携帯電話キャリアKDDIが、ローソンの経営に本格参入する。
三菱商事とKDDIが2024年2月6日、ローソンの株式の公開買付け(TOB)を実施すると発表した。
TOBが成立した場合、ローソンは非公開化され、三菱商事とKDDIがそれぞれ50%ずつを保有する計画だ。
日々の生活に欠かせないコンビニ業界を激震させるニュースだが、注目したいのは、コンビニを拠点としたドローン配送だ。
6日の会見の中で、KDDIは、ローソンを拠点として遠隔地への配送をする構想を明らかにしている。
近年、物流業界では地域の配送センターから個人宅に荷物を配送する「ラストワンマイル」の人手不足が深刻化している。
たしかにドローン配送は、こうした課題に対する一つの解決となる可能性がある。
背景のひとつは「2024年問題」
KDDIが、コンビニ参入にともない、ドローン配送の構想を明らかにした背景には、物流業界の人手不足と、地方で急速に進む少子高齢化があるのではないか。
物流業界に限らず、ほとんどの業界で人手が不足している。
全日本トラック協会は、四半期ごとに「トラック運送業界の景況感」という統計資料を公表している。
2023年7月~9月の同資料によれば、同協会に所属する運送事業者のうち19.7%が「労働力が不足」と回答し、46.3%が「やや不足」と回答している。
「不足」と「やや不足」を合わせると、65.4%の事業者が労働力不足に直面している。
さらに、物流業界には「2024年問題」と呼ばれる問題がある。
2024年4月から、トラックドライバーらの時間外労働の上限規制が強化され、さらに人手不足が進み、業界全体の輸送能力の低下が懸念されている。
過疎地の買い物難民
少子高齢化が進む地域では、コンビニはスーパーマーケットに近い役割を担っている。
出張や旅行で地方のコンビニに行くと、お年寄りが、おにぎりや弁当をまとめ買いする姿を見かけることがある。
スーパーで食材を買って、料理をする手間がしんどいのかもしれない。あるいは、スーパーは遠いけれど、コンビニならば比較的近くにあって、気軽に買い物に出かけられるのかもしれない。
それぞれ事情は違うかもしれないが、コンビニは、少子高齢化が進む地域で、欠かせない生活インフラになっているのは間違いないだろう。
しかし、年齢がさらに進めば、自家用車を中心とした買い物の足を確保するのも難しくなる。こうした課題の解決策になりうるのが、コンビニを拠点としたドローン配送だ。
少量、短距離の配送に強み
国土交通省が2023年3月に公表した、「ドローンを活用した荷物等配送に関するガイドライン Ver.4.0」という事業者向けの指針がある。
このガイドラインは、離島や山間部といった地域での買物支援・物流支援を強く意識した内容で、次のような記述がある。
「一般に、ドローンは速達性や省人化に優れた効果を発揮できる可能性があるが、積載重量・飛行距離・耐候性・ルート設定といった面では制約があることから、気象条件や経路上の電波環境や障害物等も勘案しつつ、他の手段と比較検討すべきである」
ドローンで、重い荷物を遠くまで運ぶのは、あまり現実的ではない。反対に、人々が日常の買い物で運ぶような少量、短距離の輸送に向いている。
そうなると、小規模の店が多数あるコンビニの店舗網は生きてくる。とくに、日常の買い物が困難な、山間部の高齢者世帯へのドローン配送は、けっこう有力な選択肢ではないか。
採算性の確保は課題になりそう
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