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AMD「Radeon RX 7000シリーズ」の発表内容を、もう少し深く読み解く

2022年11月07日 11時00分更新

文● 加藤勝明(KTU) 編集●ジサトラハッチ/ASCII

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4Kで480Hz時代に備える

 今回発表されたRX 7900 XTXや7900 XTはディスプレーの解像度とフレームレートをさらに高い次元に引き上げることをゴールとしている。フルHDで軽いゲームなら、現行GPUでも300〜500fpsでプレイできる環境は作れる。だがAMDやNVIDIAは、主戦場をWQHDや4Kに移しつつあり、ディスプレー市場もさらなる高解像度化と高リフレッシュレート化にゆるかかに移行している。

 従来のRadeonに搭載された「Radeon Display Engine」は、RX 7000シリーズで「AMD Radiance Display Engine」となり、デスクトップ向けGPUとしては初めてDisplayPort 2.1に対応。ディスプレーとの伝送帯域は最大54Gbpsに達する規格を使うことで、8Kなら165Hz、4Kなら480Hzまでのリフレッシュレートに対応可能になる。速報でも書いた通りこれだけのスペックを備えたディスプレーはまだ存在しないので、未来への先行投資という側面が強い。

 さらに、AMD Radiance Display EngineはRGB1チャンネルあたり12bitカラーに対応することで、最大687億色表示にも対応。もちろんRGB12bitに対応したディスプレーは必要だし、元のデータの色深度も十分に深い必要があるが、より正しい色表現を使いたいというユーザーには楽しみな機能といえる。今は使えなくても、AMD Radiance Display Engineを使い続けている限り、将来のRadeonでも687億色表現への門戸は半分開いているようなものだ。

AMD Radiance Display Engineなる新ディスプレーエンジンを搭載。DisplayPort 2.1対応のほか、最大687億色をデータで表現できることができる。無論687億を表示しきれるディスプレーは必要だが……

DisplayPort 1.4から2.1へ更新することで、4K以上の領域でも超高フレームレートの「表示」が可能になる。WQHDでもリフレッシュレートは900Hzに到達するので、今後さらなるハイエンドのゲーミングディスプレーの発展が望まれる

DisplayPort 2.1のパワーを活かしきれるディスプレーの一番乗りは、Samsung「Odyssey Neo G9」の“次世代モデル”になるだろう。横5Kの現行モデルで実売30万円、この次世代モデルは横解像度が8Kであるので、相当な出費になりそうだ

 8Kゲーミングといえば、RTX 3090が発表された際、「Watch Dogs: Legion」でDLSS SR(当時は単にDLSSと呼ばれていたが)の“Ultra Performance”モードを使うことで可能になると謳っていた(参考記事:https://ascii.jp/elem/000/004/026/4026224/2/)。

 あの当時はHDMI2.1で8K HDRをなんとか表示しようという時代だった。今回のRX 7000シリーズではDisplayPort 2.1を使い高リフレッシュレートで遊ぶことを意図している。次の図はRX 7900 XTX環境で8Kゲーミング時のフレームレートを示したものだ。

8Kウルトラワイドと8Kで2本ずつゲームのフレームレートを計測したグラフ

 アップスケーラー(FSR)を使わない時のフレームレート(濃い赤)はDisplayPort 1.4のリフレッシュレート制限より下のフレームレートしか出ないが、FSR(恐らくFSR 1.0)の“Performance”モードを有効にすると、1.4の帯域では表示しきれなくなる。これがDisplayPort 2.1を採用した理由だ。

4Kゲーミングにおいても、軽いゲームであれば簡単にDisplayPort 1.4のリフレッシュレートでは足らなくなる。特に描画の軽い「Overwatch 2」「VALORANT」では折角の性能がDisplayPortの帯域制限で損なわれてしまう

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