パナソニック エレクトリックワークス社は3月25日、近隣地域への光の漏れを抑え、プレーヤーのまぶしさを低減した新型LED投光器「アウルビームER」を発表。2024年4月1日に発売します。新製品では光害対策と省エネ性能を両立させながら、既設照明からの置き換えもしやすくしています。
球場がまぶしくて眠れない “光害”が社会問題に
近年、夜間の過剰な照明による光害が深刻な問題となっています。
光害は夜空が明るくなり星が見えにくくなるほか、住宅地でのグレアや虫が集まるなどの弊害があり、スポーツ施設周辺の住民からは苦情が出ていました。同社のアンケート調査によれば、20〜30代の子育て世代からは「まぶしくて子どもが眠れない」といった記載もあったそうです。
スポーツ施設の照明はプレーヤーの安全と競技性を確保する上で欠かすことができませんでしたが、従来のHIDランプ投光器は明るさを確保するときの光の漏れやまぶしさが課題とされてきました。同社の調査によれば、特に20代のプレーヤーの約70%がまぶしさの影響を受けていたそうです。
これまでは遮光フード(ひさし)や遮光ルーバー(ブラインド)をつけて光害対策を施していましたが、いずれも風にあおられやすいとか、効率が悪くなるといったデメリットがあり、解決には至りませんでした。
低い消費電力で同じ明るさを実現する新製品
そこでパナソニックが新たに開発したのが、光害対策と防眩性能を高めつつ、省エネ性と施工性も備えたLED投光器「アウルビームER」です。
同製品は独自のレンズ技術によって、従来比1.5倍の器具効率を実現。つまり同じ明るさを低い消費電力で実現できるようになりました。さらに上方向への光の漏れを最小限に抑え、プレーヤー目線でのまぶしさも低減しています。
光害対策のための仕様は、環境省指針では最高レベルの「E1」をクリア。バードウォッチングをする公園や、就寝時間が早い高齢者施設などが近隣にある施設に求められる照明の条件を満たしています。
また、従来品に比べてサイズは小さくなり、灯具重量も18.2kgから11.9kgに軽量化。これにより既設HID照明からの置き換え工事がしやすくなり、人手不足に悩む電気工事会社の負担軽減にもつながります。パナソニックではこれを「ハヤワザリニューアル」というコンセプトで呼称しています。
時代はHIDランプから光害対策LEDへ
これまでナイター照明の大半はHIDランプを使ってきましたが、LEDの台頭や地球環境の保護などの観点から各社が生産を終了。パナソニックでも2024年3月末に生産を終了し、LEDへの切り替えが加速することが予想されています。
こうした背景を踏まえ、今後パナソニックでは光害対策照明をスタンダードとして、3年後に同社の投光器の売上に占めるアウルビームERの割合を現状比2倍の30%まで伸ばしたいとしています。