ワットパフォーマンスは良好
最後に消費電力の話をしよう。まずシステム全体の消費電力をラトックシステム「RS-WFWATTCH1」で計測する。“アイドル時”とはシステム起動10分後の安定値を、“高負荷時”とは3DMark“Time Spyデモ”実行中のピーク値を示している。
消費電力が最も高かったのは多くのベンチにおいて首位に立ったRX 6500 XT。6ピンといえど補助電源コネクターを使っているのでこれは仕方がない。RX 6400はGTX 1050 Tiとほぼ同じ〜やや下といったところに納まっているが、GTX 1050 Tiよりもフレームレートで上回っていたことを考えるとRX 6400のワットパフォーマンスはRX 6500 XTはもとよりGTX 1050 Tiより優れている、ということになる。
最後にゲーム中のTBP(Total Board Power)をNVIDIA製の電力計測ツール「PCAT」で計測した。Rainbow Six Siegeでプレイヤー1人のみの対戦を立ち上げ、そこで静止した時のTBPを追跡した。グラフは1秒毎の移動平均でプロットしている。
今回試したASRock製RX 6400カードの場合、ゲーム中のTBPは平均50W、瞬間的な最大値でも57Wに納まっている。PCI Expressスロットからの給電で十分動くだけのことはある。
円安がなければ費用対効果最強のGPUになれたかも?
以上でRX 6400の検証は終了だ。フルHD、かつ画質中設定程度に抑え、描画負荷軽めのゲームを中心にすることで、RX 6400も十分実用になる。今回はあえてCPUをRyzen 5 5500にすることで比較的低予算なパーツ構成での可能性も示せたのではないか、と考えている。
ただ残念なことに円安がRX 6400の評価を大いに下げてしまっている。初値においてRX 6500 XTとほぼ同価格帯である点は非常に残念だ。RX 6400は補助電源コネクターが不要だったり、ロープロファイル版のカードも利用できるという強みはあるものの、やはり絶対的な安さを見せない限り手放しで賞賛するのは難しい。
GTX 16シリーズや10シリーズのエントリーモデルとも良い勝負をしているが、RX 6400やRX 6500 XTはハードウェアエンコード機能がないため、付加価値という点ではやや弱い。だが価格が安ければ許される。そういう厳しい評価をされる価格帯の製品だけに、今の円安傾向はただただ不運だとしか言いようがない。
とはいえ補助電源コネクターなしでDirectX 12 Ultimateに対応できるRX 6400は非常に貴重である。RDNA 2世代なのでRSR(Radeon Super Resolution)も利用できる。安価かつ最新世代のRadeonが欲しいなら導入を考えてみてはどうだろうか。
この連載の記事
-
第458回
自作PC
Arc B580のRTX 4060/RX 7600超えは概ね本当、11本のゲームで検証してわかった予想以上の出来 -
第457回
自作PC
インテル新GPU、Arc B580の実力は?AI&動画エンコードは前世代より超強力に -
第456回
デジタル
「Ryzen 7 9800X3D」は高画質設定でも最強ゲーミングCPUであることに間違いはなかった -
第455回
デジタル
「Ryzen 7 9800X3D」が最強ゲーミングCPUであることを証明する -
第454回
デジタル
性能が最大50%引き上げられたSamsung製SSD「990 EVO Plus」は良コスパSSDの新星だ -
第453回
デジタル
性能も上がったが消費電力も増えた「Ryzen 7 9800X3D」最速レビュー、AI推論の処理速度は7800X3Dの約2倍! -
第452回
自作PC
Core Ultra 200Sシリーズのゲーム性能は?Core Ultra 5/7/9を10タイトルで徹底検証 -
第451回
自作PC
Core Ultra 9 285K/Core Ultra 7 265K/Core Ultra 5 245K速報レビュー!第14世代&Ryzen 9000との比較で実力を見る -
第450回
デジタル
AGESA 1.2.0.2でRyzen 9 9950Xのパフォーマンスは改善するか? -
第449回
デジタル
Ryzen 9000シリーズの性能にWindows 11の分岐予測改善コードはどう影響するか? -
第448回
デジタル
TDP 105W動作にするとRyzen 7 9700X/Ryzen 5 9600Xはどの程度化ける? レッドゾーン寸前を攻める絶妙な設定だが、ゲームでの効果は期待薄 - この連載の一覧へ