普段乗りを快適にさせる三種の神器
「前のモデルより楽しいかも」と唯さん。「エンジンのレスポンスが明らかにアップしています。前はパワーで楽しむ感じでしたが、今回は走り全体で楽しむクルマに仕上がっているように思います」と声を弾ませます。レスポンスアップはフライホイールの軽量化によるもの。「街乗りもすごくラクなんです」というように、とても粘るエンジンに仕上がっているではありませんか。
「街乗りで4速で走っている時、車速が落ちて、また上がるということがありますよね。その時、1000回転以下にまで下がっちゃうので、普通ならシフトダウンなどをするのですが、そういう動作がイラナイんですよ。ずーっと4速ホールドで行けちゃいます。しかも4速1000回転以下からアクセルを踏めば、一気に加速するんです」。これは渋滞ノロノロの多い街中では実に有利。トルクの太さも相まって「MTだと街乗りが大変」という人にこそ、今回のシビック TYPE Rは乗ってもらいたいクルマです。
シフトダウン時に自動的にエンジン回転数を合わせる「レブマチックコントロール」も進化。クラッチワークさえ気を付ければ、シフトダウン時にガクガクさせることがありません。実に滑らかに街乗りが楽しめるのです。
唯さんは坂道発進の時、パーキングブレーキを多用されます。これが電子式なので、実に器用に指を動かしながら発進させるのですが、ちょっと大変そう。そこで「オートブレーキホールド機能を使ったら?」と進言。オートブレーキホールド機能を使うと、停止時にブレーキペダルを離しても車両は停止したままになります。ということは、発進時にクラッチとアクセルの操作をするだけで、足を踏みかえたり、片手でハンドルを握っている必要がないのです。
「これ、メチャクチャラクですね!」と、さらに笑顔。ただし、このブレーキホールド機能は、エンジンを切る度にリセットされるので、いちいちオンにするのは面倒だったりします。
エンジンレスポンス、レブマチックコントロール、オートブレーキホールドの3種の神器により、普段乗りがすこぶる快適。「とってもラクなクルマですよ!」と言う唯さんの言葉に嘘偽りありません。
昔ながらのクルマ乗りの人は「なんだ、電子制御で面白くないクルマなのか」と思うかもしれませんが、そんなわけありません。「このクルマ、街乗りが楽しいんですよ。クルマがシッカリと地に足が着いている安定感があって、クイックに曲がれるんです。視界が広いから怖くないんですよ」と絶賛。街乗りで楽しめる、というのは、この手の「速い」クルマにしては珍しいところ。
「いつまでも運転していたくなりますね」と満面の笑みです。とにかく生理的にとても心地のよい1台。500万円というプライス、納車まで長期間待たされるとしても「ひょっとしたら最後の純ガソリンエンジンのTYPE R」を買わない理由はない、と言いたくなります。
もちろん+Rモードなども試しました。ですが、CONFORTで十分に楽しい! 先代では+Rモードでずーっと走らせていたのに、いつしかCONFORTに戻している。そこにこのクルマのすごさを感じました。
「速くて、快適で、使い勝手がよくて、運転していて楽しい」。それは誰もが求めますし、新車発表会などでメーカーがよく口にする言葉です。確かに速いクルマはいくらでもあります。速さはともかく、運転が楽しいクルマもあります。ですが、すべてを満たすクルマは、そう多くありません。第2世代TYPE Rと銘打った6代目シビック TYPE Rは、その狙いが見事に実現した1台といえそう。
「そう考えると500万円というプライスは、お買い得かもしれませんね」。物欲しそうな眼でシビック TYPE Rを見ていた不肖に、唯さんは笑顔で悪魔の一言を放ったのでした。
この連載の記事
-
第476回
自動車
最新のマツダ「ロードスター」は乗った誰もが乗り換えを検討するレベルのデキの良さ -
第475回
自動車
EV=無個性ではない! BMWのEV「iX3」は剛性ボディーが魅力のミドルサイズSUV -
第474回
自動車
ルノーのコンパクトカー「ルーテシア E-TECH エンジニアード」は軽量でパワフルでスポーティー! -
第473回
自動車
ホンダの大人気ミニバン「FREED」に乗ってわかった5つの良くなったポイント -
第472回
自動車
三菱のピックアップトラック「トライトン」をあらた唯がドライブ! 見た目と違ってソフトな乗り心地 -
第471回
自動車
ラリーカーが先祖! 走りのセダン・アウディ「RS3セダン」の上質な走りにアイドルもご満悦 -
第470回
自動車
FIATのキュートでカワイイ新型EV「600e(セイチェント イー)」は実用性も高く、イタリアンデザインが魅力! -
第469回
自動車
最近クルマが高いけどホンダのSUV「WR-V」は250万円以下で買えるって知ってた? -
第468回
自動車
HondaのSUV「新型VEZEL」に何度も乗ったからこそわかる5つのGOODと1つのBAD -
第467回
自動車
「私の部屋」に偽りナシ! 日産の商用バン「キャラバン MYROOM」は走るプライベートルームだった -
第466回
自動車
東京大阪1000km無給油チャレンジ! ルノーのSUV「アルカナ」は本当に燃費がいいのかを検証 - この連載の一覧へ