先日、真夜中にうちの1歳の黒猫「ミル」を背負って病院に走るという事象がありまして、ちょっとその話。
とある平日の午前0時36分のこと。ミルが、なんか紐状のもので遊んでたのを確認。ちょっと目を離した午前0時37分、紐状のものがなくなってる。え、もしかして食べちゃった?
食べた瞬間は見てないけど、周りに紐は落ちてないし、当人(いや、当猫か)はけろっとしてるけど、状況的に食べたとしか考えられない。これはやばいかも、となって最初に行うのはググる、である。紐状のものを飲み込むのは大変危険。最悪開腹手術までしなきゃいけないかもしれないという。
次に行うのは、夜間診療をしてくれる動物病院。幸いなことに、自転車で20〜30分の距離に夜間動物病院を発見。電話をすると、紐がまだ胃の中にあれば開腹しなくても取り出せるというので、慌てて外出の準備をし、ミルをバッグに入れて自転車で走り、病院に到着したのが午前1時35分。
まず、クスリを飲ませて吐き出させることにするが吐き出してくれない。その場合、内視鏡を使って取り出すことになるがどうするかと聞かれる。かなり費用がかかる(ペット保険も入ってないし)。となると、確実に飲み込んでいるという確証が欲しい。状況的に食べちゃったんだと思うけど、もしかしたらそれは気のせいで、紐がどこかの隙間に入り込んで見つからなかっただけかもしれない。
そのとき妻が「カメラに映ってないかな」とぼそっという。
そうなのだ。以前、猫の体調が悪かったとき、外出時の猫の様子をチェックすべくしかけたセキュリティカメラが動作し続けているのだ。病院からインターネットを介して家のカメラにアクセスして、該当する時刻の映像をチェックすると、なんと、片隅に紐で遊んでるミルが映ってるではないか。
そして紐を食べ始め、器用にぱくぱくと食べ切っちゃった瞬間が収められていたのである。食べ終えたのが0時37分。映像に時刻が記録されてるので、細かい時間までわかったのだ。
獣医さんも「あ、これは食べてますね」というわけで、迷わず「内視鏡で手術してください」とお願いできたのである。
そして、いったん帰宅。手術完了の連絡を受け、麻酔からさめて落ち着いた頃に引き取りにきてくださいといわれて、自転車を飛ばし、病院に着いたのが午前6時40分。胃の中から取り出された紐を記念にもらいましたとさ。
外はもう明るくなった頃、ミルを迎えに行き、10時までは食事も水も与えないでくださいねといわれて引き取ったのだった。
かなりの緊急事態ではあったのだけど(あまり時間がたつと飲み込んだ紐が胃から腸へ行ってしまい、開腹手術が必要になってしまうのだ)、ミル的には具合が悪くなる前に全部の処置が終わったので、遊んでたらよくわからんうちに拉致されて、どこぞに連れてかれて眠らされたけど元気です、みたいな感じでケロっとしてるのが、またなんとも憎らしいのである。
やんちゃな若い猫は、何でも食べちゃうから怖ろしいですな。無事、病院から戻って1枚。よく見ると、右前足の一部がえぐれてる?
そう、「麻酔する際、毛が真っ黒で血管がわからなかったので、そこだけ剃らせていただきました」と言われたのだった。冒頭写真もよく見ると、右前足の一部が白いのだ。真っ黒な中に白いワンポイントが付いたようである。該当箇所にフォーカスを合わせて撮ると……、そこだけ毛がないのがよくわかる。
でも、ミルときたら、毛が一部なくなってようが一向にかまわず、歩き回ったり大あくびをしたりしてるのであった。
にしても、フリーランスで時間が自由になるとはいえ、深夜から朝までバタバタすると、眠いわ仕事に差し 支えるわで大変だったのだから、勤め人だとなかなかつらいだろうが、猫の異物飲み込みは(特に紐状のもの)深刻なので、ヤバいと思ったらすぐ夜間診療をしてくれる動物病院を探すべし、である。
それから、セキュリティカメラって意外なところで役立つので、ペットを飼ってる人は何ヵ所かに置いておくとよいかと思います。
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筆者紹介─荻窪 圭
老舗のデジタル系ライターだが、最近はMacとデジカメがメイン。ウェブ媒体やカメラ雑誌などに連載を持ちつつ、毎月何かしらの新型デジカメをレビューをしている。趣味はネコと自転車と古道散歩。単行本は『ともかくもっとカッコイイ写真が撮りたい!』(MdN。共著)、『デジカメ撮影の知恵 (宝島社新書) (宝島社新書)』(宝島社新書)、『デジタル一眼レフカメラが上手くなる本』(翔泳社。共著)、『東京古道散歩』(中経文庫)、『古地図とめぐる東京歴史探訪』(ソフトバンク新書)、『古地図でめぐる今昔 東京さんぽガイド 』(玄光社MOOK)。Twitterアカウント @ogikubokei。ブログは http://ogikubokei.blogspot.com/
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