低消費電力へのニーズが高い補聴器
また、戦略的なアプローチについても言及している。LE Audio固有の機能が、新規参入するベンダーの差別化の可能性を切り拓くという予測だ。例えば、補聴器の分野では消費電力の少なさが重視されるため、LE Audio専用機が有利な分野であるとしている(もともと「LE Audio」は補聴器分野へのBluetoothの普及手段として策定された経緯がある)。
最終的には、5~10年をかけてLE Audioが市場になじんでいくだろう。実際にはクラシックBluetoothとLE Audioが明確に分かれるというよりも、消費電力、音質、大きさ、価格などを考慮しつつ、両者が技術的に融合していくかもしれないとBluetooth SIGでは予測している。
つまり、実際にLE Audioがどのように普及していくかは、技術そのものよりも、ベンダーがLE Audioをいかにセールスポイントにできるか、あるいはユーザーがいかにそこに価値を見出せるかという戦略次第と言えるだろう。ただし、冒頭に述べたように、やっと土台が固まってきた程度の現状からはまだ見えてこない。誰がどう仕掛けてくるのか、あるいは誰もそうしないで自然な市場遷移に任せるのか。こうした市場の動向そのものが、しばらくの注目点となっていくのではないだろうか。
この連載の記事
-
第300回
AV
インド発の密閉型/静電式ヘッドホン? オーディオ勢力図の変化を感じた「INOX」 -
第299回
AV
夏のヘッドフォン祭 mini 2024レポート、突然のfinal新ヘッドホンに会場がわく! -
第298回
AV
ポタフェス2024冬の注目製品をチェック、佐々木喜洋 -
第297回
AV
なんか懐かしい気分、あなたのApple WatchをiPodにする「tinyPod」が登場 -
第296回
AV
逆相の音波で音漏れを防げる? 耳を塞がないヘッドホン「nwm ONE」──NTTソノリティ -
第295回
AV
NUARLのMEMS搭載完全ワイヤレス「Inovatör」(旧X878)の秘密とは? -
第294回
AV
AirPodsで使用者の動きからBPMを認識、それを何かに応用できる特許 -
第293回
AV
次世代AirPodsにはカメラが付くらしい、じゃあ何に使う?(ヒント:Vision Pro) -
第292回
AV
OTOTEN発、LinkPlayの多機能ネット再生機「WiiM」とSHANLINGの「EC Smart」を聴く -
第291回
AV
ビクターの新機軸、シルク配合振動板の魅力とは? HA-FX550Tを聴く -
第290回
AV
HDTracksがMQA技術を使ったストリーミング配信開始へ - この連載の一覧へ