なくても困らないけど、あると便利なブロワー
キーボードやPCの内部の掃除などに便利なエアダスター。しかし、いざ使おうとすると、エアダスターが見つからなかったり、エアー(ガス)が無くなっていたりしたことはありませんか?
筆者も先日、キーボードの掃除をしようと探したところ、見つからなかったことが……。そこで、「そろそろ、電動エアダスターも試してもみようかなあ」とショッピングサイトを眺めていました。
しかし、レビューには「従来のエアダスターに比べると、風量が少ない」「作動音が大きい」などの感想があり、なかなか購入に踏み切れません。
「それなら……」と、前から興味があったブロワーを購入してみることにしました。ブロワーというのは、ハンディー掃除機ほどのサイズで、風を吹き出す電動工具。屋外の枯れ葉を吹き飛ばす用途などに使われます。
キーボードやPC内部の掃除に使えるのか
今回購入したのは、HiKOKI(ハイコーキ)の「FRB40VA」。実売価格は1万1500円前後です。
商品の説明には「発変電所、工場、ビルディングなどの配電盤機械類の清掃用。製材、煙草、セメント、紡績工場などにおける設備機械の清掃用」などと書かれています。これを読むと、さすがにPCや周辺機器の掃除には大げさすぎる気もしてきました。
でも、昔から言うじゃありませんか。「大は小を兼ねる」と……。
結論から書くと、PCや周辺機器の掃除は十分に可能でした。FRB40VAはトリガースイッチの部分にダイヤルがあり、風量を調整できるのが特徴です(同スペックで風量調整のないモデルはFRB40SA)。
この風量調整のおかげで、ホコリを飛ばす機器にあわせ、好みの風量に調整できます。さらに、ブロワー自体の騒音もコントロールできる……。まさに、筆者の目的にピッタリです。
キーボードやPC内部のホコリを飛ばすほどの風量(弱〜中程度)なら、静かなヘアドライヤーやハンディー掃除機の静音モードくらいの音量です。集合住宅や、寝室が隣でないなら、夜でも気にならない音量レベルでしょう。ただし、筆者はキーボードなどのホコリの吹き飛ばしを中庭でやっているので、日中に使うようにしています。
注意点としては、缶入りのエアダスターに比べるとブロワーは空気吹き出し口が2.5cmと大きいため、大量の空気が吹き出します。PCの内部などを掃除したときは、強い風によるパーツやコネクターの緩みを確認する必要があります。
また、強い風圧を当てると、コネクターやコードなどが基板にぶつかるほか、薄くて脆い材質のパーツそのものが損傷するおそれもなくはありません。風圧に注意しながら掃除を進める必要があります。
ブロワーがあれば、車の洗車の時短で便利に
PCや周辺機器の掃除以外にも、ブロワーの用途はたくさんあります。とくに筆者が便利だと感じたのは、洗車後の水滴を吹き飛ばす使い方。
ボディーなどの広い部分は軽く水滴を飛ばすだけで、拭いたタオルを絞る回数がだいぶ減りました。タオルが入らない、サイドミラーやドアハンドル内部やフロントグリルなどの水滴もしっかりと取り除けるので、拭き上げの時間そのものが半分ほどになります。
とくに冬の時期には、水に触れる回数(タオルを手で絞るなど)が減るため、ブロワーを使った洗車はオススメです。
また、吹き出し部分にダストパックを取り付け、吸気口にホース(ともに本体に付属)を取り付けると、FRB40VAは掃除機としても使えます。
車内の床やシートの掃除程度であれば十分に使えるため、洗車にあわせて車内清掃もできます。ただし、車内の土などを吸うと、ブロワー内部やファンに汚れが付着します。PCなどの精密機器の掃除と共用で使うなら、シートの掃除だけにとどめ、土汚れなどの吸い込みは避けたほうが良いでしょう(空気吹き出し口から土ボコリなどが排出される場合があります)。
バーベキューの火おこしにも大活躍!
筆者は来客があると、炭火で焼いた魚や野菜を料理に出すことがあります。そんなときに、ブロワーがあると、着火時から炭火が安定するまでの時間を大幅に節約できます。
もしキャンプが趣味なら、AC電源タイプではなくコードレスタイプのブロワーを使えば、野外でのバーベキューでも活躍する機会は多いでしょう。夜にテントに付着した夜露や水滴などを、収納前に吹き飛ばすこともできるはず。
普段よりキレイになる、吸う掃除と吹き付け掃除
ブロワーを掃除に使って気がついたのは、「掃除機を使った『吸う掃除』だけでは十分ではない」ということ。掃除機のノズルや雑巾の入らない場所は意外に多く、そんな場所の掃除にブロワーが威力を発揮します。
屋外なら、吹き付け掃除によるホコリの舞い上がりは気になりませんが、室内でブロワーを使った掃除をするポイントは以下の通りです。
●室内でブロワーを使った掃除をするポイント
1)窓やドアのある部屋なら開けておく
2)軽く部屋全体のホコリを掃除機で吸っておく
3)ノズルの入らない箇所にブロワーで空気を吹き付ける
4)もう一度部屋に掃除機をかける
普段の掃除よりも手間は増えますが、2〜3ヵ月に1度やるだけでも部屋のホコリが驚くほど少なくなります。おそらく、年末の忙しい時期に、大掃除をしなくても済むかもしれません。
ブロワーは持っていなくても困る道具ではありませんが、あればとても便利。キレイ好きな方は、ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。
前田知洋(まえだ ともひろ)
東京電機大学卒。卒業論文は人工知能(エキスパートシステム)。少人数の観客に対して至近距離で演じる“クロースアップ・マジシャン”の一人者。プライムタイムの特別番組をはじめ、100以上のテレビ番組やTVCMに出演。LVMH(モエ ヘネシー・ルイヴィトン)グループ企業から、ブランド・アンバサダーに任命されたほか、歴代の総理大臣をはじめ、各国大使、財界人にマジックを披露。海外での出演も多く、チャールズ英国王もメンバーである The Magic Circle Londonのゴールドスターメンバー。
著書に『知的な距離感』(かんき出版)、『人を動かす秘密のことば』(日本実業出版社)、『芸術を創る脳』(共著、東京大学出版会)、『新入社員に贈る一冊』(共著、日本経団連出版)ほかがある。
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