SaaSが約57億円を売り上げてパッケージ(約47億円)を上回った。2028年度までのCAGRは、SaaSが28.5%、パッケージが10.2%と予想されており、今後さらに差が開きそうだ。

APM/オブザーバビリティ市場の規模推移。水色はSaaS、青はパッケージ(出典:ITR)

[IT]2024年の国内IT市場予想は23兆円で前年比7%増、データセンター需要で情報サービスは前年比11%増(IDC Japan、7月10日)
・2024年の国内IT市場規模予想は23兆4589億円、前年比7%増
・「情報サービス」分野はデータセンター需要が好調、前年比11%増の予想
・「既存システムの見直し」「新規ビジネス展開」目的のIT支出が拡大

 産業分野別/従業員規模別の国内IT市場規模最新予測。2024年の国内IT市場規模は23兆4589億円、前年比7.2%増を予想。円安、原材料費価格高騰などが一部企業の業績に影響しているものの、国内経済は好調を維持しているという。多くの企業が今後の企業成長を図るためにデジタル化/DX推進の取り組みを加速しており、2024年は各産業分野でプラス成長を予測している。情報サービスのほか、観光、インバウンド需要が回復傾向にあり、関連産業分野の企業は業績が改善しているという。その結果、国内IT市場は2028年に27兆8650億円になると予測する。

国内IT市場、従業員規模別の前年比成長率予測 2024~2028年(出典:IDC Japan)

[仕事][生活]企業で働く従業員の90%が「メンタルヘルスのケアは重要」、64%が不調時に「窓口に相談したくない」(メンタルヘルステクノロジーズ、7月11日)
・「仕事でストレスを感じる」は従業員の76%
・51%が「経営層は従業員のメンタルヘルスケアに親身な対応をしていない」
・メンタル不調時に「相談窓口に相談したくない」は64%

 企業で働く20~65歳の従業員575人を対象に「職場のストレス」について尋ねた。「仕事でストレスを感じるか」という問いに「かなり感じる/やや感じる」とした回答者は76%。97%以上が「仕事を続ける上でメンタルヘルスは重要」としたが、一方で73.7%が「経営層・マネジメント層とストレスに関する価値観の違いを感じる」という。「経営層・マネジメント層が従業員のメンタルヘルスケアを重視している」という回答も49%にとどまる。自社がどんな「従業員ストレス対策」をしているか、その取り組みを知っている人は65.1%。ただし「相談窓口に相談したくない」が64%と多い。

企業に勤務する人の76%が仕事でストレスを感じている(出典:メンタルヘルステクノロジーズ)

「メンタル不調時に相談できる窓口があるか、そこに相談しようと思うか」に対して、窓口のある・なしに関係なく64%が「相談したくない」と回答した(出典:メンタルヘルステクノロジーズ)

相談したくない理由は「相談しても解決しない」がトップだった(出典:メンタルヘルステクノロジーズ

カテゴリートップへ

この連載の記事
  • 角川アスキー総合研究所
  • アスキーカード