車内は高級感もありつつ
かなりレーシーに仕上げられている
ポルシェは「高級車」というのが一般的なイメージだ(実際高級だが)。高級車は走りだけでなく、車内もラグジュアリーでないとならない。911は上質感を醸し出しつつ、かなり質実剛健だったが、911 GT3は後部座席がなくなっているかわりにロールケージが組んであり、余計なものを排除したシンプルでいて、さまざまなところにアルカンターラが奢られるなど、絶妙なバランスになっている。
ポルシェのインフォテインメントシステム「PCM(ポルシェコミュニケーションマネージメント)」も健在で、10.9型のタブレットのようなディスプレーで、ナビはもちろんのこと、エアコンからクルマの状態まで見たり設定したりできるスグレモノだ。もちろん、Apple CarPlayにもAndroid Autoにも対応するので、スマホのナビを使いたければ接続するといいだろう。実際、ちょっとナビが使いづらかったのでスマホのナビに頼ったのだが。
ただ、車内は全体的にタイトなので、収納が少ないのは一目瞭然。やや不便を感じるかもしれないが、クルマの性質上割り切れるだろう。そのかわり、運転席から手が届く範囲でいろいろとアクセスできるのは便利だった。一応、助手席にも収納式のドリンクホルダーがあるので、ペットボトル1本くらいなら置けるが紙パックは無理だったことをお伝えしたい。
【まとめ】911乗りも嫉妬するGT3
911 GT3は911を冠しているが、ほぼ別モノというのが乗った感想だ。911(Type992)はタルガトップのTarga 4Sに乗ったが、非常に快適に作られており、街中から高速道路、サーキットまでまんべんなく楽しめるような仕上げになっていた。対してGT3は活躍の場が限られる。街中をトロトロ走るのはとてもフラストレーションが溜まるし、車高が低くて足周りも硬いのでコンフォートという言葉は縁遠いだろう。やはりサーキットに持って行ってポテンシャルを発揮してあげるのがベストだろう。高速道路も新東名の120km/h区間がメインステージだ。
今回は街中と首都高の一部のみの試乗だったせいか、GT3から「もっとアクセル踏んでくれよ!」という声が耳が痛くなるほど聞こえてきた気がする。ポルシェに共通している「買い物からサーキットまでこれ1台で完結」という作りからは、ちょっとズレているのが911 GT3だ。もちろんサーキットで全開走行してそのまま家まで帰れるだろうが、あきらかにほかの911とはステージが違うと感じた。隣の芝生は青く見えるというレベルではなく、ノーマルの911と911 GT3には同じType992なのに隔世の感があるのだ。
スポーツカー乗りはもちろん、911乗りすらその走りに嫉妬してしまう。それがType992の911 GT3なのだ。
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