このページの本文へ

前へ 1 2 次へ

生成AI開発を加速するAmazon Bedrockがいよいよ東京リージョンへ

「デジタル棟梁」の実現に向け、竹中工務店がAmazon Bedrockを試用

2023年10月03日 16時30分更新

文● 大谷イビサ 編集●ASCII 写真提供●AWS

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

 2023年10月3日、アマゾン ウェブ サービス ジャパンは生成AIサービス「Amazon Bedrock」の東京リージョンでの一般提供開始を発表した。記者発表会では、米AWS 生成AI統括 ヴァイスプレジデント ヴァシ・フィロミン氏がAmazon Bedrockや生成AIの開発について説明。また、Amazon Bedrockを試作した竹中工務店が社内データを組み込んだ生成AIの可能性やサービスのメリットを披露した。

米AWS Vice President of Generative AI ヴァシ・フィロミン氏

AnthropicやStability AIもコメント 基盤モデルを選べるAmazon Bedrock

 機械学習の分野におけるAmazonのイノベーションを振り返ったアマゾン ウェブ サービス ジャパン 代表執行役員社長 長崎忠雄氏に続いて登壇したのは、生成AI関係のヴァイス・プレジデントであるヴァシ・フィロミン氏。同氏は「これほどの盛り上がりはクラウド以来」と生成AIについてまずアピールした。

 一般提供が発表されたAmazon Bedrockは、生成AIアプリケーションの開発を支援するマネージド型の基盤モデルサービス。複数の基盤モデルを自由に選択できるのが大きな特徴で、Amazon Titanのみならず、AI21 labsのJurassic-2、AnthropicのClaude 2、CohereのCommand、Stability AIのSDXLなどサードパーティの基盤モデルも選択できる。先日、Meta AIのLlama 2がサポートされたことも発表された。

基盤モデルが選択できるAmazon Bedrock

 動画コメントで登壇したAnthropicのダリア・アモディCEOは、業界随一となる10万トークンのコンテキストを扱えるClaudeにより、問い合わせやワークフローの自動化が可能になるとアピール。また、画像生成AIのStable Diffusionや言語生成モデルのStableLMを展開するStability AI日本代表のジェリー・チー氏は、CanvaやフォトグラファーAIなどの事例を紹介。長らくAWSを利用してきたチー氏は、「GPUは管理が大変なので、サーバーレスで生成AIが使えるのは、いろいろな会社にとって刺さるはず」とコメントした。

基盤モデルのカスタマイズ AWSが提供するツール、インフラ、トレーニング

 フィロミン氏は、Amazon Bedrockの周辺ツールとして、生成AIのためのエージェント「Agents for Amazon Bedrock」をあわせて紹介した。基盤モデルをAPI経由で利用し、タスクのプロンプトを自動生成し、ユーザーのオリジナルデータを組み込んで、リクエストを満たすためのアクションを実行できる。

プロンプト生成やオーケストレーション可能なAgents for Amazon Bedrock

 たとえば、ユーザーのリクエストに応えるチャットボットを作る場合、基盤モデルによっては、最新のデータを持っていないために回答できなかったり、誤った答えを回答してしまうハルシネーション(幻覚)が起こってしまう。しかし、Agents for Amazon Bedrockで回答を生成するためのS3データソースを指定すればOK。複雑なタスクも、複数に分割し、リクエストに応えることができるという。

 また、Amazon Bedrockは自社データでファインチューニングを行なうことで、基盤モデルをカスタマイズすることも可能だ。たとえば、コンタクトセンターのやりとりを学習させる場面であれば、問い合わせをしてきた相手が顧客なのか、エージェントなのか、反応はネガティブなのか、ポジティブなのか、相手の要望は質問なのか、リクエストなのかなど、データにラベルを付けて、カスタマイズを進めていくことができる。

 フィロミン氏が強調したのは、こうしたカスタマイズがプライベートかつセキュアに実現できるという点だ。基盤モデルのプライベートコピーを用いるため、基盤モデルの学習に利用されることはなく、データがユーザーのVPCから外に出ることもない。もちろん、GDPRやHIPAAなどの標準規格にも準拠する。「最初からエンタープライズグレードの利用を念頭にして開発されている」とフィロミン氏はアピールする。

プライベートかつセキュアに利用できる

 さらにAWSではトレーニングコストを削減するためにTrainiumやInferentiaなどのカスタムシリコンを開発している。また、AIコーディングコンパニオンであるAmazon CodeWhispererをを用いることで、リアルタイムにコードを提案してくれる。加えて、「Amazon CodeWhisperer Customization Capability」を用いることで、組織内でのコードベースに基づいて、組織独自の推奨コードを生成してくれるという。

 最後、フィロミン氏は生成AIを活用するための3つの提言を披露した。1つ目は正しいユースケースの選択ということで、データ基盤への投資を行なうことだ。「データこそが汎用の生成AIアプリと、本当にお客さまを知っているアプリの違いを生み出すことになる」とフィロミン氏は指摘する。あわせて人材への投資やトレーニングも必要で、AWSとしても600を超える教育コースを提供する。そして、Amazon Bedrockで基盤モデルを選択し、PoCを始めることを勧めた。

前へ 1 2 次へ

カテゴリートップへ

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります

アクセスランキング

  1. 1位

    ITトピック

    IT技術者の4割が「5年後のスキル陳腐化」に危機感/働くシニアは多いが「長く働きやすい」環境ではない日本/トークンコストの成果証明は難しい、ほか

  2. 2位

    データセンター

    AIデータセンターの「電力・冷却課題」打破へ シュナイダーが営業・設計・現場を直結する新組織立ち上げ

  3. 3位

    TECH

    二酸化炭素を資源に変える新触媒、新しい合金を電気で合成

  4. 4位

    デジタル

    ヤマハ、RTX1300の「ひかり電話アダプターモード」を解説する無料ウェビナーを10月15日に開催

  5. 5位

    サーバー・ストレージ

    「身代金を払えば復元できる」は過去の幻想――約束を守らない攻撃者と変容するランサムエコシステム

  6. 6位

    ソフトウェア・仮想化

    Microsoft IQとは? AIエージェントが必要とする理由は? マイクロソフトの担当幹部が解説

  7. 7位

    クラウド

    NTTドコビジが「GPUaaS」提供へ 1分単位で利用でき、ハイブリッド構成も可能

  8. 8位

    sponsored

    乱立する文書管理をBoxに統合へ、オークネットは基盤整備で「AIをビジネスの武器にする」

  9. 9位

    sponsored

    ルールは作ったが… 現場の「勝手にAI利用」が止まらない! どうやったら防げた?

  10. 10位

    IoT

    フィジカルAI時代を見据え、NTTドコビジがNaaS基盤を強化 数万台のIoTデバイスをセキュアに管理

集計期間:
2026年09月23日~2026年09月29日
  • 角川アスキー総合研究所