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文字と声をシームレスに扱えるスマホ版トランシーバーも披露 

LINE WORKSはビッグマックより安い

2024年05月29日 10時00分更新

文● 大谷イビサ 編集●ASCII

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 2024年5月28日、LINE WORKSは年次イベント「LINE WORKS DAY 24」を開催した。基調講演では、物価高の中でありながら月額450円という高いコスパを実現するLINE WORKSの価値、新ブランドを構成する「CONNECT」「BOOST」「TRUST」について説明された。また、AIの実装として文字と声をシームレスに扱えるスマホ版トランシーバーを新たに披露した。

450円の価値とは?

導入は46万社、500万ユーザーへ 「システムとつながる」TVCMも披露

 基調講演に登壇したLINE WORKS 代表取締役社長 増田隆一氏は、ユーザーともに成長したいという願望を込めたイベントの「&UPLIFT」というテーマや、LINE WORKSのコンセプトである「使いやすさ」「スマホ前提」「ワンアプリケーション」などについて説明。また、公開のユーザー事例が300件を超えたことをアピールし、「たぶんB2Bサービスの事例でここまで多くの事例をアップしているところはないと思うので、『ギネスに申請したら?』と社内で提案してみたら、『勘弁してください』と言われました(笑)」と語る。

LINE WORKS 代表取締役社長 増田隆一氏

 続いて増田氏は、昨今の物価上昇について言及。物価の指標とされるマクドナルドのビッグマックがすでに480円、スターバックスのドリップコーヒーが382円~という価格帯。一方で、LINE WORKSの利用料はスタンダードプランで1ユーザー月額450円におさまっている。「LINE WORKSの利用料は、ビッグマックより安い。これが高いか、安いかは別として、とにかく450円の価値を感じてもらえるサービスとしてがんばっていきたい」と話す。

ビッグマックやスタバのドリップコーヒーのグランデより安い

 LINE WORKSの導入企業はすでに46万社を数え、ユーザーは500万人を超えた(関連記事:LINE WORKSの導入社数は46万社以上、利用者数は500万人超えに)。このうち26%の130万人がLINE WORKS同士で接続しており、社内だけでなく、社外の取引先とのやりとりが電話やFAXからLINE WORKSに置き換えられていることがわかる。また、LINEのアクティブユーザーの3割近くにあたる2700万人が、LINE WORKSとつながっているという。保険、小売、不動産などのユーザー企業を中心にLINEを介して、顧客とのダイレクトコミュニケーションを行なっているわけだ。

 続いて増田氏は、「現場とつながる」「取引先とつながる」「お客さまとつながる」をテーマにした最近のTVCMを披露。その上で、「システムとつながる」をテーマにした新しい4つ目のTVCMを紹介した。このTVCMは情報システム部がLINE WORKSと勤怠システムと連携することで、現場も、バックオフィスもうれしいという内容だ。

システムとつながること、情シスへの感謝を盛り込んだ新TVCM

 現在、LINE WORKSと連携できるシステムは170を超える。TVCMでは出退勤の漏らしがなく、残業から解放されたバックオフィスの担当は、情報システム部に「つないでくれてありがとう」と感謝を感じるアナウンスも流れる。これについて増田氏は、「情シスに光を当てたい。バックオフィスや、現場から感謝される場面があってもいいと思って、こういう作り方をした」と語る。

3つのカラーが意味するCONNECT、BOOST、TRUST

 増田氏は、会社のアップデートも披露した。2024年1月5日、同社はワークスモバイルジャパンからLINE WORKSに社名変更。これにより、サービスと社名が一致するようになったわけだが、それに先立つ2023年4月にはLINEのAI事業を吸収したことで、マルチプロダクトの会社になっている。具体的には、文字認識AIの「LINE WORKS OCR」、音声認識AIの「LINE AiCall」、そして映像認識AIの「LINE WORKS Vision」の3つが製品として加わっている。

