リビングにすんなり溶け込む和テイストの筐体も魅力
第12世代Core i7+RTX 3060搭載のコンパクトPC<GX750/EAB>レビュー、買ってすぐにゲームが遊べる周辺機器もセットで超おトク!
通常使用やゲーミング用途において高いパフォーマンスを発揮
<GX750/EAB>に搭載されているCore i7-12700Fは、性能に優れたPコア8基+ワットパフォーマンスに優れたEコア4基の、計12コア/20スレッドで動作するハイブリッド・アーキテクチャーを採用したCPUだ。最大ブースト時の動作クロックは4.9GHzに達し、現行デスクトップPC向けCPUの中でも上位の性能を有する。もちろんゲーミング用途にも十分なパフォーマンスを発揮してくれるはずだ。なお、末尾が“F”のモデルのため、CPU内蔵GPUは搭載せず、別途ビデオカードが必要となるCPUだ。
システムメモリーは16GB(DDR4-3200 8GB×2)を搭載しており、現在のゲーミング用途としては必要十分な容量と言えるだろう。<GX750/EAB>はメモリースロット2基の仕様となっているので、メモリー増設は既存メモリーモジュールとの交換で対応することになる。仕様上はDDR4-3200 16GB×2に換装することで合計32GBまで対応可能とされている。
ゲーミングPCの要とも言えるGPUにはGeForce RTX 3060を採用。GeForce RTX 3060は1920×1080ドットのフルHD環境をターゲットにしたNVIDIAのミドルクラスGPUだ。ビデオメモリーにGDDR6 12GBを搭載し、容量的に少し余裕を持っているのが特徴。昨今のゲームはビデオメモリー消費量が増え続けているので、ビデオメモリー8GB以下のGPUよりも長い期間現役を続けられるGPUとなるかもしれない。
<GX750/EAB>はコンパクトな筐体に高性能CPUとミドルクラスGPUを搭載したゲーミングPCだ。CPUがボトルネックとなることはなくGPUの性能を100%発揮できる構成になっているとは予想できるが、コンパクトな筐体は発熱などで問題が生じることもある。実際に<GX750/EAB>がどれくらいのパフォーマンスを見せてくれるのか、基礎的なベンチマークから探っていくことにしよう。
最初のベンチマークは、CPUのマルチスレッド性能とシングルスレッド性能を3DCGのレンダリング速度で測る、定番の「CINEBENCH R23」から。
結果はマルチスコアーが13053pts、シングルスコアーが1902ptsとなった。マルチスコアーがかなり低く、結論から言うと<GX750/EAB>はCPUクーラーのサイズに合わせて電力制限(パワーリミット)をかけた安定志向の仕様になっているようだ。マルチスコアーはモバイル向けの「Core i7-12700H」に近い結果と言えるだろう。一方でシングルスコアーはCore i7-12700Fらしく、デスクトップ向けCPUの中でも最上位に近い値を残せている。
パワーリミットによってかなり性能が抑えられている印象だが、一般的なアプリやゲームではCPUがマルチスレッド全開で動くことはほとんどなく、どちらかと言えばシングルスレッド性能が重要になる場面が多い。そのためパワーリミットがパフォーマンスに影響するケースは結構少ないと考えられる。
また、電力を抑えるということは発熱を抑えることにもなる。CINEBENCHのマルチスレッド計測中のCPU温度は約64度前後(室温28度)と割と低めで推移していたので、CPUクーラーも大きな唸りを上げることなく、比較的静かに動作していたのは好印象だ。
次に、実アプリケーションに近い負荷でPC全体の性能を測る「PCMark 10」(Ver.2.1.2563)でベンチマークを実行した。
総合スコアーは7902で、その内訳は、アプリ起動速度、ビデオ会議、ウェブブラウジングの性能を測る「Essentials」が10359。表計算や文書作成のオフィスソフト性能を測る「Productivity」が10435。写真編集や動画編集、3DCG製作などのクリエイティブ性能を測る「Digital Content Creation(DCC)」が12388という結果になった。Essentials、Productivity、DCC、全てのスコアーが1万の大台を超えているので、<GX750/EAB>は様々な用途で快適な動作を実現できる性能を持っている。
参考までにパワーリミット無制限で動作するCore i7-12700とGeForce RTX 3080 Tiを搭載したPCでのベンチマーク結果は、Essentialsが約10600、Productivityが約10100、DCCが約14800というものだった。GPU性能差が如実に反映されるDCCは別として、EssentialsとProductivityは今回の結果と誤差の範囲に収まっており、パワーリミットの制限は実アプリケーションのパフォーマンスにあまり影響しないことが伺える。
次は3Dグラフィックス性能を測るベンチマーク「3DMark」(Ver.2.22.7359)でゲーミング性能を計測。
DirectX 11のテスト「Fire Strike」では、フルHD(1920×1080ドット)のFire Strikeが21104、4K(3840×2160ドット)のFire Strike Ultraが5208というスコアーに。DirectX 12のテストを行なう「Time Spy」では、WQHD(2560×1440ドット)のTime Spyが9187、4KのTime Spy Extremeが4191という結果になった。Direct X Raytracing(DXR)のテスト「Port Royal」のスコアーは5028。
RTX 3060のターゲット通りにフルHDのベンチマークでは良いスコアーを残せるものの、WQHD、4Kと解像度が上がるにつれてスコアーが下がっていく。それでもGeForce RTX 3060としては平均的なスコアーが出ており、ここでもCPUのパワーリミットによる影響は見られない。
CPUに大きなパワーリミットをかけると高性能なCore i7-12700Fが宝の持ち腐れになってしまわないかという懸念もあったが、通常使用やゲーミング用途の場合、その懸念は当たらないことが判明した。<GX750/EAB>はパーツ構成のバランスが良く、CPUがGPUの性能を十分に引き出せていると考えられる。
最後の基礎ベンチマークとして、内蔵ストレージの転送速度を「Crysrtal Disk Mark 8.0.4」で計測した。事前に「Crystal Disk Info 8.12.7」にて内蔵ストレージのモデルを確認したところ、試用機には「KIOXIA BG5シリーズ 1TB」が搭載されていた。PCI Express Gen4接続で3D TLC NANDを採用する1TBのM.2 NVMe SSDだ。
テスト結果はシーケンシャルリードが3428MB/秒、シーケンシャルライトが2919MB/秒となった。PCI Express Gen4接続のM.2 NVMe SSDとしては物足りない性能ではあるが、PCI Express Gen3接続と比較すると上位モデルに相当するスピードが出ている。ゲームでも十分高速なローディングが期待できるだろう。
また、吸気ファンの風が直接吹き付ける<GX750/EAB>特有のM.2スロット設計はM.2 NVMe SSDの冷却に効果てきめんで、アイドル時の温度は32度(室温28度)、Crysrtal Disk Mark実行中の最高温度も37度までしか上がらなかった。やはりメーカー製PCらしく発熱や安定性に十分な配慮を行なっていることが伺える。