沼本CMO「マイクロソフトは日本のAIトランスフォーメーションを全面サポート」
ホンダとサイバーエージェントがCopilot導入成果を披露 ―「Microsoft AI Tour」開催
2024年02月26日 09時00分更新
オープンなAIプラットフォームとパートナーエコシステムで各社特有のAI機能を構築 ― Copilot Studioで正式に日本語をサポート
AIトランスフォーメーションの第2段階は、マイクロソフトが構築したCopilotではなく、独自のCopilotやAIアプリケーションを実装することだ。
既存のアプリにAI機能を追加する、もしくは新しいAIアプリを開発して、ビジネスプロセスにあったデータをハンドリングする。これらを支える中枢のプラットフォームとなるのがAzure AIだ。OpenAIのLLM(大規模言語モデル)だけでなく、オープンソースを含むさまざまなAIモデルが利用可能だ。
Azure AIは、現在、グローバルで5万3千社以上に利用されているが、このうち3分の1以上がAzureをこれまで使ってこなかった新規ユーザーだという。
AI機能を実装していく中で、マイクロソフトが用意する開発のためのAIツールチェーンが、ローコード向けの「Microsoft Copilot Studio」、プロコード向けの「Azure AI Studio」だ。
Copilot Studioは、自社のデータや情報を基に、ローコードで独自のCopilotをゼロから作成できる。これまで英語での提供だけであったが、新たに日本語対応を開始したことも発表された。
一方のAzure AI Studioは、プロコード向けに、独自のCopilotやAIアプリケーションを開発するための機能を揃える。ハルシネーションを軽減するためのRAGの実装から、アナリティクスやコンテンツ生成といったより高度なソリューションの構築が可能だ。
開発者が独自のCopilotを構築するための開発フレームワークとして用意しているのが「Copilot stack」だ。「マイクロソフトがCopilotを実装していく中での学びや投資を活かして、アプリケーション開発ができる」と沼本氏。Copilot Stackでは、AIインフラストラクチャからさまざまなAIモデルの実装、Azure AI StudioといったAIツールチェーン、固有のデータを管理、分析、取り込むための仕組みまで備えている。
Copilot Stackでは、データの取り込みにおいてOracleやSnowflake、Databricksとも連携する。ここにみられるように、ユーザーのAIトランスフォーメーションを実現するためには、「パートナーとの連携が不可欠」だと沼本氏は強調する。マイクロソフトがプラットフォームベンダーとして構築してきたエコシステムの延長線として、業界やユーザー固有のワークフローにAIを落とし込むためにパートナーと連携していく。
「すでにマイクロソフトのエコシステムは40万以上のパートナーに支えられているが、その中でAIに特化したプログラムを開始しており、日本だけでも150社以上のパートナーがAIトランスフォーメーションを加速している」(沼本氏)
ビジネスの保護 ― 著作権侵害を補償する「Copilot Copyright Commitment」をAzure OpenAI Serviceにも拡大
最後に、AIトランスフォーメーションの3段階目である、ビジネスの保護について語られた。
どんな技術革新にもリスクは発生し、安全性は決して後付けで考えるものではないと沼本氏。マイクロソフトでは設計初期段階から安全を考慮してAIの開発にあたっているという。
マイクロソフトでは、AIの原則を2018年の段階から発表しており、2022年には公平性 / プライバシーとセキュリティ / 透明性信頼性と安全性 / 包括性 / 説明責任という6つの原則としてアップデート。これを社内の標準として、トレーニングや製品開発においても実装し、監査も徹底することで、AIの安全性を担保している。
また、生成AIの成果物が他者の著作権を侵害してしまった場合に、マイクロソフトがサポートする「Copilot Copyright Commitment」を2023年に発表。このサポートは、マイクロソフトのCopilotだけではなく、Azure OpenAI Serviceで実装したAIアプリケーションに対しても拡張されている。
沼本氏は、「日本は、国民ひとりひとりの労働生産性の向上が国家レベルの至上命題になっている。その中でAIが貢献する機会は、世界の中でもこの日本で広がっていると期待している。マイクロソフトは、皆さまが追及する“AIトランスフォーメーション”を全面的にサポートしていく」とキーノートを締めくくった。