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Windows Info 第374回

Windows Insider ProgramにCanaryチャンネルが追加されたことで感じるWindows 12の気配

2023年04月09日 10時00分更新

文● 塩田紳二 編集● ASCII

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Windows Insider ProgramにCanaryチャンネルが加わった

 3月にWindows Insider Program(以下、WIP)の体制が変更され、WindowsのプレビューにCanaryチャンネルが追加された。これで4つのチャンネルでプレビューが実施される。マイクロソフトの発表によれば、従来のRelease PreviewチャンネルとBetaチャンネルには変更がなく、Devチャンネルの位置づけが変更となり、Canaryチャンネルが追加されるとのことだ。

 簡単に言えば、Canaryチャンネルは、来年の“メジャーバージョンアップ”に向けて、カーネルなどのシステム機能やドライバなどのハードウェア回りといった、長期間の評価が必要なことを実施する。これはプレビューというよりも、マイクロソフトによる広範囲な動作試験と言える。

Canaryチャンネルではすでに4回アップデートがあり、最新のビルドは25336で4月7日公開

Windowsのアップデートサイクル

 プレビューチャンネルが変更されたのは、Windowsのアップデート体制が変わったからだ。現在のWindowsに関しては、以下の4つのアップデートがある。

・毎月のセキュリティ、バグフィックスのアップデート(新機能追加なし)
・四半期に1度の新機能を含むアップデート
・1年に1度のバージョンアップ(Windows 11 Ver.21H2から22H2のようなアップデート)
・4年に1回のメジャーバージョンアップ(未実施、おそらくはWindows 11から12)

 上の3つは、すでに現行のWindows 11 Ver.22H2で行なわれている。Betaチャンネルでは毎月3~4回、Release Previewチャンネルは月1回の頻度で実施。Betaチャンネルで様子を見て、Release Previewチャンネルでまとめてプレビュー、その後Bアップデートで配布というパターンだ。

 Devチャンネルでは、新機能を含んだプレビューがあり、一部は、Beta/Release Previewチャンネルを経由して、四半期ごとのアップデートに取り込まれ、それ以外は採用されないか、あるいは今秋のバージョンアップに入る。

 最後のメジャーバージョンアップはまだ見えていない。現時点では予想にすぎないが、Canaryチャンネルの新設などを考えると、メジャーバージョンアップが来年あたりにある可能性は高いと思われる。

 というのも、既存の3つのチャンネルは、現行および次のWindows 11用のものであり、それと別にCanaryチャンネルが必要なのは、開発が進んで、次のWindows 11とは大きく離れたからと考えられる。ここでは、「Windows 11でないもの」もしくは「Windows 11には含まれないもの」をテストするつもりなのではないだろうか。メジャーバージョンアップに先行して評価、試験を広範囲にしたいと考えているのであろう。

Canaryチャンネルでは提供前のMS側の検証は最低限
なにが変更されたかの説明もないケースも考えられる

 現在のWIPプレビューチャンネルの概要を以下の表に示した。プレビューチャンネルのうち、BetaとRelease Previewチャンネルに関しては、半期ごとに役割が変わる。現在は、Windows 11 Ver.22H2のアップデートのプレビューだが、5~6月あたりからは、今秋に公開されるWindows 11 Ver.23H2のプレビューが開始される。この状態は23H2が正式公開されるまで続き、その後は、現在と同じく、最新版のアップデートのプレビューとなる。

 Devチャンネルは、3月からビルドが23000番台に変更になり、すでに3つのアップデートが配布されている。同様にCanaryチャンネルにも3つのアップデートがあった。Devチャンネルは、今秋に公開予定の次期Windows 11、つまりVer.23H2のためのプレビューだ。ここで公開された機能は、一部は四半期ごとのアップデートにも取り込まれ、残りが今秋のアップデートに入る。

 Canaryチャンネルの解説では、「Preview the latest platform changes early in the development cycle.(開発サイクルの早い段階にある、最新のプラットフォーム変更をプレビューする)」とある。これに対して、Devチャンネルの解説には、「最新のWindows 11ビルド」のプレビューであると明記されている。つまり、Canaryチャンネルにはバージョンに関する記載がないわけだ。

 また、Canaryチャンネルは、「不安定でドキュメントなしでリリースされる」とされ、Windows Insider Blogには、

The builds that will be flighted to the Canary Channel are “hot off the presses,” flighting very soon after they are built, which means very little validation and documentation will be done before they are offered to Insiders.

Canaryチャンネルで提供されるビルドは「最新版」であり、ビルド後短い時間で配布されるため、インサイダーに提供される前に検証と文書化はわずかしか行われません。

と書かれている(https://blogs.windows.com/windows-insider/2023/03/30/announcing-windows-11-insider-preview-build-25330/)。

Canaryチャンネルでリリースされた新ビルドについてのWindows Blogsの投稿。Canaryチャンネルでは提供前の検証やドキュメントが非常に少ないことを警告した内容が下の方に記述されている

 従来のプレビューはビルドされたあと、一定期間マイクロソフト社内での利用と評価がされたのち、一定の水準を満たすものだけが配布されていた。このために、ビルド番号が連続しておらずに飛んでいる。また、毎回少なくとも新機能や修正点、判明している問題点がWindows Insider Blogで公開される。これらは、リリースに対して、評価やドキュメントなどのリソースを必要とするが、ユーザーにプレビューで新機能や異なるシステム環境でのソフトウェア評価などをしてもらうためのものだ。

 しかし、Canaryチャンネルはこれを簡易化している。少なくとも、プレビューとしてユーザーに評価を求めるのであれば、変更点ぐらいは公開しなければ評価しようがない。さすがにWindows全部を見て、相違点を探すのは手間が大きすぎる。となると、基本的には主にはユーザーに機能の評価などを求めているのではないと考えられる。

 なお、すでに複数回Canaryチャンネルでリリースがあったが、それに関しては、Windows Insider Blogに記事がある。一応、新機能や改善点の記述はあるが、既知の問題点についてはない。いずれにしても今後もブログでの公開が約束されているわけではなく、情報公開なしに配布だけという可能性がある。

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