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小倉のゼンリン博物館で世界最初のカーナビや道路地図の歴史を見た!

2023年06月11日 12時00分更新

文● 会田 肇 編集●ASCII

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 日本最大の地図メーカーとして知られるゼンリンが運営する地図の博物館「ゼンリンミュージアム」(福岡県北九州市小倉北区室町1-1-1)で、道路地図やカーナビゲーションの歴史に焦点を当てた企画展「クルマの地図 大集合!!~68年の軌跡~」が5月20日より開催されている。

1981年に登場した「ホンダ・エレクトロ・ジャイロケータ」。世界初のカーナビゲーションとしてIEEEに認定された

 この企画展は、日本発の道路地図の誕生から、世界初のカーナビゲーションの実機を集めた内容となっているもので、知られざる“クルマの地図”の歴史を知るにはまたとない機会となっている。その見所を現地で取材した。

クルマとナビの歴史を辿る
ナビの1号機はホンダ!

 会場は大きく道路地図とカーナビゲーションに分けられ、それぞれの歴史をたどる形で展示が展開されている。

 まず入って真っ先に目にするのが、今から68年前の1955年(昭和30年)に日本で初めて道路地図として使われた20万分の1地形図・地勢図だ。移動や物流の手段のほとんどを鉄道に頼っていた当時の日本は、欧米に比べて道路政策で遅れをとっており、日本中が未舗装の悪路だらけ。当然、道路地図の必要性はあまり感じられない時代で、その時代に提供されたのがこの地図だ。

1955年に日本で最初に道路地図として使われた20万分の1地形図・地勢図

1958年、建設省道路局監修の下、地図会社の武揚堂が発行した日本初の道路地図

 道路地図が初めて登場するのはそれから3年後の1958年のことになる。1958年と言えば、東京タワーが開業し、政府の国民車構想の下で“てんとう虫”こと「スバル360」が誕生した年。時代は高度経済成長期に入り、ここから本格的なモータリゼーションを迎えるようになる。ドライブを家族で楽しむのが一般化し、数多くの地図会社が様々な地図を手掛けるようになったのもこの時期だ。

 1964年(昭和39年)の東京オリンピックを迎えるにあたり、その前年には日本初の高速道路となる名神高速道路が一部区間で開通。そこから日本はいよいよ高速道路を使った本格的なハイウェイ時代に入っていく。20年後の1983年には中央自動車道や中国自動車道が開通し、その総延長距離は3435kmに上った。

1980年代になると目的に応じた多彩な道路地図が様々な地図会社から出版される

 そうした時代に合わせ、地図会社はユーザーの移動ニーズに多様化に合わせ、様々な種類の道路地図を用意した。会場では、こうした時代の変遷とともに、ドライブを楽しむのに欠かせない必携アイテムとなった道路地図の歴史を見ることができる。カーナビゲーションが登場していた時期にも関わらず、道路地図として大ヒットした1994年(平成6年)に登場した昭文社の「スーパーマップル」の展示もある。

GPSカーナビが登場する中で、より詳細な地図情報を収録して大ヒットした昭文社「スーパーマップル」

 道路地図を助手席でグルグルと回して使った経験のある人も、地図に従っていたつもりが全然見当違いの場所に進んでしまった人も、その記憶を振り返りながら道路地図の歴史に触れられる良い機会になると思う。

 一方のカーナビゲーションの展示は、1981年(昭和58年)に登場した「ホンダ・エレクトロ・ジャイロケータ」からスタートする。この機種はまだGPS衛星による測位がなかった時代に、ガスレートセンサーで車両の動きを検知して現在地を測位することに成功している。これが評価されて2017年にIEEEによって“世界初の地図型自動車用ナビゲーションシステム”として認定された。会場ではカーナビの歴史を築き上げたこの貴重な現物を見ることができる。

ゼンリンミュージアムでは地図の歴史を知ることができる貴重な資料が数多く展示されている

 また、カーナビの歩みは地図のデジタル化とも連動する。会場には三菱電機の協力の下、地図のデジタル化に成功したゼンリン製CD-ROMが展示され、同時に三菱電機がそれを使ってカーナビゲーションを目指すコンセプトを披露した1985年(昭和60年)当時の東京モーターショーカタログを見ることができる。

 そして、1990年にはGPS衛星を使った世界初のカーナビゲーションとして、ユーノスコスモに搭載された「GPSS」や、パイオニアのサテライトクルージングシステム「カロッツェリア・AVIC-1」が登場。会場にはAVIC-1の実機が展示されている。

 また、ルートガイドを機能を搭載して名実ともにカーナビゲーションとして提供されたのが1992年(平成4年)に登場したトヨタ・セルシオの「ボイスナビゲーションシステム」だ。会場ではそのシステムのすべてを展示しており、全国の地図を4枚のCD-ROMに収録してCDチェンジャーによってエリアを切り替えていたことも伝えられる。

トヨタがセルシオに搭載した「ボイスナビゲーション」。システム全体を見ることができる

 そのほか、カーナビの普及に大きく貢献したソニー「NVX-F10」や、ポータブル型ナビの走りとも言える三洋「ゴリラ」の初代モデルを展示。増え続ける地図データを、DVDやHDDを使って大容量化に備えたカーナビの変遷も流れを追いながら見ることができる。今でこそ、スマホ1つで日本国内にとどまらず世界中の地図が見られるようになっているが、そうした実現に至るまでには、こうしたカーナビの歴史があったことを目の当たりにできる貴重な機会と言えるだろう。

カーナビの普及に大きく貢献したソニー「NVX-F10」(左)。ナビソフトも目的に応じた多彩なラインナップを揃えた

モニターやGPSアンテナなどカーナビに必要なすべてを一体化した三洋「ゴリラ」初号機。初のポータブル型ナビでもある

 「クルマの地図 大集合!!~68年の軌跡~」の開催期間は2023年9月3日(日)まで、北九州市小倉区にあるゼンリンミュージアム内多目的展示室で開催されている。開催時間は10~17時(最終入館16時30分)で休館日は毎週月曜日だが、祝日が重なった場合は翌平日に変更される。入場料は常設展示も含め、一般1000円。会期中は有料入館者全員に、昭和45年に日地出版が発行した道路地図の表紙をモチーフにしたオリジナルデザインのチケットホルダーが配られる。

有料入館者には、昭和45年に道路地図の表紙をモチーフにしたオリジナルデザインのチケットホルダーがもらえる

 九州観光のついでに、のぞいてみてはいかがだろうか。

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