最新パーツ性能チェック 第367回

ゲーム性能からクリエイティブ性能まで、インテル/AMD最上位CPUを比較

Core i9-12900KS最速レビュー！最大5.5GHzの第12世代Core最上位CPUはライバルを圧倒する？

「PCMark 10」ではあまり伸びない

　総合ベンチマーク「PCMark 10」では差が出るだろうか？これまでのベンチと異なりCPU負荷の軽い処理が多いため、Core i9-12900KSの最大5.5GHzというクロック数が活きるのかに注目したい。テストはゲーミング以外の処理で比較する“Standard”テストを実施した。

「PCMark 10」Standardテストのスコアー。総合（Standard）の他にテストグループごとのスコアーも比較している

　全般的にCore i9-12900Kに対するCore i9-12900KSの伸びは小さい。総合スコアーで約2％増、テストグループ別にみても約1〜3％増と微妙もいいところだ。最大ブーストクロックの上昇でCINEBENCH R23でのシングルスレッド性能向上は観測できたが、ライトユースではその差を感じることはほぼない、と言ってよいだろう。

　一方、Ryzen 9との差はかなり大きい。DDR5メモリーを使っているという要素もあるが、Core i9-12900KSはRyzen 9 5950Xに対し、総合スコアーで約9％の差を付けている。テストグループ別にみると、Productivityでは8％、DCC（Digital Content Creation）では12％と、特に大きい差を付けている。

「PCMark 10」Standardテストで実施されるEssentialテストグループのスコアー

　一応テストグループの細目別にも軽く目を通しておこう。まずはEssentialテストグループだが、アプリの起動時間（App Start-up）のようにCore i9-12900KSのクロックの高さがまったく発揮されないテストもあった。このグループでCore i9-12900KSが気を吐いているのは、Firefoxを使うWebブラウジング（Web Browsing）テストで、Core i9-12900Kに対して約3％（だけ）伸びている。

「PCMark 10」Standardテストで実施されるProductivityテストグループのスコアー

　続いては、LibreOfficeを使ってテストするProductivityテストグループ。表計算（Spreadsheet）でCore i9-12900KSとCore i9-12900Kの差が約5％になった。今回のPCMark 10での検証では、このテストがCore i9-12900KSとCore i9-12900Kでもっとも差がついたテストだった。

「PCMark 10」Standardテストで実施されるDCC（Digital Content Creation）テストグループのスコアー

　写真編集やCGレンダリングなどでテストするDCCテストグループでも、Core i9-12900KSはCore i9-12900Kに対して誤差程度のスコアー（約1〜2％）しか増えていない。Ryzen 9 5950Xに対してなら、Core i9-12900KSのほうが最大28％程度高いスコアーを出している（Rendering and Visualization）が、逆にRyzen 9 5950Xの方がスコアーで上回るテスト（Photo Editing）もあった。

「UL Procyon」のOffice 365では
Core i9-12900KSが伸びまくった

　続いては、実際のアプリを動かして性能を見る「UL Procyon」を使ってみよう。まずは「Lightroom Classic」と「Photoshop 2022」を動かす“Photo Editing Benchmark”を実施する。

「UL Procyon」Photo Editing Benchmarkのスコアー

　PCMark 10でCPU負荷が低い状況では、ただクロックが高くても空振りに終わることが多いという知見を得たが、Photo Editing Benchmarkの結果からもそれが裏付けられた。Core i9-12900Kに対するCore i9-12900KSのスコアーは、どのテストでも1％程度しか伸びていない。

　ただ、ライバルであるRyzen 9 5950Xに対しては総合スコアー（Photo Editing）で約9％、Lightroom Classicを使うBatch Processingで約13％も上回っている。Core i9-12900Kでも、Ryzen 9 5950Xと比較して総合約8％、Batch Processingで約12％上回っている。これはDDR5メモリーの存在が極めて大きい。

　続いては、Word/Excel/Powerpointを動かす“Office Productivity Benchmark”のスコアー比較だ。Office 365を実際にセットアップして検証している。

「UL Procyon」Office Productivity Benchmarkのスコアー

　こちらのテストの方が、Core i9-12900KSとCore i9-12900Kの性能差が大きい点に注目だ。総合（Office Productivity）で約6％増、最も伸びなかったExcelでも約5％増となった。また、こちらのテストもRyzen勢に対してCore i9勢は大差を付けている。Core i9-12900KSはRyzen 9 5950Xに対して、総合で約17％、Excelで約23％高いスコアーを出した。