連載:今週の「ざっくり知っておきたいIT業界データ」 第78回
IT市場トレンドやユーザー動向を「3行まとめ」で理解する 4月8日~4月14日
限界を感じつつ“脱Excel”できない理由、8割の企業が「マーケデータ集めすぎ」、消費者の半数が「3年以内にEV購入」、ほか
2023年04月17日 08時00分更新
本連載「ざっくり知っておきたいIT業界データ」では、過去1週間に調査会社などから発表されたIT市場予測やユーザー動向などのデータを、それぞれ3行にまとめてお伝えします。
今回(2023年4月8日~4月14日)は、データ集計におけるExcel利用の現状、優先すべき経営リスク、マーケティングとデータ活用、世界と日本の2023年セキュリティ市場予測、EVに対する自動車業界幹部と消費者意識のデータを紹介します。
■[データ]限界を感じながらも抜け出せないExcel、「利便性を手放したくない」(KUIX、4月11日)
・Excelでのデータ管理に「限界・デメリットを感じる」は69%
・Excelでのデータ管理で困っていることとして「複数人で同時処理ができない」(35%)「ファイルが複数発生」(27%)など
・それでも脱Excelしない理由は「Excelの利便性を手放したくない」(37%)
従業員数101人以上の企業において、Excelを使ってデータ管理業務をする1287人を対象に聞いた。Excelを使ったデータ集計用途としては「案件管理」「予算管理」「タスク管理」など多岐に渡る。 Excelに「限界・デメリットを感じる」人は69.7%。しかし「Excelの利便性を手放したくない」(37.9%)「既存Excelデータを整理できない」(32.2%)などの理由から、継続利用している実態が浮き彫りになった。
■[経営]国内で優先対処すべきリスクは「人材流出」「原材料・原油価格の高騰」(デロイト トーマツ グループ、4月7日)
・国内の優先対処リスクはトップ3は「人材不足」「原材料・原油価格の高騰」「異常気象・自然災害」
・海外のリスクは「中国・ロシアにおける政治情勢」「グループガバナンスの不全」が上位
・2021年・22年に経験したクライシスは「自然災害関連」「経済環境関連」
日本の上場企業3500社を対象に(回答は376社)、2022年10月中旬に実施した調査を「企業のリスクマネジメントおよびクライシスマネジメント実態調査」2022年版としてまとめた。日本国内では「人材不足」「原材料・原油価格の高騰」などが優先対処すべきリスクとして挙がった。「人材不足」は前回2位から1位に、前回1位だった「異常気象・自然災害」は3位となった。優先して着手すべき対策としては「リモートワーク推進」(38.3%)、「危機管理体制強化」(29%)、「ペーパーレス化の推進」(24.2%)などが挙がった。
■[顧客関係管理]マーケティングとデータ:80%が「データを集めすぎ」と認める(Braze、4月11日)
・80%が「マーケティングのためのデータを集めすぎ」
・新規顧客獲得よりも既存顧客維持へ、99%が顧客維持のエンゲージメントを強化
・データ担当とマーケティング担当が、お互いにスキル不足を指摘
世界14カ国・1500人のB2C企業マーケティング責任者(CMO)を対象とした「2023年 グローバル カスタマーエンゲージメントレビューレポート」より。マクロ経済情勢を受け、投資の傾向は3年連続で新規顧客の開拓より既存顧客の維持に向いているという。企業はマーケティング活用の目的でデータを収集しているものの、80%が「データを集めすぎている」と回答。またCMO視点では42%が「データサイエンティストがマーケティングを理解していない」、データ担当側は38%が「マーケティング担当がデータを理解していない」と回答するなど、双方の意識に乖離が見られる。
■[セキュリティ]2023年のセキュリティ市場、日本は前年比7%増で9336億円へ、世界は同12%増(IDC Japan、4月12日)
・2023年の世界セキュリティ市場予測は2190億米ドル、前年比12%増
・国内市場は前年比7%増、9336億円に達する予測
・EDRなどエンドポイントセキュリティ製品/サービスなどが成長
セキュリティのハードウェア/ソフトウェア/サービスについて、19の産業分野、5の企業規模とコンシューマー市場について調べた。グローバルでは、同市場の支出額は2190億米ドルに達すると予想。これは前年比12.1%増加となる。国内市場の予想支出額は前年比7.1%増の9336億円。製品分野としては、EDRなどエンドポイントセキュリティ製品/サービスはコンシューマー分野をはじめ多くの産業分野で成長を見込む。マネージドセキュリティサービスも流通/サービス(中堅中小)成長製造/資源(中堅中小)、公共(大企業)などで成長を見込む。
■[EV][トレンド]消費者の50%が3年以内にEV購入を検討、だが幹部は自国のEVインフラを懸念(日本IBM、4月12日)
・消費者の50%が「3年以内にEV購入を検討」
・2030年までに自国のEV充電インフラが整うと予想する自動車幹部はわずか13%
・幹部は2030年にはEVの販売シェアは40%、内燃機関車(ICE)は半減へ
IBM Institute for Business Value(IBV)が、世界9カ国1501人の自動車業界幹部への調査と、世界7カ国1万2663人の消費者調査の結果をまとめた。幹部は、2030年までにEVへの支出が61%増加し、販売シェアが40%になると予測。内燃機関車(ICE)への支出は2030年に半減、2041年までに販売終了すると予測している。消費者の50%は「3年以内にEV購入を検討」と回答しているが、利用可能な充電設備、エネルギーコストなどの要因が影響を与えているという。自動車業界の幹部も、2030年までに自国のEV充電インフラが整うと予想した人はわずか13%だった。
内燃機関車からEVへの投資がシフトし、2025年までに逆転すると予想している(出典:日本IBM)

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