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業務を変えるkintoneユーザー事例 第168回

「kintone AWARD 2022」レポート後編 グランプリに輝いた企業は!?

いよいよラスト!多重入力をなくした奥羽興産、残業時間をなくした會澤高圧コンクリート

2023年01月24日 08時00分更新

文● 柳谷智宣 編集●MOVIEW 清水

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 2022年11月10日、幕張メッセで開催された「Cybozu Days 2022」で、恒例「kintone AWARD 2022」の発表が行なわれた。全国各地で開催されたユーザー事例を共有するイベント「kintone hive」のファイナリストが集結し、再度プレゼン。グランプリを決定する。

 「kintone hive」は2015年から開催され、今年は東京・大阪・名古屋・福岡・仙台・札幌でリアルとオンラインのハイブリッド開催となった。今年も6社の登壇となり、レベルの高いプレゼンが行なわれた。今回は、5番手奥羽興産とトリを務めた會澤高圧コンクリート株式会社のレポートを紹介する。

「kintone AWARD 2022」のグランプリの行方はいかに?

kintoneと連携サービスでIT未経験者でも業務改善ができる

 5番目に登壇したのは、九州・沖縄地区代表の奥羽興産 河邉祐梨子氏。「データ入力を減らしたい kintoneでできる業務改善」というテーマでプレゼンしてくれた。

 奥羽興産は、創業25年目を迎える熊本の不動産会社。不動産の管理や賃貸売買、土地開発など幅広く手掛けており、社員は40名で、平均年齢は36歳、うち3名がkintoneを担当しているという。

 河邉氏は6年前に入社して最初の4年は現場の店舗で働き、それから現在の経営企画部に異動した。趣味は吹奏楽で、趣味の時間を大切にできるような働き方がしたいと思って社会人になったそう。

奥羽興産 河邉祐梨子氏

 奥羽興産がkintoneを導入したのは2014年で、河邉氏の入社時にはすでに様々なアプリが作られていた。当然、先輩に教えられながら、河邉氏もkintoneアプリを使うことになる。しかし、そのころは「kintoneって、ただのデータ入力アプリでしょ」と考えていたという。

 kintone導入以前は、店舗に来店した顧客に回答してもらった紙のアンケートはExcelに転記して管理していた。しかし、Excelファイルのままだと共有が難しいし、属人化も起きてしまう。そのうえ、ファイルが破損する危険性もあるということで、クラウドサービスであるkintoneを導入した。

 しかし、場当たり的に運用したため、アンケートの内容は「顧客管理」アプリと「追客」アプリの両方に入力する必要があった。さらに、結局、資料を作るためにExcelに書き出して作業していたため、両アプリからExcelへのコピーも発生。データの二重入力が問題になることは多いが、奥羽興産では四重入力が起きていたのだ。

「まさかの四重管理で、現場の不満も溜まります。なぜ、複数のアプリに同じものを記載するのか、入力箇所が多すぎる、そもそも入力する意味があるのか、私も現場でこのような愚痴を言っていました。今考えるとおかしいのですが、 これが現場の普通でした」(河邉氏)

紙からkintoneへの二重入力、その後Excelへの二重入力が発生していた

 IT未経験の河邉氏が経営企画部に異動し、よくわかっていないkintoneの担当になった。まずはkintoneをいろいろと調べてみると、「kintoneって、本当は業務改善ができるものなんだ」と気がついた。同時に、「kintoneを導入しただけでは、業務改善できるわけではない」ということにも気がついた。最初の段階で、この気づきを得られるというのはすごいことだ。

「この時、経営層がkintoneを導入した想いも知りました。現場の入力を最小限にして事務作業を減らしたい。全員で(情報を)共有して、グラフやデータを見ながらで会議をしたい、といった意図でkintoneを入れたんだと思いました。現実は残っていますが、変えられれば、もっと働きやすくなるかもしれない。もっと早く家に帰れるかもしれないと考え始めました」(河邉氏)

経営企画部に異動し、kintoneを導入した本来の意図を知ることになった

 社内・社外の協力を得ながら、アイデアを一つずつ形にしていった。多くの連携サービスも試行錯誤しながら、奥羽興産に合うものを取り入れていったという。その中から、2つの事例を紹介してくれた。

 まずは、紙アンケートの廃止。従来は紙に書いてもらって四重管理していたが、「フォームブリッジ」(トヨクモ)を利用して、顧客にウェブ上のアンケートに回答してもらうようにしたのだ。回答は直接kintoneに保存されるので、転記の手間がなくなった。さらに、蓄積したデータは見やすいグラフや表で表現し、共有しやすく、状況を一目で把握できるようになった。

さまざまなkintone連携サービスを吟味し、次々と導入した

グラフや表を見ながら会議できるようになった

 2つ目は、kintoneとLINEを連携させるサービスを導入したこと。不動産業務では、顧客とやり取りする際にLINEを使うことが多いそう。そこで、kintoneの画面から直接顧客にLINEを送信できるようにした。やり取りに関しても、同じページにメッセージ履歴を表示させることで、見やすく、わかりやすくしている。

 この2つの取り組みの結果、アンケートや顧客とのやり取りの転記作業から解放され、営業マン1人当たり、月間12時間、年間では144時間もの削減を実現した。

kintone上で顧客とLINEでやり取りできるようになった

「うちのシステムが便利になったよと、社長が周りの会社に広げてくれて、周りの会社からうちでも、使いたい、という声が上がりました。奥羽興産をよくしたいと思っていたことが、不動産業界もよくできるんじゃないかと思いました。不動産業界は残業が多そうとか、IT化が遅れているなど、マイナスイメージもあるので、この業界イメージを変えたいと思いました」

「最後に 今日一番伝えたいのは、IT未経験でも、業務改善に取り組めるということです。業務改善はIT経験者のものだけではありません。私もkintoneに取り組みながら、何度も躓きそうになりましたが、その度に周りの方々に助けていただきました。今、不安な方も悩んでいる方も大丈夫です。一緒に業務改善していきましょう!」と河邉氏は締めてくれた。

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