ポータブル電源を買った。
ポータブル電源とは、アウトドアや災害時に使える、大容量のバッテリーのことだ。
100Vをアウトプットできるものが多い。
災害時にスマホの充電ができないと、重要な情報を得ることができないし、とても不安になってしまうだろうと思い、前からポータブル電源に興味があった。
しかし、ポータブル電源は思ったより値段が高く、安いものでも3万円程度、高いものだと10万円を超えるため、躊躇していた。
今回、ポータブル電源を買う踏ん切りがついたのは、作品の撮影に使いたかったからだ。
「はたらくくるま」作品の撮影に使いたい
8月1日から10日まで、福岡で「はたらくくるまがすきなひとたち展」というグループ展を開催する。
タイトルの通り、働く車をテーマにした作品展だ。
福岡にはオーレックという草刈機メーカーがある(オーレックの工場見学をさせてもらった際のレポート記事はこちら「乗れる草刈り機がかっこいい」)。
オーレックは福岡の天神の近くにカフェを持っており、今回はそこを借りて展示をさせてもらう。
オーレックのカフェは草刈機メーカーとしてのこだわりが詰まったカフェだ。草でできたストローを使ってプラスチック削減をしていたり、ライスミルクでできたドリンクを飲むことができる。
働く車をテーマにした展示なので、油圧ショベルをテーマにウェアラブルロボットを作ることにした。
普段、ウェアラブルロボットはロボット用のリチウムポリマー電池で動かしている。
ウェアラブルなのだから電池で動かすのが真っ当なわけだが、長期の動展示をするときは、コンセントから電源を取って展示をすることになる。
今回、コンセントからもバッテリーからも両方で動くように設計をするのがちょっと面倒くさかった。
ポータブル電源で動かせば、コンセントがない場所でも100Vで動かせるし、撮影の間くらいだったらそれで問題ないのでは?と思ってしまったのだ。
ポータブル電源を購入する言い訳が欲しかったのかもしれない。
ポータブル電源選び:結局はデザインとカラーで決めてしまった
ポータブル電源は、大きなバッテリーな訳で、爆発した時のリスクがモバイルバッテリーの比ではない。
その恐怖から、なるべく有名メーカーだったり、日本企業の製品だったりを選ぶことにした。
他に購入の際に気をつけたこととしては、何ワットまで出せるか(ドライヤーや電気ポットを使えるかどうかが決まる)、LEDランタンは付いているか、である。今回はソーラーパネルを購入していないが、ソーラーパネルで充電できるかどうかも重視した。
結局、最終的にはデザインとカラーで選んでしまった。
購入したのは、Smart Tapの「PowerArQ3」だ。
購入当時、Amazonプライムセールで安くなっており、通常8万円台のところ6万円台で購入することができた。
PowerArQはアウトドアに合うデザインで、カラーバリエーションが多い。さらにSmart Tapは日本企業だ。
今回、ウェアラブルロボットを黄色と黒で構成し、衣装は作業着にしようと考えていた。
モデルさんの手持ちの作業着がグレーだったのもあり、「オリーブドラブ」というグレー系のカラーを選んだ。
モデルさんが作業着を持っていることがまあ珍しいのだが、今回モデルをお願いしたKayaちゃんは私が知る限り1番かっこよく作業着を着こなすモデルさんだ。
今回はグレーのベストとプリーツスカートを合わせてもらった。
さらに、PowerArQ3は、中身のバッテリーを交換することができる。つまり、バッテリーが劣化したら交換できるし、なんならバッテリー2台体制だってできるのだ。
でかいし重い、結構うるさい
PowerArQeが届いてまず、箱のサイズにビビってしまった。
でかいし重い……。
ポータブル電源は安いものだと3万円台で買えるのだが、3万円台のものだと、もちろん容量も小さいので、せっかく買うならもう少し容量の大きいものを買おうと考えた。
しかし10万円台は手が出ないので、6万円前後を予算とした。
今回購入したPowerArQは、555whの容量を持ち、スマートフォンを31回充電できる。
これでスマホ中毒者も安心だ。
しかし、今回購入したPowerArQ3は100Vコンセントのアウトプットが5Aまでなのでドライヤーなどは使えない。
上位モデルのPowerArQ Proでは1000Wの出力があり、ドライヤーも使えるそうだ。
そして充電してみたところ、ファンの音が結構うるさい。
家だからいいけれど、もし災害時の避難所で充電しようとしたら躊躇するかも……な音の大きさ。
というか、これ、避難所に持っていけるのかな。
かなり重い(7.9kg)ので、急いで向かうシチュエーションだったら絶対置いて行った方がいい。
停電時に家で過ごすシチュエーションで役に立つんだろうなあ。
アウトプットの口はコンセントが2口、USBAが4口、USBCが1口だ。
それから、ワイヤレスチャージャーもついている。
今回、ウェアラブルロボットはサーボを制御するマイコンの電源とサーボに供給する電源と2つ欲しかったので、コンセント2口を使うことにした。
マイコンが2A、サーボが3Aだったので、足して5Aで、容量もぴったし使えそうだ。
しかし撮影はとてもラクだった
撮影でポータブル電源は隠そうと思っていたのだが、アイテムとしてマッチしていたので手に持ってもらったり、床置きしたり、電源に軽く腰掛けてもらったりした。
腰掛けるのってNGなんだっけ?
今回、迷路のある公園で撮影をした。
油圧ショベルがテーマだったので、公園の砂場で撮影をしたかったのだが、公園の砂場は意外と小さかったり、囲いがかっこよくなかったりでいいところが見つからなかった。
画像検索をかける中で、見つけたのがこの公園だ。
地面が土で、黄色の迷路があって、サイズ感もちょうどいい。
土を掘ったようになっているスペースがあり、そこの中央で撮影すると、まるで「私がやりました」という「生産者の顔」みたいな写真になって面白い。
重いことを除けば、撮影をポータブル電源でやるのはとても楽だった。
野外での撮影で照明を焚けたりしたら便利だけれど、500Wしかだせないからそれは無理かなあ。
今後使いこなせていったら1000Wも考えてみたい。
筆者紹介:きゅんくん
1994年東京都出身。
ロボティクスファッションクリエイター / メカエンジニア
高校生の頃に「メカを着ること」を目標にロボティクスファッションの制作を始めた。「人間とメカがゼロ距離で近づいた際に人は何を思い感じるのか?」を明らかにするため、2014年よりファッションとしてのウェアラブルロボットの開発を開始。2018年よりウェアラブルロボットと人のインタラクションについて深めるため修士課程に進学。修了後もATRの連携研究員として、ウェアラブルロボットと人のインタラクションの研究を進めている。 DMM.make AKIBAスタートラインメンバー。
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