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ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第650回

Alder Lake-HはIntel Arcと連動させてエンコードを高速化できる インテル CPUロードマップ

2022年01月17日 12時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/) 編集●北村/ASCII

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EvoプラットフォームにHシリーズが追加
Intel Arcの搭載が前提で内蔵GPUと連携できる

 CESの発表記事ではIntel Evoプラットフォームが第3世代になった話が触れられたが、そのEvoプラットフォームにHシリーズが加わった。

EvoプラットフォームにHシリーズが加わった。ただし、DG2-128クラスではローエンドGPUには競合できても、NVIDIAのGeForce RTX 3080クラス、AMDのRadeon RX 6800Mクラスには厳しいところで、こうしたゲーミングノートはIntel Evoから外すのか、それともDG-512ベースのモバイルGPUまで投入されるのか、少し興味がある

 これが興味深いのはIntel Arcの搭載が前提になっていることだ。このIntel Arcに関しては「まだ発表前の製品なので詳細は一切公開できない」ということで堅いガードがかかっているのだが、基調講演の中で同社のLisa Pearce氏(VP&GM, Visual Compute Group)が、Deep LinkはDynamic Power Share、Hyper Encode/AI-Enabled Editing、Gaming Mobility&Battely Life、Streaming Performanceの4つの柱で構成されると語っている。

Deep Linkの4つの柱について語るのは基調講演の22分30秒頃から

 ただ基調講演ではこのうちHyper Encodeのみしか説明されなかった。Hyper Encodeは要するにAlchemistに内蔵されるエンコードエンジンと、Alder Lakeに内蔵するIris Xeのエンコードエンジンの両方をDeep Link経由で連動させることで、エンコードが高速化できるという話である。

左はAlchemist単独でエンコードした場合、右はHyper Encodeを利用した場合。左はまだエンコードが58%しか終わっていないのに、右はエンコードが終わっている

 その他の機能については基調講演で細かく触れられなかった。ということでColin Helms氏にいろいろ質問したが、長くなるので箇条書きにする。

Q:Deep LinkはHシリーズのみで利用できる機能か? またIntel Arc以外のGPUでも利用できるのか?

A:Hシリーズ以外にUシリーズやPシリーズ、デスクトップのAlder Lakeに加え、第11世代CoreプロセッサーでもディスクリートIntel Arcと組み合わせることで利用可能である(逆に言えば、AMDやNVIDIAのGPUでは利用できない)。

Q:AI Engine enhancementというのは、Intel ArcがCPUコアと連動するという意味か、それともCPUに搭載されるGNAと連動するという意味か?

A:XeSSはIntel Arc GPUのXMX(Xe Matrix eXtentions)コアを利用する。XMXは畳み込み演算と行列演算を高速化するものだが、われわれは競合他社の製品を含む広範なハードウェアでXeSSを実現している。これはIntel ArcやIris Xeを含む幅広いハードウェアで利用可能なDP4A命令を使用することで可能となった。

Q:GamingのところでMobilityとBattery Lifeに関しての言及があったが、単にバッテリー寿命を延ばすという話なのか、それともIris XeとIntel ARCが連携することでゲームの処理性能そのものを高めることが可能なのか?

A:Deep Linkのフルセットの機能では、ゲーマーやクリエイターにより多くのものを提供する予定である。これはストリーミングの作業負荷をディスクリートのIntel ArcからCPU側の統合GPUに肩代わりさせることで実現し、ディスクリートIntel Arcをゲームの処理に集中させることが可能になる。これに関しての詳細は後日公開する。

 少なくとも現状の話を聞く限り、以下のようだ。

  • Tiger Lakeの第11世代Coreと、Alder Lakeの第12世代CoreはIntel Arcとの間でDeep Linkと呼ばれる機能を利用できる(Rocket Lakeは不明:なんとなく厳しそうな気はするが)。これを利用してディスクリートGPUと内蔵GPUを連携させられる。
  • NVIDIAのSLIとAMDのCrossFireに相当する、描画性能そのものの分散はサポートしていない模様。ただしストリーミング処理の作業負荷分散はサポートしている。

 このストリーミングとはなんだ? という話であるが、YouTubeのIntel Gaming Channelで公開されている、DrLupo氏とRaja Koduri氏の対談の14分目あたりから少しヒントが出ている。

 要するにゲームをしながら、その様子を例えばOBS(Open Broadcaster Software)を使って配信するというケースでは、GPUはゲームそのものに加えOBSの処理も必要になってくる。こうした場合にOBSの処理は内蔵GPUで行ない、ディスクリートのIntel Arcはゲームに専念させることが可能になるという意味合いのようだ。

 ということで、似たものを挙げればAMDのSmartAccessに近い機能を提供するもの、ということに思える。ただSmartAccessと異なるのはデスクトップ向けも対象になるというあたりであろうか。

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