 プロダクトとしてのLINE WORKSも同日付でv4.0にバージョンアップされ、アイコンの変更などを含む大きなリブランディングが施された(関連記事:LINE WORKS、サービスロゴ&アプリアイコンを刷新)。新バージョンの詳細は後のセッションで説明されたが、増田氏は新しいブランドについて説明した。

 新しいLINE WORKSのプロダクトブランドは、これまで提供してきたコミュニケーション&コラボレーションを表す「CONNECT」に加え、新製品やAIなどの新機軸を表す「BOOST」、安心・安全にを表す「TRUST」の3つの要素から構成される。それぞれの要素は従来の緑色に加え、青色、水色がカラーとして当てはめられ、「W」のロゴを構成。ロゴを構成するパーツがLINE WORKSの提供価値とビジネス成長の段階を表現しているという。

新しいロゴと3つの要素

 CONNECTに関しては、まずLINE WORKSのアーキテクチャ自体をワンアプリケーションからコンポーネント化の方向に大きく舵を切っている。これは進化の速いAIなどの機能強化を迅速に行なうため。「正直、1つのアプリというのはちょっと厳しくなりつつある」と語る増田氏は、アプリが複数になる可能性を示唆した。一方で、LINE WORKS IDで複数のアプリをシームレスに利用できる統合ログイン管理は整備していくという。

必要なのは会社のことを理解した生成AIだった

 続くBOOSTに関しては、事業統括本部 本部長大竹哲史氏がLINE WORKSにAIを取り込むための「WORKS AI Project」について紹介した。同プロジェクトでは、コミュニケーションツールのLINE WORKSにどのようにAIを取り込めばいいかを試行錯誤してきた。

LINE WORKS 事業統括本部 本部長大竹哲史氏

 大竹氏は、生成AIが隆盛の昨今でも、まだまだユーザーがアーリーアダプターに限定される点を指摘。その上で、業務で本格的に生成AIを利用するためには社内の情報を取り込む必要があると説明した。しかし、社内文書はさまざまなフォーマットなので、活用するためにはさまざまな前処理が必要で、ユーザーが使いやすいインターフェイスを開発するのも必要。自分たちでLLMは選択したいが、自由に利用されるとセキュリティが不安という課題もあるという。

 生成AIをどのようにLINE WORKSに取り込むか。実は昨年のLINE WORKS DAYでは、ユーザーのやりたいことをAIが代理でやってくれる「AI秘書」を想定して開発を進めていたが、理解すべきなのは「ユーザーのやりたいこと」ではなく、「会社のこと」ではないかと考え直した。そのため、「ノーコードで自社の情報を活用した生成AIが使える」という方向性に舵を切り、たとえば導入事例を活用したユーザーの提案活動に生成AIを使えないかを試しているという。

ノーコードで自社情報を活用した生成AIを作れるように

 続いてテーマに挙げたのは、AIと音声だ。LINE AIから取り込んだLINE WORKS AiCallは音声認識や音声合成、会話制御などを組み合わせて、自然な対話応答を実現した電話応対AIサービス。音声とAIを組み合わせることで、「ご高齢の方でも対応しやすい」「電話というアナログ接点からデジタル接点へ誘導しやすい」「AIだけで受付から後処理まで完結する」といったサービスを、オーダーメイドで作れるのがLINE WORKS AiCallのメリットだ。

 ここで大竹氏は、「人はなぜこんなに電話してくるのか?」と聴衆に問いかける。もちろん、問い合わせたい人によっては、電話しか知らない、PCやスマホがうまく使えないといった人もいるだろうし、WebのFAQやチャットボットで解決できず、仕方なく電話を使う人もいるだろう。しかし、サービスの問い合わせにあえて電話を選択する人はいまだに多い。これは「簡単、最短」を求める結果だという。

 音声でのコミュニケーションは、聞きたいことをすぐに聞いたり、相互に意思と感情を伝達できる、話しながら別のことができ、そもそも時間あたりに伝えられる情報量も多い。スマホ入力と音声を比べると、4倍以上の伝達量の差がある。こうした音声コミュニケーションの優位性とAIの能力を活かしたのが、今回発表されたスマホ版トランシーバーになる。

