マルチで活躍するイヤフォンだが、FPSはゲームアンプと組み合わせが必要?
フィット感や疲れにくさ重視なら最適、ゲーミングイヤフォン「Razer Moray」を試す
個人的オススメポイント4:取り回しのいいケーブル
また、シュア掛けと呼ばれるケーブルを耳のうえにとおすタイプだが、耳元のひっかかりやしめつけなどもなく、自然体でいられる。ケーブル自体はやや硬めで癖が付きやすいが、自宅で据え置いて使うぶんにはさほど問題にはならない。
長さは1.6mでややゆとりがある。筆者はデスクのモニターに直挿しして使うことが多いが、この場合だとケーブルは余るので背中にまわして使っていた。タッチノイズもほぼ気にならないのもグッド。
個人的オススメポイント5:聞き疲れしにくい音の調整
あとで手のひらを返すと予告しておくが、「Razer Moray」の音は聞き疲れしにくい調整がなされている。バランスドアーマチュアドライバーとダイナミックドライバーによって。歯切れのよい滑らかな高音域と、深みのある重低音が実現している。確かにこれは聞き疲れしにくいというメリットがある。
筆者は音楽をガンガン聞きながら暮らしている。どちらかというと聞き疲れてしまいたいと思うタイプだが、「Razer Moray」を使っている間はフィット感も手伝って、イヤフォンを外したいと思うことは少なくなった。
個人的イマイチポイント1:痩せ細った音
「聞き疲れしにくい音の調整」といったものの、「歯切れのよい滑らかな高音域」の裏には「高音域が細くなりがちな高音域」が潜んでいる。音の分離感についても完璧とは言い難い部分がある印象で、筆者のように音楽をガンガン聞くような音楽鑑賞にはあまり向かないと感じた。ただしこれは音楽のジャンルや個人の好みによるところも大きいため深く言及しない。音楽鑑賞の際には、自身で確かめてみてほしいと思う。
個人的イマイチポイント2:FPS用途ではまだまだ
FPSをするうえでイヤフォンに求められるのは「敵の位置がわかる」ことだ。私個人としては、この点については若干物足りなさを感じた。というのも、音の方向は問題なくわかるが、“音の距離“を正確に判断できるかというと難しかった。FPSでは、敵と自身の距離を音で確実に判断したい場面がある。例えば、敵がこちらを覗いてくるタイミングや、敵が去っていった音など、距離に関する鮮明さに欠けると、シビアな戦闘には厳しくなる。
また、前述の通り、高音域でやや聞き取りづらい部分があると敵の出す足音や衣擦れの音など、細かい音を拾い上げるといったシーンで影響が出る。全体的に疲れない音である反面、ゲームで鳴っている音が1vつにまとまって流れてくるような印象を受けた。
今回は直接使ってみたが、もしかしたら「THX ONYX」を始めとしたゲームアンプに挿して使ってみるとまた印象は変わるかもしれないと補足しておく。
疲れたくないユーザーにはうれしい一本
筆者は普段から、FPSをするうえでよくしられるIEMであるSennheiserの「IE 100 PRO」やSHUREの「SE215」を使っている。これらの製品に対抗する形でRazerからも優れた製品が登場することを期待していたが、私の個人的な評価としては、その期待を大きく上回るものではなかった。第三勢力として(finalがあるかもしれないが)Razerが殴り込みをかけてきてくれるのではないかと期待をしすぎたのかもしれない。
また、「IE 100 PRO」「SE215」は1万3000円前後なのだが、「Razer Moray」は2万1980円だ。オーディオ機器メーカーの製品と比べるのもいかさか酷な話ではあるが、“長時間疲れず使用し続けられる“製品にどれくらいの価値を置くかは、判断の分かれるところだろう。
FPSや音楽鑑賞には向かないと感じたものの、「疲れにくさ」に関してはとてもいい。音がゲーム情報に直結しないRPGやアクションゲーム、アドベンチャーゲームといったいわゆる“ソロゲー”と呼ばれるジャンルをひたすらプレイしたいユーザーや、Razerが謳うように長時間椅子に座って配信をするユーザーにとってはうれしい一本かもしれない。
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