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最新パーツ性能チェック 第411回

DLSS FG対応ゲームではRTX 30シリーズとどう変わる?

流行りのAI処理でもパフォーマンスを徹底検証!GeForce RTX 4070レビュー【後編】

2023年04月23日 11時30分更新

文● 加藤勝明(KTU) 編集● ジサトラユージ/ASCII

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ゲーム中の消費電力や熱は?

 検証の締めくくりとして、今回テストしたRTX 4070 FEの実消費電力(TBP:Total Board Power)やGPU温度などをチェックしておこう。

 TBPの計測には、ゲーム検証時にも使用した「PCAT v2」を使用する。ゲームによりTBPは若干上下するが、解像度を問わずTBPが高かったゲーム「Tiny Tina's Wonderlands」を利用した。解像度4K、画質“バッドアス”設定とし、ゲーム状態で15分程度放置した際の電力を各GPUごとに計測した。

ゲーム中のTBP:視認性をあげるために1秒ごとの移動平均でプロットしている

 ここまでのゲーム検証でも示された通り、同じような描画負荷の下ではRTX 3080のTBPが最も高く、RTX 4070(オレンジ)はRTX 2070 SUPER(水色)とほぼ重なっているが平均205W前後で安定している。加えてRTX 4070はスロットから最大25W程度消費するのに対し、RTX 3080は50W前後と、マザーボードに対する電力的負荷も低い。

 ただ、PCI Expressスロットからの消費電力はカードの設計次第で大きく変わるし、低いほど良質というわけでもないため、あくまでFounders Editionでは低めだった、という程度の認識にとどめておきたい。ちなみに今回唯一のAICパートナー製カードであるRTX 4070 Tiも、PCI Expressスロットからの電力消費は25W程度に収まっている。

 続いては「HWiNFO Pro」を利用してゲーム中のGPU温度やクロック推移をチェックする。前述のTBP測定と同時に実施したものだ。

ゲーム中の各部温度:RTX 4070のみ

ゲーム中のGPUクロック温度:RTX 4070のみ

 すでに各メーカーから発表済みのRTX 4070搭載カードは、3スロット&トリプルファン構成のものまであるが、RTX 4070 FEの挙動を見るかぎり、2スロット&デュアルファン構成のクーラーでもGPU温度は68℃前後とそれほど高くない(グラフで81℃まで上がっているのは局所的な温度、即ちホットスポット温度だ)。

 発熱量が多いとされるGDDR6Xの温度も75℃あたりで安定しているなど、TGP 200WのGPUらしい扱いやすい挙動であるといえるだろう。また、ゲーム中のクロックは2760MHzで安定していた。

DLSS FGが使えるRTX 3080ではあるが、
今後5年戦うと考えるとちょっと辛い設計か?

 以上でRTX 4070レビューの後編は終了だ。ゲーム編の検証で判明した通り、RTX 4070の素のグラフィック性能はRTX 3080に近いが、状況により最大10%程度RTX 3080よりも低くなることがある。その原因はメモリーバス幅の狭さとSM数に起因するところが大きい。

 RTX 4070の価格が最安10万円、上位モデルは12万円弱と考えた場合、1〜2万円上にRTX 4070 Tiが控えている状況は、あまりにも不幸な状況と言わざるを得ない。ゲームパフォーマンスはもとより、動画エンコード性能に至るまでRTX 4070 TiのほうがQOLは高い。ただし、RTX 4070は補助電源が8ピンで済む設計のカードもあるため、見苦しい変換ケーブルを使いたくない、あるいはお気に入りの8ピンケーブルで使いたい、という人はRTX 4070のほうが良いだろう。

 この状況の中でRTX 4070を輝かせているのは、DLSS FGの存在である。まだ対応タイトルは決して多くないが、増加ペースとしてはDLSS SRよりも大きい。今後のゲームを戦う上でRTX 4070のDLSS FG対応は欠かせないものだ。

 しかしながら、今のゲームはNVIDIAの想定を超えたスペックを求め始めている。前編で紹介したように、RTX 3080以下ではVRAM不足で完走すらしなかった「BIOHAZARD RE:4」、最適化不足のせいかやたら重い「The Last of Us Part I」といったAAAタイトルでは、フルHD&最高画質設定にするだけでVRAM 12GBのRTX 4070/4070 Tiでは警告が出る。

 ゲームのVRAM使用量に関しては実際に必要か、確保だけしているかは簡単に判別できないという議論はあるものの、前編の検証でBIOHAZARD RE:4がRTX 3080以下ではテストが完走しなかった(完走する時もあるが、安定はしない)ことを考えると、12GBは“最新ゲームでは割とギリギリ”であるといえる。

 このような贅沢な使い方をするゲームは希少とはいえ、RTX 4070を今後3年から5年使うと考えると少々厳しいと言わざるを得ない。DLSS SRやFSR 2を使うことでかなりVRAM使用量を緩和できるが、RTX 4070のVRAMに関してはNVIDIAの読みは楽観的に過ぎると筆者は感じた。

 ただそうは言っても、TGP 200Wの範囲でできることをしっかりまとめたGPUであることは間違いない。現状はRTX 4070 Tiのほうが魅力だが、価格が落ち着けばRTX 4070の輝きが増すこともあるのではないだろうか。

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