連載:今週の「ざっくり知っておきたいIT業界データ」 第115回
生成AI活用で検討すべきポイント、サイバー攻撃の潮流、企業のデジタル投資まで
2024年のテック業界はどうなる? 各社「今年の動向予測」まとめ
2024年01月04日 10時00分更新
![IT業界2024年予測](/img/2023/12/29/3664023/l/18738d86649729c1.jpg)
皆さま、新年明けましておめでとうございます。
毎週さまざまな調査データをピックアップしてお届けしている本連載「ざっくり知っておきたいIT業界データ」ですが、今回は“年始スペシャル版”として、2024年はテック業界にとってどのような年になるのか、各社の予測をご紹介します。
AI/生成AI:ビジネスでの本格活用に向けた整備が進む
振り返れば、2023年は「生成AIに始まり、生成AIに終わった」と言っても過言ではない1年でした。その勢いは2024年も止みそうになく、各社ともAI/生成AIに関する予測が目立ちます。
●企業での活用に向けカスタムLLM、RAGなどに注目
AI/生成AI活用に欠かせないGPUメーカーとして、すっかり時代の寵児(ちょうじ)となったNVIDIA。昨年は自動運転車に関する年始予測を発表していましたが、今年はAIをテーマとしています。
・LLM(大規模言語モデル)のビジネス応用が進む中、カスタムLLMが広がる
・カスタムLLMはRAG(Retrieval-Augmented Generation)を備え、データソースとの接続でより正確な情報に基づく結果が得られるように
・オープンソースの事前トレーニング済みモデルが特定分野の課題を解決する生成AIを支援
・テキストだけでなく音声、画像などにも対応するマルチモーダルなLLMが台頭
●企業のAI本格活用に向けて「AI TRiSM」が重視される
AIの本格活用を進めるうえで「AIの信頼性」に注目が当たると予測するのは、ガートナーです。AIモデルの悪影響を防ぎ、制御可能な状態を維持する“ガードレール”の役割を果たす「AI TRiSM(AIの信頼性/リスク/セキュリティ・マネジメント)」が大切だと提言しています。
・2026年までに80%以上の企業が生成AIのAPIやモデルを使用し、本番環境で生成AI対応のアプリケーションを展開する
・AI TRiSMのコントロールを適用する企業は、2026年までに誤情報/不正な情報を最大80%排除して意思決定の精度を高める
・ソフトウェア・ベンダー(ISV)の80%以上が、2026年までに生成AIを組み込んだインテリジェント・アプリケーションを提供する(2023年は1%未満)
これと同様に、シスコも「AIの責任と倫理の重要性が高まる」と予測しています。さらに生成AIの製品への組み込み、ソフトウェア開発に関しても予測を発表しています。
・組織の76%は包括的なAIガバナンス方針を整備していない。2024年にはあらゆる業界、さまざまな規模の企業が正式に策定する
・2024年末までに、半分以上の新製品で「生成AIによる自然言語インターフェイス(NLI)」がデフォルト機能として提供される
・ソフトウェア開発の早期にテストを組み込む「シフトレフト」推進で、開発が変化
●小売業界:人間に代わる顧客「マシン・カスタマー」が出現
先に触れたガートナーとNVIDIAの発表では、小売業界に対するAIの影響も予測されています。
NVIDIAでは、顧客一人ひとりのニーズや好みに沿ってパーソナライズされたショッピングを実現する「生成AIショッピングアドバイザー」を小売企業が導入することで、顧客ロイヤルティを高めるだろうと予測します。ここでは企業ブランド、取り扱い商品、顧客データに基づく、AIモデルの綿密なトレーニングが鍵を握ります。
ガートナーの予測はさらに“その先”を行きます。それは、人間に代わって自律的にモノやサービスを購入し、支払いも行う「マシン・カスタマー(顧客ボット)」の登場です。マシン・カスタマーとして行動するコネクテッド・プロダクトは、2028年までに世界で150億個存在するようになり、「最終的にはデジタル・コマースの到来以上に重要な影響をもたらすものになる」と述べています。
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