フォルクスワーゲン初のEVが日本で発売されました。名前は「ID.4(アイディ・フォー)」です。どのようなクルマなのか。そして、どんな走りなのかをレポートします。
「ID.」ファミリーはすでに世界で50万台を販売
「ID.4」はフォルクスワーゲンにとって2番目のEVです。最初のEVはコンパクト・ハッチバックの「ID.3」でしたが、日本には2番目となるSUVの「ID.4」が先に上陸しました。
ちなみに、フォルクスワーゲンはほかにもSUVの「ID.5」、中国向けの「ID.6」、ミニバンの「ID.Buzz」、セダンの「ID.7」などを発売しています。日本においてフォルクスワーゲンのEV登場は、インポート・ブランドとして最後発に近い状況ですが、世界的に見ればフォルクスワーゲンはEVシフトの急先鋒という存在です。
フォルクスワーゲンは、これら「ID.」ファミリーのために膨大な費用をかけてEV専用のプラットフォームやアーキテクチャー(部品や技術)を新開発しています。そして、2020年に最初の「ID.3」を投入し、それからわずか2年ほどで、「ID.」ファミリーを世界市場で50万台以上も販売しているのです。そうしたフォルクスワーゲンが満を持して日本に持ち込んだのが「ID.4」となります。
後輪駆動のEV専用プラットフォームを採用
写真の「ID.4」を見て「ずんぐりとしているなあ」と思いませんか? クルマ全体に対して、ボンネットが短いのです。そして、そのスタイルには理由があります。それが、「ID.4」が使うEV専用プラットフォーム「MEB(モジュラー・エレクトリック・ドライブ・マトリックス)」です。MEBは、前後のタイヤの間、いわゆるホイールベースにバッテリーを納めています。できるだけたくさんの電池を積めるように、「ID.4」は従来のエンジン車よりもホイールベースが長く設定されました。その結果、タイヤがよりボディーの四隅に配置されることになったのです。
また、エンジンの代わりになるモーターは、フロントのボンネットの中ではなく、後輪の車軸部分に納められます。フォルクスワーゲンとしては、ビートル以来の後輪駆動車ではないでしょうか。これも、ボンネットを短くできた理由のひとつとなります。
こうした特徴のため、「ID.4」はクルマの前後のオーバーハングが短い、ずんぐりむっくりとした格好になっているのです。さらに、このスタイルのため「ID.4」は同じサイズのエンジン車と比べると、より広い室内空間を得ることにも成功しています。
「ID.4」の実車は、写真で見るよりも意外と大きかったのも驚きです。「ID.4」の寸法は4585×1850×1640mmで、日本車でいえばトヨタの「RAV4」とほぼ近い数値です。それなのに写真の「ID.4」が小さく感じられたのは、18インチと20インチという大きなタイヤを装着していたからでしょう。普通、このクラスであれば、17~19インチが常識。それを前提に写真を見て、大きさを想像していたから見誤ったというわけです。
そんな「ID.4」ですが、日本に導入されたのは2グレードです。エントリーの「ID.4 lite Launch Edition(以下、Lite)」と、上級の「ID.4 Pro Launch Edition(以下、Pro)」。2グレードの最大の違いは、モーターとバッテリーにあります。「Lite」のモーターは最高出力125kW(170PS)・最大トルク310Nmにバッテリーが52kWhで、EV航続距離は435km(WLTCモード)。「Pro」は150kW(204PS)・最大トルク310Nmに77kWhで618km(WLTCモード)となります。
価格は「Lite」が499万9000円に対して、「Pro」は636万5000円です。今回の試乗したのは「Pro」でした。
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