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「HPE Discover Barcelona 2024」からみる最新戦略

HPEからも“脱VMware”の提案 ジュニパー買収によるネットワーク革新にも意欲

2024年12月03日 08時00分更新

文● 末岡洋子 編集● 福澤/TECH.ASCII.jp

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 Hewlett Packard Enterprise(HPE)は、2024年11月20日~21日、スペイン・バルセロナで「HPE Discover Barcelona 2024」を開催した。VMwareの代替となる仮想化ソフトウェア「HPE VM Essentials」をはじめ、顧客が現在抱える課題に即した新ソリューションが発表された。

 本記事では、CEOを務めるアントニオ・ネリ(Antonio Neri)氏の記者向けの発表会の内容を中心に紹介する。

「MWC Barcelona」の会場としても有名なFira Barcelona Gran Viaで開催された

VMware代替仮想化ソフトをはじめ、顧客ニーズに即したソリューションを迅速に展開

 HPE Discover Barcelonaは、毎年6月に米国で開催する年次イベントの欧州版。次期決算発表が近いため、業績については触れられなかったが、直近9月の決算は、売上高は前年同期比10%の増加、クラウド事業の物差しとなるARR(年間経常収益)は前年同期比35%増加と好調だった。それを裏付けるように、ネリ氏は「イベントが(HPE Discover Barcelonaとしては)過去最大の規模になった」と胸を張った。

 2018年2月にCEOに就任して6年半が経つネリ氏だが、「戦略に変更はない。(HPEは)エッジからクラウドを網羅するハイブリッドクラウドを提供する」と強調する。加えて、「ただし、変化したものもある。イノベーションとそれを顧客に届けるスピードは加速している」と自信を覗かせた。

Hewlett Packard Enterprise CEO アントニオ・ネリ(Antonio Neri)氏

 イベントでは、「VMware代替の仮想化ソフト」、プライベートクラウド「HPE GreenLake for Private Cloud」ベースの「ソブリンクラウドソリューション」、そして「HPE Alletra Storage MP」ストレージの最新機種という3つが大きな発表となった。いずれも、顧客の現状を踏まえて展開されるソリューションになる。

 まずは、VMware代替の仮想化ソフトである「HPE VM Essentials」から見ていこう。

 HPE VM Essentialsは、2024年6月に独自のKVMベースのハイパーバイザーを発表した際には、HPEのプライベートクラウドソリューションに組み込まれていた機能であった(参考記事:“オンプレ回帰”のユースケースにも、HPEがGreenLakeプライベートクラウドにKVMの仮想スタック)。HPEのハイブリッドクラウド事業COOであるハン・タン(Hang Tan)氏によると、ベータプログラムにおける顧客からの要望を受けて、独立したソフトウェアとしても提供することになったという。ProLiantサーバー、AlletraストレージといったHPEの機器以外でも動作する。

 発表の背景にあるのは、他でもないVMware by Broadcomだ。ネリ氏は“Broadcom対抗”と明言はしなかったが、「(Broadcomのライセンス体系の変更によって)仮想化コストが3~5倍になったという声を聞く」と述べる。一方のHPE VM Essentialsはソケット単位の課金であるため、仮想化のコスト増が大きな負担になっている顧客の救済策になり得る。

 HPE VM Essentialsは、HPEが2024年前半に買収したMorpheus Dataのマルチ・ハイブリッド管理技術を利用して、既存のVMwareのワークロードも統合して、単一の管理プレーンで仮想マシンを扱える。オブザバビリティーのOpsRamp、ディザスタリカバリーのZetro、コスト最適化のCloudPhysicsといったHPEのソフトウェアも利用可能だ。

 単独のソフトウェアとしては2024年12月に、HPEプライベートクラウドに組み込む形態では2025年半ばまでに、それぞれ提供開始を予定している。

 2つめの発表である、ソブリンクラウド向けのソリューションは、HPE GreenLake Cloud Platformを“disconnected(分離)モード”で提供し、それをサービスプロバイダが利用してソブリンクラウドを提供できるものだ(詳細は後日公開の記事を参照)。

 最後のHPE Alletra Storage MPでは、ブロック、ファイルに加えて、オブジェクトをサポートする「Alletra Storage MP X10000」が発表された。「非構造化データのプラットフォーム」と位置付けており、単一のアーキテクチャ、単一のクラウド、単一の運用モデルで3種類のデータサービスを利用できる。

HPE Alletra Storage MP

 特徴はキャパシティと性能の分離。これにより、オーバープロビジョニングを回避でき、TCO削減につながる。シニアバイスプレジデント兼ストレージ担当ゼネラルマネージャーであるジム・オドリシオ(Jim O'Dorisio)氏は、「通常のモノリシックアーキテクチャと比較して、コストは最大40%、電力消費も最大45%削減可能だ」と述べた。

 また、NVIDIAとの協業により、ダイレクトメモリアクセスを実現しており、GPUの使用率も改善できる。これらの特徴から、データレイクなどのユースケースに最適だという。

 Alletra Storage MP X10000は、2025年に提供開始予定だ。なお、HPEはAlletra Storage MPでも、インターネット/パブリッククラウドに接続しない形で利用できるdisconnectedモードのソリューションを用意する。

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