本連載は、マイクロソフトの「Microsoft 365」に含まれるSaaS型デスクトップ&Webアプリケーション(以下、アプリ)「Microsoft 365 Apps(Office 365)」について、仕事の生産性を高める便利機能や新機能、チームコラボレーションを促進する使い方などのTipsを紹介する。今回は国内コミュニティーの活動に注目した。
今回は2022年の締めくくりとして掲出された「アドベントカレンダー」を取り上げたい。ここ10年のIT界隈は特定の開発言語やアプリに関するTipsを日替わりで投稿するアドベントカレンダーが定着しつつある。Wikipediaによれば、イエス・キリストの降誕を待ち望む期間までをカウントするドイツ発祥の活動だが、各プラットフォームのコミュニティーも自身の知見を投稿して、ITソリューションのさらなる活用を目指してきた。
まずは「Microsoft 365 Advent Calendar 2022」。2019年から活動を続けており、当時はOffice 365~の名称を用いていた。MicrosoftのリブランディングでOffice 365からMicrosoft 365に名称変更したのは周知のとおりだが、2022年のアドベントカレンダーも改称に合わせている。前述した理由で記事は埋まっていないが、個人的には「M365系 変わりゆくスタートページ等 2022→2023」が面白い。以前とあるコミュニティーの活動を取材した際、古いOfficeを最新のWindowsにインストールできるか実験したLT(ライトニングトーク)を思い出す。Microsoft Word/Excel バージョン3あたりでインストーラーが落ちたように記憶しているが、世の広さを痛感させられた。また、社内アプリの開発に携わる方なら「Microsoft 365 開発のアップデートまとめ 2022」に関心を持たれるだろう。このようにアドベントカレンダーは読む側の状況に応じて興味を持つ記事が異なる。Microsoft 365ユーザーであれば一度はアクセスしてほしい。
お次は「Microsoft Power Apps Advent Calendar 2022」。文字どおりMicrosoft Power Appsに特化したアドベントカレンダーだ。ノーコード&ローコードの流行(りゅうこう)を反映したのか、二つのカレンダーを用意するほどの賑わいを見せている。一見すると業務に関連するアプリ開発やコードテクニックが並んでいるが、中には「【ハンズオン】そうだ、Power Appsでブロック崩しを作ろう」なんてユニークな記事も。記事名どおりハンズオン形式なので、興味を持たれた方は年末年始の合間にコーディングしてはいかがだろうか。
今やBI(ビジネスインテリジェンス)はエンジニアに限らず、現場のユーザー部門もデータを参照して業務判断に役立てる時代。組織がMicrosoft Power BI環境を用意しているのであれば、「Microsoft Power BI Advent Calendar 2022」も興味深いはずだ。2017年から活動を継続しており、今年の記事で気になったのは「県のDX事業への挑戦と社内へPower BIの普及」である。詳しくはリンク先の記事をご覧いただきたいが、佐賀県で和服業を営む著者がMicrosoft Power Platformを用いた内製化と業務改革に取り組んだ話だ。Microsoft Power BIは売り上げ分析やオンライン&オフラインの顧客接点を加味した分析に利用している。著者は記事内で地方の非IT企業でもデジタル化が可能。他事業者の一助になりたいとも述べている。まさにコミュニティーの正しい活動だ。
最後は「Microsoft Power Automate Advent Calendar 2022」。こちらも大盛況で本稿執筆時点のカレンダーは三つに達していた。筆者もMicrosoft Flow時代は日常業務の自動化を目指し、メーカーから届くプレスリリースと発表会案内の見分けが付きやすいように、メールにフラグを付与するフローや、Outlook on the Webで予定を新たに作成するとMicrosoft To Doにタスクを追加するフローを書いていたが、ここ数年はご無沙汰である。そのため、「Power Automate for desktopがDataverse容量を勝手に消費する話」は興味深く拝読した。以前の取材で日本マイクロソフトは「Microsoft DataverseがMicrosoft Power Platformの核」だと説明していたが、容量問題は筆者も懸念材料の一つである。記事の著者はMicrosoft 365テナント管理者として同様の悩みごとを抱えており、Microsoftアカウントを使用する無償版Power Automate for Desktopの無効化や、Windows PowerShellを用いたデスクトップフロー情報の取得方法を披露。筆者も年内の原稿執筆を終えたら、Microsoft Power Automate周りを再勉強するつもりである。
以上で国内のMicrosoft 365系アドベントカレンダーの紹介を終えるが、社内でMicrosoft 365の面倒を見ているIT部門の方はもちろん、日々の業務にMicrosoft 365を用いるユーザー部門の方々も情報収集の一助として役立ててほしい。
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