小さいエンジンで大きなボディーを加速させる
ではパワーユニットを見てみましょう。ボンネットを開けたゆみちぃ部長は「エンジンちいさっ!」と驚きの声をあげます。このパワーユニットはダイハツ初となるハイブリッド。といっても、そこにはトヨタ由来のモータージェネレーターやバッテリーが使われているので信頼性は織り込み済みです。
一方、トヨタとちょっと違うのは、シリーズハイブリッドということ。つまりエンジンはジェネレーターを回す、いわば発電用として使う、他社でいうところのe-Powerみたいなものと言えば伝わりますでしょうか。その発電用エンジンが、脱炭素だ何だと言われている中において驚きの新開発! 1.2リットルの自然吸気3気筒エンジンは、なんと熱効率40%と世界トップレベルを達成したというから凄いの一言です。
ちなみにスペックを並べてみると、エンジン最高出力82PS(60kW)/5600rpm、エンジン最大トルク105N・m(10.7kgf・m)/3200~5200rpm。ただこれは走りには影響しないので、走行性能として見ると、モーター最高出力:106PS(78kW)/4372~6329rpm、モーター最大トルク:170N・m(17.3kgf・m)/0-4372rpmがライズ・ハイブリッドのスペックとなります。一見非力に思えますが、ライズの車体重量は1070㎏ですので必要にして十分すぎるほど。ちなみにライズのガソリン仕様車には4WD設定がありますが、ハイブリッドはFFのみの設定。
部員たちはパワーユニットに興味津々ですが、ゆみちぃ部長は、パワーユニットよりもラゲッジスペースが気になるお年頃。うしろに回ってチェックしてもらいましょう。
バックドアを開くと369リットルと大きな容積が姿を現します。なんと上位モデルともいえるヤリスクロスよりも荷室が多いのです! 注目すべきポイントはオプション(4万4000円)でAV100Vインレットが用意されていること。「これ、絶対に便利ですよね!」というわけで、ゆみちぃ部長のテンション爆上がりです。一方、部員Sは「これで4万4000円もするの?」と驚きの声をあげますが、いやいやコンセントだけでなくバッテリーの直流を交流に変換するDC-ACコンバーターとかも含まれているのですから、まぁそんなものかなと。最近パワー系ICは入手難だそうですし、この価格で提供できることが脅威です。
「この板は何ですかね?」とコンセントとは反対側の板をおもむろに取り外すゆみちぃ部長。すると出てきたのはパンク修理キット。「こんなところに置いているんだ」と部員一同は感心しきり。
ならばと、次はラゲッジボードを取り外します。今度は三角板などが姿を現しました。ガソリンのFFモデルはこの部分も大きなラゲッジスペースになっています。
後席のシートを倒すと、さらなる荷室空間が出現。ほぼフルフラットなのですが、よくみると運転席側が上がっている模様。それはすなわち「私が寝っ転がっての写真は撮れませんね」というわけで、普通に足を延ばした状態でパチリ。女の子がうつ伏せで寝っ転がっている写真が撮りたい部員Kは、まったくもって面白くありません。自動車メーカーの皆様、クルマを作る際は「完全フルフラット」にしてください。でないと、女の子が寝っ転がった可愛い写真が撮れません。ということで、「細かいところもちゃんと撮れ」ということで、ラゲッジだけで撮影カット数がなんと10枚! やりすぎですって……。
気を取り直して後席をチェックしてみましょう。「シックな感じですし、天井高も十分ですね。小さいのは仕方ないとしても、閉塞感や圧迫感はそれほどありません」とゆみちぃ部長のチェックは、回を増すごとに的確になってきます。ASCII名物USBチェックも欠かせません。「ちゃんと2系統ありますね」「Type-Aが2つ。出力は2.1Aですからスマホやタブレットを充電するなら十分ですね」。とても女子の会話とは思えません。我々の教育の賜物です。
運転席も確認。「赤い差し色がスポーティーですね。ちょっと角ばった感じがエクステリアと同じ印象を与えますね」ということで、こちらもおおむね好評。注目なのが従来のモデルにあったサイドブレーキのレバーがなくなって、電子サイドブレーキとなったこと。それに伴い、オートブレーキホールド機能が搭載されました。つまり交差点でもフットブレーキを踏み続けなくてよい、ということです。ゆみちぃ部長は、オートブレーキホールドに慣れていないようですが、これ使うとやめられないんですよ。
