ASCII Power Review 第212回
薄さ11mm切りで実測14時間駆動でまさに理想のマシンだった
990gで15型OLEDを搭載した超軽量モバイルノート「LG gram SuperSlim」実機レビュー
2023年07月06日 10時00分更新
LGエレクトロニクス・ジャパンは、軽さに定評のあるLG gramシリーズに、15.6インチ有機ELディスプレーを搭載し、薄さ、軽さ、大画面、高画質を追求した「LG gram SuperSlim」(以下、SuperSlim)を発売した。
本製品はLG gram史上、最も薄い10.99mmの薄型ボディーを実現したモバイル特化型マシン。15.6インチの大型有機ELディスプレーを搭載しつつ、お得意のマグネシウム合金製ボディーを採用することで、約990gという軽量性と、米国国防総省「MIL-STD-810H」準拠の耐久テストをクリアする堅牢性を両立している。
この時点で結論を言ってしまうと、SuperSlimは筆者にとって限りなく理想に近いモバイルノートPCに仕上げられている。非常に気に入ったからこそ、いいところ、気になったところを思い入れたっぷりにレビューしていこう。
薄さは11mm、重量は1kg切り
SSDは一部通販で増設可能
SuperSlimはOSに「Windows 11 Home」、CPUに第13世代(Raptor Lake)の「Core i7-1360P」(12コア[Pコア×4、Eコア×8]、16スレッド、最大5.00GHz、28W)を採用。メモリーは16GB(LPDDR5-6000、増設不可)、ストレージは512GB(M.2 2280 PCIe Gen4 x4接続SSD)を搭載している。
ディスプレーは15.6インチフルHD OLEDで1920×1080ドット、16対9比率、DCI-P3 100%、60Hz、、輝度500nit、コントラスト比100万対1、アンチグレアを採用。ディスプレー上部にはフルHD(1080p)ウェブカメラ、顔認証カメラ(IRカメラ)、デュアルマイクを内蔵している。
インターフェースはThunderbolt 4(USB4 Gen3)×2、USB 3.2 Gen2 Type-C、3.5mmコンボジャックを用意。無線通信はWi-Fi 6EとBluetooth 5.1をサポートしている。
本体サイズは356×227.45×10.99mm、重量は約990g。60Whのリチウムイオンバッテリーを内蔵しており、バッテリー駆動時間は最大13時間、充電時間は最大2時間と謳われている。
スペックで気になったのはメモリーとストレージの容量。メモリーはなんとかやりくりできるとしても、ストレージが512GBでは心許ない方も多いことだろう。ストレージは空きスロットが1基空いているので増設可能だが、メーカー保証が切れる可能性がある。
執筆時点で調べたところ、アプライドネットで購入する際には、最大2TBのSSDをカスタマイズ購入として選択できる。ストレージ容量が物足りない場合には利用をお勧めする。
もうひとつの留意点はキーボードが英語配列であること。これは歓迎する人、苦手な人がいるだろう。個人的には記号は句読点、音引き(-)、感嘆符(!)ぐらいしか常用しないので気にならないが、日本語配列以外は使えない方はSuperSlimを避けたほうが無難だ。
最大の売りは「有機ELのLG」が初搭載した15型ディスプレー
キーボードはテンキーレスにして欲しい
使い勝手におけるSuperSlim最大の売りは15.6インチフルHD OLEDディスプレーだ。有機ELパネルの供給元として,gramシリーズへの初めての搭載である。解像度がフルHD(1920×1080ドット)では物足りないと考える方もいるだろう。しかし実際に使ってみると、OLEDならではの鮮やかな色彩がそんなことを忘れさせてくれる。
またディスプレー表面がアンチグレア低反射仕様となっており、映り込みがほとんど気にならないのも美点。照明が直接当たれば光が反射するが、それでもある程度画面が見えるのはOLEDとアンチグレア低反射を組み合わせたことによる恩恵である。
なお色域をいつもどおりカラーキャリブレーション機器で計測したところ、sRGBカバー率は100.0%、sRGB比は156.7%、AdobeRGBカバー率は98.5%、AdobeRGB比は116.1%、DCI-P3カバー率は100.0%、DCI-P3比は115.5%という値が出た。AdobeRGBで撮影した写真の色調整にも活用できるわけだ。
使い勝手においてユニークなのがショートカットキーの一覧表示機能だ。
Fnキー、Windowsキーを長押しすると、それぞれのショートカットキーの組み合わせがオーバーレイ表示される。すべてのショートカットキーを覚えている人は少ないはず。ショートカットキーを完全マスターするのに、SuperSlimはもってこいのマシンだ。
英語配列キーボードのキーピッチは19.05×18.5mm、キーストロークは1.0±0.2mmだ。
10.99mmの薄型ボディーを実現するために、必然的に浅くなったが、適切なクリック感があり、打鍵感は良好だと感じた。昔のLG gramのタッチパッドはどこまでも押していけるような感触が頼りなかったが、SuperSlimのタッチパッドは小気味よい押し心地。キーボードもタッチパッドもフィーリングは文句なしだ。
しかし個人的にひとつ残念なことがある。それはテンキーが存在すること。筆者はEnterキーの右にキーがあると誤入力してしまうことがある。またテンキーが右にあるぶん、ホームポジションが左寄りになる。
この身体をよじる姿勢が苦手なのだ。LG gramシリーズの大画面&軽量という特徴には非常に魅力を感じているが、テンキーレスの大画面モデルもぜひラインナップしてほしい。
ディスプレー上部にはフルHD(1080p)ウェブカメラが内蔵されている。テスト撮影したところ、室内灯下でも明るく、自然な発色で撮影できた。スマートフォンを製造していたときのノウハウが生かされているのだろう。
なお、HDRがオフだとややノイズが多めだが、これはイメージセンサーの限界によるものだと思われる。
CPU速度は省エネ優先だがストレージは爆速
バッテリー駆動は14時間超え
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