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AWS、金融領域において顧客課題起点で生成AIを訴求

金融業界で進む生成AIの検証 三菱UFJ銀行、ナウキャスト、シンプレクスが披露

2023年10月16日 12時00分更新

文● 福澤陽介/TECH.ASCII.jp

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 アマゾン ウェブ サービス ジャパンは、2023年10月13日、金融領域における生成AIの活用事例に関する記者説明会を開催した。

 AWSは、10月3日に生成AIサービス「Amazon Bedrock」の東京リージョンでの一般提供を開始。その他にも生成AI関連サービスのアップデートが続く中で、国内外の金融機関やサービスプロバイダーが、AWSの生成AIサービスの活用やユースケースの検証を推進しているという。

生成AIにおいても顧客課題を起点にアプローチ

 登壇したアマゾン ウェブ サービス ジャパン 金融事業開発本部 本部長 飯田哲夫氏は、金融領域での生成AIのアプローチについて、「生成AIそのものの特徴から議論をスタートさせると、実際のユースケースの前に、機能を検証する形で終わってしまう」と前置きする。

アマゾン ウェブ サービス ジャパン 金融事業開発本部 本部長 飯田哲夫氏

 そこで、AWSは、クラウドと同様に生成AIに関しても、インフラプロバイダーではなくビジネス変革の戦略パートナーになるという、金融領域のビジネス戦略「Vision 2025」に沿った姿勢を打ち出す。Vision 2025で定義する4つの顧客課題に「社内業務における生産性向上」を加えた5つの課題に対応して、生成AIの価値を訴求する。

AWSが挙げる金融業界の顧客課題
・既存の枠組みを超えたビジネスモデルへの挑戦
・新生活様式を織り込んだ顧客との関係構築
・予測できない未来に耐え得る回復力の獲得
・変革を実現する組織と人材の育成
・社内業務における生産性向上

顧客課題に対応した生成AI活用の支援とAWSの提供価値

 説明会では、日本に先行して活用が進む、グローバル金融におけるAWSの生成AIサービスのユースケースも紹介された。

 リテール金融を扱う英NatWestは、Amazon Bedrockを活用して、高度化する金融犯罪の脅威に対応。年金運用で知られる米Principal Financial Groupは、Amazon BedrockとAmazon Titanを、電話対応や法人顧客の仕分けといった、ユーザー対応の領域で活用する。

グローバル金融における AWS の生成AIサービスのユースケース

 「グローバルで多いのが顧客対応。コールセンターやチャットボットに組み込むユースケースが増えてきている。もう1つ金融領域で特徴的なのは、不正取引の検知などの不正対策での活用。今後は発展して、独自の言語モデルを作り、新しいサービスを生み出すという例が見えてくる」と飯田氏は説明する。

生成AIが進展する中、技術の目利き・内製化は競争力の源泉

 国内の事例として、まずは、三菱UFJ銀行の市場企画部市場エンジニアリング室 の堀金哲雄氏が登壇、同行の生成AIの取り組みについて語った。

三菱UFJ銀行 市場企画部市場エンジニアリング室 堀金哲雄氏

 三菱UFJ銀行における、生成AIに対する方針は、有用性と安全性を見極めた上で業務のあり方を変革すること。すべてを全自動にせず、良き相棒として行員と一緒になり業務を進めることであり、全行員がAIデフォルトでアナログなおもてなしの価値を最大化できるよう準備を進めている。

 全行的には、ChatGPTの検証を進めている。手続き照会、稟議アシストサポート、金融レポート要約サポートにおける初期のユースケースでは、「即効性のあるソリューション」というフィードバックを得ているという。現状、30の銀行固有なユースケース、80の汎用的なユースケースをもとに、優先付けてPoCを進めている。

ChatGPTの活用ユースケース

 一方で堀金氏の所属する市場部門では、2年前よりAI・機械学習モデルの内製開発チームを立ち上げ、「AQUAM」と呼ぶ分析基盤をAWS上で構築。商用利用可能なLLMモデルが増え、行内固有のデータやユースケースが蓄積してきたタイミングで、AWSの生成AI検証のプロジェクトチームを立ち上げ、AWSのGAIICチームからも協働を得ている。

 チームでは、15の検証モデルと、照会対応、要約、コード生成、Chatの4件のユースケースを検証。本番運用を見据えて、モデル精度と推論コストのトレードオフ、モデルそのものやモデル外の課題などを洗い出し、行員自らがモデルをホストしたり、SaaSを活用したりして、検証を進めたという。

 堀金氏は検証について「実データを安全に使用できたことで、公開情報だけではなく、実務に即したモデル評価ができた」と言う。

AWSを活用した生成AIへの取り組み

 今後の展望について堀金氏は、「生成AIの技術やモデルの進展、ユースケースの拡大は目覚ましいものがある。そのため、コアとなる技術を目利きし、内製化できることは、競争力の源泉になるのではないか」と語った。

 加えて、ChatGTP(Azure Open AI)も含めた、行内での生成AIサービスの使い分けに関しては、「現状いろいろなモデルがある中で、どれが良いという状況ではなく、どう使い分けるかは今後の課題」という。

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