これからICTを導入しようとしている介護施設・事業所にうってつけなツールがLINE WORKSだ。導入企業はすでに35万社以上という国内市場でトップシェアのビジネスチャット(※)だ。介護業界でも導入する施設・事業所が増えていて、介護スタッフの募集や定着にも効果アリという声もある。今回はマルチタスクをこなすケアマネジャー(介護支援専門員)の利用法についてリポートする。
※富士キメラ総研「ソフトウェアビジネス新市場2018~2021年版」調べ
ケアマネジャーの間で利用が進んでいる
介護業界におけるLINE WORKSの利用が拡大している。介護施設・事業所内の通信ツールとして使われるだけでなく、日々多くの業務を抱える多忙なケアマネジャーの間でも利用が進んでいる。神奈川県横浜市の居宅介護支援事業所「ケアまりーん横浜」のケアマネジャー、中山晋典(しんすけ)さんもユーザーの一人。どのように活用しているかお聞きした。
事務所で働く全員がすぐに使いこなせるように
──ケアマネジメントの業務にLINE WORKSを導入した経緯を教えてください。
私が所属する「ケアまりーん横浜」では、新型コロナウイルス感染症の予防のため事務所が密の状態にならないようテレワークを交えて仕事をすることにしましたが、その際、連絡ツールをショートメールからLINE WORKSに切り替えました。事業所にはICTが得意ではない者もいましたが、なじみのあるLINEと似たインターフェースのため、全員がすぐに使いこなせるようになりました。
──事業所内ではどのように利用していますか。
3名のケアマネジャーは法人のスマートフォンで、事務担当者は事務所のPCで利用しています。「トーク」を連絡で利用するほか、研修の告知を「掲示板」に載せたり、訪問予定を「カレンダー」の機能で共有したり、といった使い方をしています。
──事業所内の利用で期待されることはありますか。
私としては紙の使用量を減らしていきたいと思っています。ケアマネジメントの仕事はサービス計画書や契約書、報告書など大量の紙を消費します。紙のまま保管するのは大変なのでスキャンして破棄していますが、破棄にもコストがかかります。これだけカーボンニュートラルが叫ばれる時代に、介護業界だけ、いつまでも遅れを取っているわけにはいかないと思います。
やり取りが記録として残るのが便利
──外部の事業者とはどのようなやり取りをされていますか。
仕事でお付き合いのある事業所の方々に「LINE WORKSで連絡できるようになりました」とお知らせしたところ、福祉用具貸与の会社3社やホームヘルパーの事業所(訪問介護事業所)とつながることができました。「トーク」で訪問のアポを取ったり、住宅改修工事の申請の書類をPDFにして送ったりしています。
──LINE WORKSで外部の事業者とつながることでどのような成果が得られましたか。
業務効率が格段に良くなりました。以前は書類を郵送していたりして1週間ほどかかった作業が、LINE WORKSなら1日で済んだりします。保険情報やケアプランなど利用者に関する情報を共有していますが、やり取りが記録として残るのは便利です。多くの利用者を担当しているケアマネジャーは常にマルチタスクで動いているため、情報の整理が大変になりがちです。やり取りした内容を簡単に見返せるのも助かります。電話でのやり取りを書き留めたメモが見当たらなくなるという“ケアマネあるある”も解消されます。FAXなどと比べてもレスポンスの良さがまったく異なるので今後、つながれる事業所がもっと増えれば、と思っています。
利用者やその家族などとの連絡
──介護保険サービスの利用者のご家族との連絡には用いていますか。
現在、私個人は10組ほどのご家族のLINEとLINE WORKSでつながっています。居宅介護支援事業所のケアマネジャーとして原則的に月1回以上利用者の自宅をうかがうので、訪問日時の連絡などで役立っています。家族の中には遠方に住んでいるとか日中仕事で忙しいという方も多いのですが、こうした方々とLINEでいつでも連絡が取れる環境ができて非常に楽になりました。また以前は、家族のうちキーパーソンになる方とだけやり取りしていましたが、その方に伝えても他の家族が聞いていなかったとか、「14時に訪問します」と伝えたのに、午後4時に間違えられたといったミスの可能性がありましたが、LINE WORKSとLINEのグループトークであればつながっている家族全員が同じ情報を受け取れるので、こうした問題も減らせます。スタンプを使ってほっこりするような感情を込めたコミュニケーションがとれるのもいいですね。メールなど文章だけでやり取りするとどうしても冷たい印象になりがちですし、言いにくい・伝えにくいといったところから行き違いも起こりやすいように感じます。
──利用者やその家族の反応はどうでしょうか。
先日、満足度調査を実施したのですが、LINE WORKSでのやり取りの満足度についてお聞きしたところ、「満足」と「おおむね満足」を合わせると100%という結果でした。
ICT化を進めるには現場が使いやすいことが重要
──政府は介護現場の生産性向上のためにICT化を推進しようとしています。これについてはどのように受け止めていますか。
ケアマネジャーが多忙であり、介護業務の効率化を図る必要があることは事実です。介護保険がスタートして22年経ちますが、居宅介護支援事業所の仕事のやり方はほとんど変わっていません。いまだにFAXが広く用いられていますが、誤送信のリスクもありますし、手間がかかります。個人情報が記載されている書類の名前をいちいち黒く塗りつぶしてから送ったり、送信してから「届きましたか」と確認の電話を入れたり……。現場の実感としてもICT化の流れは必然かと思います。とはいえ、ICTのツールを導入しても使わないのでは意味がありません。その点、LINE WORKSは広く普及したLINEと使用感が近く、容易に扱えます。私たちは日々活用していますが、居宅介護支援事業所だけでなく、地域包括支援センターや施設ケアマネジャーにとっても地域に情報ネットワークを構築したり、医療機関と連携したりするうえで有効なツールになるはずです。
確かな情報共有にはLINE WORKS導入がおすすめ
この連載では、これまで23回にわたり介護分野におけるLINE WORKSの活用の最新事情を伝えてきた。政府は介護現場のICT化を一気呵成に進めようとしている。ケアマネジャーについていえば、担当できる利用者は40件未満としていたが、ICT機器導入などを要件に45件未満に拡大している。こうした流れをみれば、施設・事業所の運営を考えても対応は避けられないことは明白だ。ICT化に踏み出そうとするとき、UI(ユーザーインターフェース)に優れ、業務を遂行するコミュニケーションに必要な各種機能が盛り込まれたLINE WORKSの導入は確かな一歩となるはずだ。
多くの介護・福祉事業所が導入しているLINE WORKS事例集のダウンロードはこちら
LINE WORKSを提供しているワークスモバイルジャパンでは、介護・福祉事業者向けにLINE WORKSデモ体験セミナーを開催している。ぜひ参加してみよう。
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