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連載:今週の「ざっくり知っておきたいIT業界データ」 第113回

IT市場トレンドやユーザー動向を「3行まとめ」で理解する 12月9日~12月15日

自治体公式アプリの配信状況、AIインフラ導入=消費電力増大で89%が「ESG目標達成困難に」、国内DAP市場動向、ほか

2023年12月18日 08時00分更新

文● 末岡洋子 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

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 本連載「ざっくり知っておきたいIT業界データ」では、過去1週間に調査会社などから発表されたIT市場予測やユーザー動向などのデータを、それぞれ3行にまとめてお伝えします。

 今回(2023年12月9日~12月15日)は、ITインフラ運用のマネージドサービス利用、AIインフラの自社導入が与える影響、デジタル・アダプション・プラットフォーム(DAP)市場の動向、全国自治体による公式アプリの配信状況、事業戦略やデータと「サステナビリティ」の関係についてのデータを紹介します。

[運用]ITインフラ運用は内製からマネージドサービスへ、2年後には26%の組織が利用の見込み(IDC Japan、12月14日)
・マネージドサービス利用は現在10%、2年後は26%を見込む
・マルチクラウド利用は71%、2年後の見込みは83%
・クラウドコスト最適化を求めて17%が「FinOps」を実践

 国内ITインフラ運用の最新動向調査。ハードウェア運用を含め、ITインフラ運用を社内で行う割合が低下し、マネージドサービスを利用する意向が高まるという。マネージドサービスの利用率は、現在の10.5%から2年後には26.2%への拡大を見込む。マルチクラウドの利用は現在71.6%で、2年後には83.1%を予想。インフレと為替変動の影響により、パブリッククラウドのコスト管理が課題となっているが、クラウド支出を継続的に最適化するフレームワーク「FinOps」を実践する企業は17.5%、FinOpsに限らずクラウドコスト最適化の取り組みを進める企業は62.6%にのぼるという。

FinOpsの取り組み状況。17.5%がすでに実践している(出典:IDC Japan)

[AI]AI導入で計算能力を2倍以上に増強した企業は47%、エネルギー消費にも影響(ピュア・ストレージ、12月11日)
・AI導入後、計算能力を2倍以上増強する必要があった企業は47%
・73%が「AI導入に必要なエネルギー要件を十分に考慮できていなかった」
・73%が「AI利活用にデータ管理技術のアップグレードが必要」

 米国・欧州の企業(従業員規模500人以上)に属するIT購入担当者500人を対象に、AI導入にあたって企業が直面する課題について聞いた。AIを導入した企業の88%が「計算能力の需要が劇的に増大した」と回答。そのうち、2倍以上に増強する必要があった企業が47%を占めた。73%が「AI導入に必要なエネルギー要件を考慮できていなかった」と回答。AIの導入に合わせてITインフラをアップグレードした結果、ESG目標の達成が困難になった企業は89%にも上る。また73%が「AI利活用にはデータ管理のアップグレードが必要」と回答した。

[DX]デジタル・アダプション・プラットフォーム(DAP)市場は2022年度27億円、前年度から倍増(アイ・ティ・アール、12月14日)
・デジタル・アダプション・プラットフォーム(DAP)市場は2022年度27億円超、全年度比倍増
・2023年度は77%増を予想、2025年度には100億円市場を見込む
・全ベンダーが売上金額50%以上増

 導入したソフトウェアの定着を主な目的に、ガイダンスや入力支援などを提供するデジタル・アダプション・プラットフォーム(DAP)国内市場の調査。DXを追い風に、2022年度のDAP市場規模は前年度比103%増の27億4000万円となった。市場を構成する全ベンダーが売上金額を50%以上伸ばしたという。BtoE(従業員向け)領域では「社内ヘルプデスクの負担軽減/コスト軽減」を目的に、BtoC(消費者向け)領域では「カスタマーサポートの負担軽減/コスト軽減」を目的に、それぞれ導入される傾向にある。2023年度は2022年度比77.4%増を予想、下位ベンダーにおけるシェア順位の変動が予想されるとしている。この市場は2027年度までCAGR42.1%で成長し、2025年度には100億円規模を見込んでいる。

デジタル・アダプション・プラットフォーム市場規模の推移および予測(出典:ITR)

[公共][デジタル]88%の自治体が何らかのアプリを配信、「防災」「子育て」カテゴリが増加傾向(G-Place、12月14日)
・88%の自治体が何かしらの公式アプリを配信
・自治体アプリの累計配信数は2018年から5年で倍増
・カテゴリでは「防災」と「子育て」が増加傾向

 全国1747自治体による公式アプリの配信状況をまとめた「自治体のスマートフォンアプリ活用実態2023」(第4回)より。2022年末時点で、全国の自治体の88.8%(1551自治体)が何らかの公式アプリを配信していた。年間で新規に配信される自治体アプリ数も、2020年の426件から2022年は950件と2.23倍になった。カテゴリ別で最も多いものは「広報」、また「防災」「子育て」が急増している。

全体の88.8%に相当する1551の自治体が何らかのアプリを配信している(出典:G-Place)

都道府県件別の累計アプリ配信件数。トップは東京都、続いて北海道、埼玉県、愛知県が多い(出典:G-Place)

カテゴリ別累計配信件数。防災(緑)子育て(黄色)が急増している(出典:G-Place)

[経営][ESG]サステナビリティを戦略とデータに取り入れる企業は16%(キンドリルジャパン、12月11日)
・サステナビリティを戦略とデータに取り入れている企業は16%
・サステナビリティ目標達成にあたってテクノロジーを最大限に活用している企業は32%
・61%がエネルギー使用量の監視にAIを利用

 キンドリルがマイクロソフトと共同で行った「Global Sustainability Barometer」より。「持続可能性目標の達成を重視」する企業は85%に上るが、一方で「サステナビリティ」を戦略とデータに取り入れている企業は16%にとどまる。80%が「目標達成にあたってテクノロジーは非常に重要」だと回答したが、「テクノロジーを最大限に活用している」は32%だった。また、エネルギー使用量の監視にAIを使う企業が61%を占めたが、「データを用いて将来のエネルギー消費を予測している」企業は34%にとどまる。

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