声ならではの優位性

文字と声を意識しないコミュニケーションを実現

 これまでのLINE WORKSでのコミュニケーションは、文字と声が混在していた。たとえば小売業の場合、ノンデスクワーカーの店舗スタッフは声でコミュニケーションすることが多いが、本社スタッフはLINE WORKSのトークのような文字を利用することが多い。本社と店舗のスタッフの間に入っている店長は、文字と声を同時並行で使い分ける負担が生じていた。

 現在開発中のスマホ版トランシーバーは、声を文字に、文字を声に相互変換できる。大竹氏はBluetoothヘッドセットを装着し、イベントスタッフとやりとりするデモを披露。音声は文字として書き起こされ、文字は音声で読み上げられるので、両者の違いを意識する必要はなくなる。

入力した文字は声で伝わる

声と文字を意識しないスマホ版トランシーバー

 距離が遠くても、建物の中でも、フロアをまたいでも、インターネットにつながれば会話が可能で、ユーザーインターフェイスもシンプルでわかりやすいという。スマホさえあればすぐに利用でき、音声では聞き逃しがちな指示や発言も文字でさかのぼることができるという。もちろん、LINE WORKSともつながる。「オフィスにいる人は文字で、現場にいる人は声で、それぞれに適した方法でコミュニケーションできる」と大竹氏はアピールする。

 スマホ版トランシーバーは、ノンデスクワーカーで多くの実績を持つLINE WORKSならではのアプリと言える。用途としては、建設業における現場作業員、本社・現場統括とのやいとり、介護業でのスタッフ間、来訪時や受電時の連絡、異常通知、小売業でのスタッフ間、倉庫との在庫確認、店舗間でのやりとり、イベントにおけるスタッフの一斉指示、作業報告、飲食業でのキッチン・ホール間、エリア統括者による複数店舗の管理など、幅広いノンデスクワーカーの需要に応える。

 スマホ版トランシーバーのリリース時期は2025年初頭を予定している。会場ではすでにデモも披露されていたが、今夏からはクローズドなβテストが開始される予定となっている。

リリースは2025年初頭を予定

企業が安心して使える「心理的安全性」のブランドへ

 壇上に戻ってきた増田氏は、最後のピラーであるTRUSTについて説明する。新しいLINE WORKSのWロゴにおいて、TRUSTはCONNECTとBOOSTを支えるアーチとして表現されている。前述した46万社・500万ものユーザーの利用を支えるべく、ユーザーデータは地理分散された国内データセンターで管理され、OSレベルで最新のセキュリティ対策を実施するとともに、LINE WORKS専用のインフラで運用されているという。また、SOC2/SOC3やISO27001/27017/27018/27701、越境プライバシールールのAPEC CBPRなど各種の認証も取得済みで、今後も取得の取り組みを進める。

 そして、こうしたLINE WORKSのTRUSTに向けた取り組みをまとめたのが、3月に公開された「LINE WORKS セキュリティホワイトペーパー」になる。こちらはLINE WORKSのサービスを安心・安全に使ってもらうための情報を集約したもので、「自分たちの対策に加え、ユーザーがとるべき対策まで書いてある」(増田氏)とのこと。

 LINE WORKS セキュリティホワイトペーパーでは、自らの透明性を上げるとともに、LINE WORKSサービスの責任共有モデルで定義された範囲を、事業者であるLINE WORKSとユーザー企業がそれぞれ適切に行なっていくという意図がある。「LINE WORKS Privacy Center」のサイトで公開されている。外部の専門家やホワイトハッカーの協力を得て、脆弱性を早期発見するバグバウンティプログラムも合わせて紹介された。

 最後、増田氏は「企業価値の源泉となるデータが守られる『心理的安全性』を提供するブランド」としてLINE WORKSのTRUSTを強化していきたいと抱負を語る。その上で、「今回のLINE WORKS DAYが、聴衆のみなさんのUPLIFTにつながるように」とまとめ、セッションを終えた。

心理的安全性を提供するブランドへ

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