「ニューノーマルの働き方」調査結果を発表、社員に支持される「バーチャルファースト」の取り組みも紹介
リモートワーク頻度と「ワークライフバランスの幸福度」の関係、Dropbox調査
新入社員の90%が「バーチャルファーストがあったから」入社と答える理由
梅田氏はDropboxが提唱し、日本法人でも実践しているバーチャルファーストの働き方とは何かを説明した。
Dropboxでは、2020年10月にブログ「Dropbox goes Virtual First」を発表し、世界中のDropboxでバーチャルファーストな働き方を推進していく方針を示した。2021年4月から運用を開始し、新型コロナの流行による影響を受けつつも、2022年4月には全世界の拠点で「Dropbox Studio」(後述)を再オープンさせている。
「バーチャルファーストは、一般的なハイブリッドワークとは少し考え方が違う」と梅田氏は語る。コロナ禍で出社勤務が難しくなったあと、Dropboxが社内調査を実施したところ、ほぼ9割の社員が「在宅勤務」を支持し「週5日出社が前提の勤務形態に戻す必要はない」と回答した。そのため、まずはリモートワークを前提とする働き方が採用されることになった。
ただし、こうした新しい働き方には懸念点もある。社員どうしのコミュニケーションが希薄化して企業のカルチャーが失われること。メンバーどうしの共同作業が困難になること、“出社組”と“リモート組”で社員が分断されること、業績やキャリアの評価で不平等が生じること、などだ。
そうした懸念を払拭するルールや取り組みを盛り込んだのが、バーチャルファーストというコンセプトである。具体的な特徴としては「同期/非同期の使い分けルール」「Dropbox Studioの設置」「バーチャルファースト・ツールキットの公開」などがある。
梅田氏は、集団で働くうえでは「考えを広げる、フィードバックをもらう同期の時間(会議など)」と「一人で考えを深める非同期の時間」がどちらも必要であり、そのバランスをとらなければならないと指摘する。そのために会社として統一ルールを策定し、出勤するためのオフィスではなく「同期の作業を行う場所」としてDropbox Studioを設置した。さらに、自社の実践で学んだ知見に基づくリモートワークのさまざまな原則をまとめたガイド(ツールキット)を公開し、ほかの実践企業からのフィードバックも受けながら働き方のアップデートを進めていくという。
梅田氏は「バーチャルファーストの働き方を実現するためには、社員一人ひとりの行動変化が必要だ」と述べ、そのためには会社として方針を明確にし、社内へのコミュニケーションを図っていく必要があると説明する。具体的に目指すものとしては「基本的なコミュニケーションは非同期で行う」「仕事にかけた時間ではなくインパクト(最終的に得られた成果)を重視する」「対立をおそれずとことん対話を続け、対立を解消に導く」といった姿勢への変化だ。
Dropbox Japanでも、こうしたバーチャルファーストの働き方を1年間実践してきた。梅田氏は「その中ではいろんな学びがあった」と語る。たとえば「他部門との交流機会が目に見えて減る」ので、意識的にそうした機会を設定しなければならない。ここでは特に、各部門のマネージャーが率先して他部門との交流機会を設定することが重要だという。また部門内のコミュニケーションも不足がちになることから、新入社員が孤立していないか、残業時間が急に増えているなど大変そうなメンバーはいないかなどに目を光らせる必要があったと振り返る。
実践の結果として「バーチャルファーストそのものは、社員に非常に好評をもって受け入れられた」という。社内調査の結果でも「生産性が向上した(72%)」「作業効率が向上した(80%)」「ワークライフバランスが向上した(72%)」など、良好な数字が並ぶ。「社員に『働き方の選択肢を与える』ことが非常に大事だったわかった」と梅田氏はまとめた。
「さらに、新たに入社した社員に『なぜDropboxを選んだのか』を尋ねたところ、90%が『バーチャルファーストがあったから』と回答している。両親を介護するために実家に戻って働きたい、小さなお子さんがいるのでどうしても自宅から離れられない、そうしたさまざまなライフステージに応じた働き方を、Dropboxならばかなえられるということで入社する方も多い。それも大事な発見だった」
人事責任者の高橋氏は、Dropboxの特徴的な人事制度や働き方の仕組みなどを紹介した。Dropboxでは「スマートな働き方を創造すること」を会社のミッションに掲げており、それが「Dropboxを特別な職場にする」理由になっているという。また、中核的な価値観(コアバリュー)として「Make Works Human(仕事を人間らしくする)」という言葉も持つという。「『共感』や『優しさ』など、人間のスキルにも重きを置いている」(高橋氏)。そして人事制度にもこうしたDNA、考え方を反映することが「社員の可能性を最大化することにつながると確信している」と説明する。
高橋氏は「よりスマートな働き方」「つながりの醸成」「パフォーマンスマネジメントも人間的に」といったテーマに基づいて、特徴的な人事制度や仕組みを紹介していった。たとえば居住地やワーケーションの自由化、フレキシブルな休暇制度、社員ニーズに合わせて組み替えられる補助金といった制度を用意している。またパフォーマンスマネジメントにおいては、結果だけでなく影響(インパクト)、さらには会社として定める5つのバリューに沿った仕事ができているかどうかで評価を行っていると説明した。
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