DLSS FGありでの対決ではどうか?
ここでようやくDLSS FGを使った検証だ。「Cyberpunk 2077」は画質“レイトレーシング:ウルトラ”をベースに、DLSS/FSR 2の“バランス”およびDLSS FGを追加した設定を準備。GeForce環境はRR(Ray Reconstruction:レイ再構成)も有効とした。ゲーム内ベンチマーク再生中のフレームレートを計測した。
Cyberpunk 2077はFSR 3に対応を表明しているが、1月16日時点ではFSR 3には未対応。レイトレーシングの処理が重いだけあって、RX 7800 XTは終始不利。AFMFを利用することでフルHD〜WQHDではプレイアブルな性能が出るものの、DLSS FGを使用したRTX 4070 SUPERには劣る。ただAFMFはGPUの縛りが緩い(RX 6000シリーズ以降が推奨)ため、可用性というアドバンテージはRadeonに軍配があがる。
その一方で、本気を出したRTX 40シリーズには負ける、といったところだろうか。VRAMの使用量も多いゲームだが、4K設定時におけるVRAM使用量は最大で11.6GBで、RTX 4070 Ti〜RTX 4070とRX 7800 XTの差もほとんどない(精々0.3GB差)。
低解像度時ほどRTX 4070 SUPERとRTX 4070の実消費電力差が小さいのは、巨大なL2キャッシュのおかげでVRAMへのアクセスが減っているが、解像度が低いほどアクセスも不要になるということを示唆している。RTX 4070 SUPERはRTX 2070 SUPERよりも消費電力は少し大きいが、ワットパフォーマンスという点では倍どころか3倍以上である点に注目したい。
「BIOHAZARD RE:4」ではレイトレーシングを含め画質系はすべて最高、FSR 2は“バランス”に設定。ゲーム序盤で訪れる教会のある村〜次の集落へ続く道を移動した際のレームレートを計測した。
このゲームはDLSSに対応しないため、FSR 2でどこまでフレームレートを伸ばせるか、GeForceとRadeonの純粋な力比べになる。RTX 4070 SUPERはややRTX 4070 Ti寄りの結果を出しているが、RTX 4070 Tiには確実に負けるといったところ。
製品セグメントで競合するRX 7800 XTは単なるFSR 2のみだとRTX 4070と良い勝負でRTX 4070 SUPERには確実に負けてしまうが、AFMFを併用すれば敵はいない。RX 7800 XT+AFMFでは最低フレームレートしかピックアップしていない(前述)が、それでも最低フレームレートにおいてRTX 4070 Tiの平均フレームレートすら超えているのは笑うしかない。
消費電力の傾向はこれまでと同様。AFMF有効時の欄が空欄なのも前述の通りだ。RX 7800 XTは消費電力は大きめだが、ワットパフォーマンスという点ではRTX 20/30シリーズよりも圧倒的に優秀(RTX 40シリーズが化物過ぎるのだ)。ただAFMF有効時はここからワットパフォーマンスが激増すると考えると、GPUのワットパフォーマンスを巡る議論の潮目が一気に変わったと言ってよいだろう。
「Alan Wake 2」でも試してみよう。画質はレイトレーシングも含め全て最高設定し、DLSSやFSR 2は“バランス”、DLSS FGもオンにした。プレイヤーが訪れる“ブライトフォール”の町において一定のコースを移動した際のフレームレートを計測した。
このゲームもCyberpunk 2077同様にレイトレーシング処理がキツめ、さらにDLSS FGに対応している。DLSS FGに対応しない旧世代GeForce 70番台から比較すると、RTX 4070 SUPERは劇的なパフォーマンス増となる。RX 7800 XTもFSR 2しか使わなければかなり残念な結果だが、AFMFを併用すればこの通り。
ただし、レイトレーシングの処理が足を引っ張っているのか、BIOHAZARD RE:4ほどのワンサイドゲームではない。同時にCyberpunk 2077ほどRTX 40シリーズの圧倒的優位性は観測できなかった。
消費電力に関してはこれまでの観測傾向と変わらない。RX 7800 XTはワットパフォーマンスがよろしくないのは、FSR 2のみの場合の数値だからだ。だがAFMFを併用することにより、RTX 40シリーズ並とはいかないが、そこに迫るワットパフォーマンスを出せるだろう。
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