ディースリー・パブリッシャーが贈るガールズ侍アクション
乙女たちの”百合成分”に心奪われる……『サムライメイデン』開発陣の強いこだわりに感動【後編】
2023年03月02日 20時00分更新
会話で描かれる心情の機微から見る「百合成分」
さて、百合成分の含まれたゲームと一言にいっても世の中には多くの作品がある。下手をすると命(タマ)の取り合いに発展しかねないような、一触触発のヒリつく心情が描かれる作品も少なくない。
そういった作品が描く、自分自身で制御できないほどの感情のうねりをプレイヤーに対して強烈に突きつけるシナリオは百合成分作品群の魅力のひとつであり、重要な1ピースでもある。
だが、本作はあくまでライトで、緩くて内容のない会話に思える場面も多い。ヒリついたシナリオとは無縁だ。穏やかな笑顔で美少女×美少女の「百合っぽい絡み」を鑑賞するタイプの作品に近いかもしれない。
しかしながら本作は、足元をほんの少しだけ濡らすせせらぎのように、浅くてささやかな感情のみが描かれるばかりなのかと言うと、決してそんなことはない。男性向けコンテンツという体裁で都合よく鑑賞されるコンテンツにはとどまらない。
人と人の間にあるのは関係性である。関係性は、積み重なる時間とともに変化する。そして、変化を促すのは人の心の中に芽生える感情だ。百合とは感情と関係性の物語なのである。
少しずつ変化する心の機微、移ろいゆく距離感、美少女と美少女の間に芽生えた小さな感情が次第に大きくなり、花開くその時までの変化を本作は静かに、しかし確かなこだわりで持って描いている。
主人公の玉織紬を軸にして、依夜、刃鋼、狐美魅、三人の護影が戦いの中でどのような感情を育て、花開かせるのか。キャラクターごとに見どころをピックアップしたので、たっぷりご覧いただきましょう。
case1.依夜編
case2.刃鋼編

異世界から渡ってきたほんわか系グラマラスサイボーグ忍者。紬への感情を自覚しているが、あくまでも頼りになるお姉さんとしての関係を保とうとする。紬への想いを打ち明けた唯一の相手である狐美魅とのやり取りにも注目したい
case3.狐美魅編
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