SNSなどを見ると、グーグルが先日発表した「Pixel 7」には「LE Audioの有効化」というメニュー項目があるそうだ。アップルはLE Audioへの対応を明言していないが、ハードウェア的な要件を満たすために必要なBluetooth 5.2以上には、すでに「iPhone 14」シリーズと第2世代の「AirPods Pro」が対応している。Bluetoothの次世代形であるLE Audioへの対応は確実に近づいてきていると感じる。
LE Audio普及のシナリオをBluetooth SIGが公開
それでは今後、LE Audioはどのように普及していくのだろうか。Bluetooth SIGの発表からシナリオを見てみよう。
2022年は、LE Audioへの対応がようやくはじまった年と言える。まずは、既存のBluetoothとデュアルモードで対応したLE Audio専用機が出始めると、Bluetooth SIGの発表では書かれている。しかし、LE Audio専用機が大きく普及するには、LE Audio対応のソース機(スマートフォンなど)が相当数必要になるため、現実的な普及は2025 年以降になるだろうとBluetooth SIGでは予想している。
デュアルモードは現状、Bluetooth ClassicとBluetooth Low Energy(BLE)への対応といった形で多く用いられており、Bluetooth機器では市場の半数が採用している。現状のLE Audioはごく一部のスマホと対応機器の間でしか利用できない規格である。当面の間、Bluetooth Classic対応機器と、LE Audio対応機器は併存することになるだろう。デュアルモード対応機は便利に思えるが、消費電力の観点では、LE Audioの対応に絞ったほうが有利になるはずだ。
こうした自然遷移を通じて、エコシステムができ、LE Audioが普及していくシナリオもBlutooth SIGは想定している。ソース機器(スマートフォンなど送信側の機器)とシンク先(イヤホンなど受信側の機器)の両方で事業展開している企業(アップルやグーグルなどを指すと思われる)は、自社を中心としたエコシステムの中でLE Audio専用のソリューションを提供することができる。また、ソースとしてのAuracastが普及して、ユーザーがそれに価値を見出せば、LE Audioの普及率は高まることになる。
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