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Igniteで拡充された生成AI関連ソリューションを日本でも紹介

本田技研工業と伊藤忠商事が生成AI活用事例を披露 ― Microsoft Ignite Japan開催

2023年12月14日 10時30分更新

文● 阿久津良和 編集● 福澤/TECH.ASCII.jp

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 日本マイクロソフトは、2023年12月13日、「Microsoft Ignite Japan」を開催した。同年11月にMicrosoftが開催した「Microsoft Ignite」の発表内容を踏まえたソリューション紹介にとどまらず、大阪会場では日本独自のミニステージやハンズオンも展開した。

 基調講演に登壇した同社の代表取締役 社長である津坂美樹氏は「コロナ禍以来4年ぶりの大阪」と喜びの声を発しながら、大阪会場へは満席の600名が来場し、オンラインでも8000名が参加中だと紹介。また、一般提供を開始した「Copilot for Microsoft 365」のアーリーアクセスプログラムに40社以上の日本企業が参加していたことを明かし、「(日本企業の)成長を副操縦士として支えていきたい」(津坂氏)と方針を指し示した。

日本マイクロソフト 代表取締役 社長 津坂美樹氏

Igniteで拡充された生成AIソリューション

 基調講演のメインプレゼンターを務めた日本マイクロソフトの執行役員 常務 クラウド&AIソリューション 事業本部長である岡嵜禎氏は、Microsoft Igniteで発表した機能強化や新ソリューションの特徴を解説しながら、「Igniteでは100以上の機能を発表した。生成AIのモメンタムに沿った機能実装を顧客に提供する」と米国本社および自社のスタンスを説明した。

日本マイクロソフト 執行役員 常務 クラウド&AIソリューション 事業本部長 岡嵜禎氏

 ステージでは、Copliotの技術スタックである「Copilot stack」の概念やCopilot for Microsoft 365の利点、コンタクトセンター向けとなる「Microsoft Copilot for Service」、Copilot向けローコード開発基盤の「Microsoft Copilot Studio」、Azure OpenAI Serviceの強化、Azure Cognitive Searchをリブランディングした「Azure AI Search」など、生成AIに関わる最新ソリューションを取り上げた。

 これらの多数のアップデートの詳細は「Microsoft Ignite 2023 Book of News」をご覧いただくことをお薦めするが、筆者がプレゼンテーションの中でも関心を引かれたのが「Copilot in Word」の日本語環境でのデモンストレーションだ。

 1986年創業した日本マイクロソフトの社史を作成するために、プロンプトとして、簡易的な概要を文章で、具体的に必要とする要素を箇条書きで入力。所要時間などはデモでは把握できなかったが、十分な下書きが生成された。岡嵜氏は「本機能は日本語のみならず英語や中国語などマルチ言語に対応している。グローバルで作業効率を劇的に高めるソリューション」と強調した。

Microsoft Wordに社史作成のプロンプトを入力する

Copilot in Wordで生成された社史

本田技研工業と伊藤忠商事の生成AI活用

 冒頭で述べたとおり、Copilot for Microsoft 365のアーリーアクセスプログラムには、多くの日本企業が参加した。その一社として登壇した本田技研工業の執行職 デジタル統括部長である河合泰郎氏は、自社の早期導入の動機について、「民主化した生成AIのインパクトは大きく、世に広まってから使用しては競争劣位になる。これは我々自身が変わる大きなチャンスと捉えた」と述べた。

本田技研工業 執行職 デジタル統括部長 河合泰郎氏

 導入効果について河合氏は「よく使うのは、Copilot in Teams。リアルタイムにコンテキストを読み解いて応答を返すところが素晴らしい。会議の要約には『議論はおおむね穏やか』『この方は自己批判的な表現で用いた』といったコンテキストも含まれる。(参加者に対して)情緒的なケアやフォローアップも可能」と、ビジネスピードの向上につながる手ごたえを共有した。

 また、日本マイクロソフトに対しても「100年に一度の変革期を迎える自動車業界で我々は75周年を迎え、第2の創業期を乗り越えようとしている。生成AIは変革のチャンス。個人ではなく組織に焦点を当てる日本マイクロソフトの姿勢に共感しつつ、日々の業務で成果を出すためにCopilot for Microsoft 365が寄り添ってくれることを期待したい」とのコメントを寄せた。

 伊藤忠商事における生成AIを用いた社内検証も紹介された。伊藤忠商事のフロンティアビジネス部/チームリーダーである辻井佑昌氏は、「人事総務部の英訳翻訳サービスで試している。弊社の定時株主招集通知などの文書量は多く、多くの部署からデータを収集しなければならない。その後に日本語文章を作成し、生成AIで英訳する」と、業務負荷の軽減につながることへの期待を語る。

伊藤忠商事 フロンティアビジネス部/チームリーダー 辻井佑昌氏

 また、伊藤忠商事は、2021年7月から味や栄養などの食品データと消費者の行動・嗜好(しこう)と掛け合わせて可視化するツールとして「FOODATA」を提供しているが、同ツールの市場分析や企画立案、開発・生産・拡販の段階のうち、企画立案のコンセプト策定や開発段階の試作・評価にて、生成AI適用の検証を進めている。

※訂正:講演社である伊藤忠商事より、同社における生成AIの活用実態について補足および訂正の連絡がありました。それに基づき、上記のとおり内容を修正します。(2023年12月19日 編集部)

 辻井氏は「たとえば商品のターゲット。消費者が召し上がる状況や効果を生成AIが説明する。開発時も商品を梱包(こんぽう)するパッケージイメージなどの具現化に使用。言語化が難しい工程で担当者を補助し、消費者が満足するものづくりに挑戦できる」と説明。企画立案のコンセプト策定は「Azure AI Studio」を、開発段階の試作・評価には「Microsoft Fabric」を活用している。他にも定量データ・定性データを掛け合わせてクロス分析を実施し、自社利用に特化したファインチューニングに用いている。

基盤となる「伊藤忠Data&AIプラットフォーム」の構成イメージ

FOODATAにおける生成AIの適用範囲

 最後に岡嵜氏は「開発者を大事にしたい。生成AIを活用してアプリケーションを作り出すには開発者への支援が欠かせない。生成AIによる新しい世界を皆とドライブしたい」と今後の抱負を述べた。

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