低消費電力へのニーズが高い補聴器
また、戦略的なアプローチについても言及している。LE Audio固有の機能が、新規参入するベンダーの差別化の可能性を切り拓くという予測だ。例えば、補聴器の分野では消費電力の少なさが重視されるため、LE Audio専用機が有利な分野であるとしている(もともと「LE Audio」は補聴器分野へのBluetoothの普及手段として策定された経緯がある)。
最終的には、5~10年をかけてLE Audioが市場になじんでいくだろう。実際にはクラシックBluetoothとLE Audioが明確に分かれるというよりも、消費電力、音質、大きさ、価格などを考慮しつつ、両者が技術的に融合していくかもしれないとBluetooth SIGでは予測している。
つまり、実際にLE Audioがどのように普及していくかは、技術そのものよりも、ベンダーがLE Audioをいかにセールスポイントにできるか、あるいはユーザーがいかにそこに価値を見出せるかという戦略次第と言えるだろう。ただし、冒頭に述べたように、やっと土台が固まってきた程度の現状からはまだ見えてこない。誰がどう仕掛けてくるのか、あるいは誰もそうしないで自然な市場遷移に任せるのか。こうした市場の動向そのものが、しばらくの注目点となっていくのではないだろうか。
この連載の記事
-
第276回
AV
Amazon Musicも生成AIを使ったプレイリスト作成機能提供、あいまいな指示に応える -
第275回
AV
ソリッドなステンレス筐体とK2HDサウンド、iFi audioの「Go bar 剣聖」 -
第274回
AV
いよいよSpotifyもロスレス配信か、Redditに解析情報 -
第273回
AV
ソニーが米国で展開し始めた、重低音新シリーズ「ULT POWER SOUND」とは? -
第272回
AV
自然な文章でプレイスリスト作成をうながせる、Spotifyの新機能 -
第271回
AV
音楽生成AIの進化速度に舌をまく、無料でも試せるStable Audio 2.0を使う -
第270回
AV
耳をふさがないイヤホンで高音質を追究したい人に、Cleer Audioがいいぞ!! -
第269回
AV
期待が高まる「Fokus Triumph」の音、NobleのMEMSスピーカー搭載イヤホン第3弾 -
第268回
AV
XPAN技術やWi-Fi 7、UWBなどをAIで統合した、クアルコムのFastConnect 7900 -
第267回
AV
K2HDに対応、個性的な機能備えたiFi audioのスティック型USB DAC「GO bar剣聖」 -
第266回
AV
日本とは異なる趣を持つ、ドイツのヘッドホンイベント“The World of Headphones” - この連載の一覧へ