最近は耳をふさがないタイプのイヤホンが増えているが、満足いく音質でないものも多い。そこでハイエンド志向のメーカーCleer Audioの製品を試してみた。
Cleer Audioは、2012年にアメリカのサンディエゴで設立されたオーディオメーカーだ。米国のソニーで長年オーディオ製品に関するキャリアを積んだ人物が創業したという。その特徴は品質と先進性にフォーカスを置いている点で、クアルコムとの連携にも強い。クアルコムの最新SoCを使用し、そのリファレンス設計をしている企業に製造を任せているとのことだ。また、音質チューニングやプロダクトデザインには多くの日本人が携わっているという。
完全ワイヤレスイヤホンのCleer Audio「ARC II」を試してみた。ARC IIは耳掛け式のオープンイヤー型だ。ARC IIには、MUSIC、SPORTS、GAMEの3つのバリエーションがある。MUSIC Editionが基本仕様で、例えばGAME Editionではドングルが付属し、59msの低遅延を実現できるというわけだ、価格はMUSIC Editionが3万6660円、SPORTS Editionが3万9110円,
GAME Editionが4万2770円da.
16.2mmの大型ドライバーを採用しているのが共通する特徴で、耳のそばにスピーカーがあるような感覚だ。コーデックはaptXに加え、LE Audioにも対応している。また、Snapdragon Soundの認証も取得している。SoCは「QCC3071」を搭載している。
音の良さに加え、iPhoneでも使える低遅延も特徴
MUSIC Editionを試してみた。カテゴリーではハイエンド志向の製品らしく、箱のデザインやケースデザインが洗練されている。アップル製品を少し思わせるところがある。本体のデザインはシンプルで、美しく造形されている。
使用時はイヤフック部分を耳にかける。振動板と耳の角度は変更できないが、柔軟に稼働するので装着はしやすい。装着感は軽く、まったく圧迫感を感じない。音楽をBGM程度の音量にしていれば、周りの音はそのまま入ってくる。人に話しかけられても完全に聞き取ることができ会話に支障はない。操作はタッチ方式だが、タッチする面が平面で広いので普通の完全ワイヤレスよりも操作はしやすい。
iPhone 15 Pro MaxとBluetoothで接続して試聴した。想像よりも音がいい。全体的には中高域寄りの音ではあるが、低音の量感も思いのほか感じられ軽くなりすぎない。このカテゴリーでは全体的な音の帯域バランスがいい。特に、音に包み込まれるような広がりのある音再現はあまりなかった特長に感じる。
音楽ジャンルとして向いているのはアコースティック楽器とヴォーカルが組み合わされたBGMのような音楽だ。
楽器の音は明瞭に聞こえ、細かい音もそれなりによく抽出されているように思える。ハイエンドイヤホンのようにはいかないが、解像感良く楽器音のを感じられるので、オーディオファンでも満足できるだろう。ヴォーカルの再現力はいいが、中高音域寄りにはなるので女性ヴォーカルのほうが向いている。例えばエンヤの音楽はARC IIにとてもよく合う。エンヤの曲を再生しながら、Apple Musicのステーションを作成して、仕事をしながらヘイリーやケルティック・ウーマンのような同系統の音楽を連続して聴いた。ながら聴きにもいい製品だ。
音漏れは盛大ではないが多少ある。とはいえ、BGMの流れているファミレスで使用した場合、エンヤの曲であれば1~2m離れれば聞こえない程度である。周囲に人がいても、テーブルを隔てればあまり問題にはならないだろう。ただし、ロックやポップスで少し音量を大きくすると、より多くの音漏れをする。
GAME Editionも試用してみた。
付属のドングルには低遅延モードとaptX Adaptiveモードがあり、横にあるボタンをダブルタップして切り替えられる。低遅延モードはもちろん売りだが、隠れた利点としてアップルデバイスでも、ハイレゾ級ワイヤレスのaptX Adaptiveを使用できるというメリットもある。ドングルはUSB-C接続なので、iPhone 15 Pro Maxでも使用できた。なお、使用時にはまずドングルとARC II本体がペアリングできているかを確認した方がいい。そうしないと、ドングル経由ではなく、PCやスマホと直接Bluetooth接続されてしまう可能性もある。
iPhone 15 Pro Maxにドングルを差してゲームをしたが、aptX Adaptiveモードよりも低遅延モードの方がさらに音の遅延が少なくなるのを体感できた。ドングルを外して、iPhoneと接続すると、遅延をかなり感じる。ドングルを使う効果は高いと言える。
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