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好きなキャラとつながるオタク的スタートアップビジネス

かーずSPが聞くデジタルコンテンツスタートアップの最前線 株式会社any style 代表取締役CEO 萩原湧人氏インタビュー

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「好きが加速する体験を創る」ことは自分たちが楽しめるプロダクトを目指す

───ここからは個人的なことを伺っていきます。音声コンテンツに興味を持ったきっかけはどこからだったのでしょうか?

萩原:小学5年生の頃にアニメ「金色のガッシュベル!!」キャラクターソングをTSUTAYAで借りたんです。まだキャラソンという存在すら理解してない年頃だったんですが、「めちゃくちゃ可愛い声が聴ける!」って、目覚めました(笑) のちにそれが釘宮理恵さんの声だと知って、そこから声優にハマってしまいました。

───釘宮理恵さんの魅力的な声にやられた人はたくさんいます(笑)

萩原:そこから釘宮さんが出演されている「ゼロの使い魔」、「灼眼のシャナ」や、ライトノベル「涼宮ハルヒの憂鬱」にハマって、「こんなに面白いものが世の中にあるのか!」って、どんどんオタク趣味に没頭していったんです。

───2000年代の中頃くらいですかね。

萩原:そうですね、ネットではニコニコ動画が盛り上がってきた頃でした。秋葉原の歩行者天国で、みんなで「ハレ晴レユカイ」を踊ったりするようなオタクカルチャーが流行った頃です。

───お好きなのは二次元コンテンツのみですか?

萩原:いえ、全体的にオタクコンテンツが好きで、中一の時にはアイドルのイベントにも普通に行っていました。アイドル、アニメ、声優、漫画、ラノベ、ボカロなど、だいたい全部なぞってきたと思います。

───株式会社any styleさんのビジョン「好きが加速する体験を創る」が伝わってくる話です。

萩原:「好き」ってことが、特にエンタメでは重要だと思います。周りのスタートアップを見渡すと課題解決型のビジネスが多い中で、僕たちは明確なペインがあるわけではないユーザーさんに向けて、「楽しい」と思ってもらうことでビジネスにするエンタメ事業をやっています。だからこそ、まずは自分たちが楽しめるように心がけていて、ユーザーさんにもどんどん推しを大事にしてほしい、そんなオタク活動を楽しめるようなプロダクトにしていきたいです。僕も趣味のオタ活にお金を使いまくっているので、それが楽しいんですよね(笑)

スタートアップの重要なことはメンタル管理「成功するまで本気でやり続ければ、必ず成功する」

───ライバル視している会社や個人などはありますか?

萩原:キャラクターIPを創出するという意味では、ホロライブのカバー株式会社や、特ににじさんじのANYCOLOR株式会社は、自分と同じく学生起業して5年で上場しましたから、すごいですよね。シリコンバレー的なスタートアップの方法論でいえば、小さな仮説検証をしていって顧客の課題を解決するって考え方で作っていくのが常道なんです。

───「人が困っていることを解決する」のがビジネスの基本といいます。

萩原:だけどエンタメ産業では、それが必ずしも当てはまらないと実感しています。勿論、VTuber側としては、機材の準備や初期ファンの獲得が大変なので、「VTuber事務所」というソリューションはVTuberの方々にとっての課題解決になっていますし、当時から先行事例はいくつかあったのでゼロからの発明ではないと思いますが、とはいえ、当時からVTuber業界にベットできたのは本当に尊敬しますし、顧客の課題解決を一番に考えるリーンスタートアップの方法論からは生まれてきにくい発想だと思います。セオリーではないやり方でユーザー心理を理解して、あそこまでスケールしていったのは本当にすごいですし、勉強にもなります。

───起業してよかったこと、楽しかったことはありますか?

萩原:んー難しい質問ですね、常に楽しいので(笑) オタクコンテンツそれ自体が楽しいのももちろんですが、スタートアップをやっていることが一番楽しくて、毎日が文化祭の準備をしているような気持ちです。みんなで集まって、ワイワイ出し物を作っているときのような感覚が、この2、3年、毎日続いている感じです(笑)

───スタートアップにあたって重視していることはありますか?

萩原:自己管理をすごく意識しています。一番メンタルが整うのは「成功するまで続ければ、必ずどこかで成功する」という考え方です。試行回数を無限にすれば、少なくとも1回以上成功する確率は1に収束していきます。つまり、「死ぬまでトライし続ければどこかで当たる。だからチャレンジし続ける」という思考です。ですので、とにかく1回でも多く1日でも早く仮説検証サイクルを回すことを大事にしています。

───1回失敗すると「もうだめだ」って考えてしまう人も多いと思いますから、タフですね。

萩原:僕のメンタルは強くも弱くもないと思っています。ただ、成功するまで本気でやり続けると覚悟した時点で、いつか絶対に成功すると考えているだけです。勿論、仮説検証を行う中で上手くいかないことは多々あります。しかし、それはあくまで途中経過でしかないと考えています。

───今もオタ活は続けてらっしゃるのですか?

萩原:このあと日向坂46のライブに行く予定がありますし、最近は劇場版の「五等分の花嫁」を3回観に行き、聖地巡礼もしてきました。

───ガチですね!

萩原:いえいえ、僕たちはライトなオタクだと思っていて、本当にコアなファンはめちゃくちゃスパチャも投げますし、毎週イベントに行く人も大勢います。僕たちはオタクの感覚を持っている一方で、どっぷりハマりすぎて、近視眼的にならないように気をつけています。あまりコアなオタクになりすぎると、視野が狭くなって、客観視できなくなってしまう危険性もあります。そうならないようにビジネスとのバランスを重視しつつ、「dear.」を盛り上げていきたいですね。

───本日はありがとうございました!

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