操作系をチェックしてみましょう。ステアリングホイールは3本スポークでステアリングリモコン付き。左手側がオーディオ、右側がクルーズコントロール系です。クルーズコントロールは全車速追従機能付きで、高速道路もラクラク快適。ステアリング調整はチルト(上下)のみでテレスコピック(前後)機能がないのはちょっと残念なところ。
メーターはLCDとセグメントLEDなどを用いたもの。タコメーターのかわりにつけられたハイブリッド車ではおなじみのパワー計の表示がちょっとユニークです。燃費は街乗りメインの取材時において23.6km/Lを記録。これはかなり優秀といえそうです。
ハンドル右側にはTCSやパーキングセンサーのオンオフボタンを配置。ほかのクルマでは見当たらないものとしては、S-PDLというボタンでしょう。これをオンにするといわゆるワンペダル動作になります。これについては試乗部分でご紹介します。
ペダル類は、ややアクセルが小さく、そして右側に寄せた配置。いわゆる踏み間違え防止の観点から、このような配置になっているのでしょう。ですがブレーキペダルに右足を置き、かかとを接地させたまま足首をひねってアクセルを踏む、というペダルワークをされる方には、ちょっと届かない場合があるかも? ようするに教習所の教えどおりに、アクセルとブレーキはちゃんと踏みかえましょう、ということです。
ドアリモコンまわりで不足する機能や目新しい機能はありません。ハンドルノブの形状からサイドミラー調整が少しやりづらいかな、と思う程度です。そんなに頻繁に触るものではないので目くじらを立てることもないでしょう。
続いて収納です。ここでゆみちぃ部長から「どうしてこんなにドリンクホルダーがあるんですか?」という素朴な疑問が。たしかにいたるところにドリンクホルダーが用意されているという印象。実際はドリンクホルダー兼小物入れなのでしょうけれど「わたしゃ、そんなに水飲めませんよ」とゆみちぃ部長は笑いながら、こっちにコーラ、こっちに水、こっちに紅茶……と妄想したり。そして「助手席の小さなポケットは何ですかね?」と赤い収納に注目。スマホを置くにしてはすぐに転がりそうですし、薄型のボックスティッシュを入れるんですかね? よくわかりません。
インフォテインメントディスプレイがあれば、触らずにはいられないASCII.jp自動車部の定め。徹底的にいじり倒し、徹底的に写真を撮ることになります。まず気づいたのは、これがディスプレイオーディオ、つまりスマホとつなげないとナビとして機能しないということ。スマホと接続すると、Apple CarPlayもしくはAndroid Autoが起動し、ナビだけでなく音楽再生などのエンターテインメントも楽しめます。トヨタのディスプレイオーディオというと、スマートデバイスリンクが頭に浮かぶのですが、こちらは非対応の様子。
「イマドキっぽいじゃないっすか」という部員S。ですが部員Kは「これ……14万7400円もするみたいですよ」とポツリ。そうです、意外とお高いのです。設定画面を開き、車両設定ができるのかと思いきや、そういったものは見当たりませんでした。「だったら社外品を選んだほうが安上がり!」と思ったのですが、このディスプレイオーディオ代の14万7400円には、スマートパノラマパーキングアシスト(駐車支援システム)やパノラミックビュー、そしてステアリングスイッチも含まれています。これをどう考えるか、ですね。
運転席側のUSBもチェック。USBはType-Aのレセプタクルで、隣にはHDMI端子が設けられていました。国産車はHDMI端子を取り付ける車種が多く、逆に輸入車にはないのですが、このHDMIを使ったことがない部員Kは「どういう目的で使うんだろうか?」とふとした疑問がよぎりました。
運転支援「スマートアシスト」は進化し、衝突回避警報機能と衝突回避支援ブレーキが夜間の歩行者にも対応するなど、全19装備を搭載。一方で、最近のクルマに装備されているSOSボタンなどは見送られたようです。

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