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最新パーツ性能チェック 第359回

人気ゲームタイトルのプレイ+録画/配信、動画編集/エンコード、RAW現像まで!

第12世代Coreはゲーム最強!? 12900K/12700K/12600Kのゲーミング&クリエイティブ性能を徹底検証

2021年11月26日 11時00分更新

文● 加藤勝明(KTU) 編集● ジサトラユージ/ASCII

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ゲーム中の消費電力に注目

 EコアとPコアに処理を振り分けるハイブリッドデザインによって、些末な処理に消費電力の大きいPコアを動員するよりも、Eコアにやらせたほうが全体のワットパフォーマンスが向上するとインテルは主張する。前回は単純に「OCCT Pro」で全コアに高負荷をかけたが、重い処理と軽い処理が同居するようなシチュエーション(つまり、ゲーム中)では消費電力はどう変動するだろうか。

 Rainbow Six Siege(R6S)とFar Cry 6(FC6)をそれぞれプレイ状態にし、視点はそのままで5分放置した時の安定値をラトックシステム「RS-WFWATTCH1」を使って比較する。さらにHandbrakeによるエンコード中(x264)の値も加えた。比較を容易にするため、前回の結果(アイドル時およびOCCT時)の結果と一緒に見てみよう。

ゲーム中およびHandbrakeによるエンコード中のシステム全体の消費電力。すべて安定値を掲載している

 OCCT時は300W近くまで上がる第12世代のCore i9/i7だが、Rainbow Six Siegeプレイ中ならむしろRyzen 7/9の消費電力のほうが高い。Far Cry 6プレイ中で比べても、第12世代のCore i9はRyzen 9勢より大幅に低く、Core i7はRyzen 7と同等だ。

 ゲーム中の消費電力の半分以上はGPUだが、同じ描画負荷をかけ続けてもCPUの設計の差(+マザーボードとメモリーの差もあるが)が消費電力に影響を与えている。第4世代Ryzenの場合、重要な処理も些末な処理もすべて高性能コアで処理しているため、かえって消費電力が増えてしまっていることが示されている。

 なお、Handbrakeの消費電力では第12世代Coreが異様に低い値を示しているが、これは前述の通り、第12世代CoreのEコアしか使われていないためだろう。また、今回アイドル時の消費電力は第4世代Ryzenが80〜100W弱と高めだが、これは検証時に使用したBIOSの影響によるものだ。BIOSによりアイドル時の消費電力が大きく変動する点は、AMDもしくはマザーメーカーには改善をお願いしたい……。

Windows 10でもITDはしっかり機能しているが、
Handbrakeのようにまれに不具合も起こす

 前回の検証では、第12世代CoreはCINEBENCH R23最速の座を奪還したと同時に、単純な計算タスクにおける消費電力はこれまでになく高い値を示した。今回のクリエイティブ系アプリの検証では、Media Encoder 2021やHandbrakeなどまだRyzenが粘るシチュエーションもあったが、Lightroom ClassicでのRAW現像では第12世代Coreがとんでもなく良い結果を残した。

 ゲームでもRainbow Six SiegeやApex Legendsといった性能が出ないものはあったが、Far Cry 6、Cyberpunk 2077、Civilization VIなど引き上げるのが難しい最低フレームレートを大きく引き上げたゲームも確認できた。特にゲームにおいては、インテルの悲願である「世界最高レベルのゲーミングCPUを作る」は、完璧とはいかないまでも一応は達成できたと言ってよいだろう。

 さらに、これまで上位CPUにしかまともにハンドリングできなかった“ゲームの裏でOBS Studioを使った録画&配信処理”においては、第12世代ならCore i5でもこなしてみせた(例外も観測できたが)。CPUの“粘り”という観点においては、旧世代どころかライバルAMDの現行製品に対しても大きなアドバンテージがある。

 筆者としてはやはり第12世代Coreの真の価値は、PCゲームシーンにあると考える。Eコアに些末な処理を振り分けてPコアを可能な限りフリーハンドにすることと、HTで増えた論理コアには負荷を極力かけないという運用が特徴だ。前者は突発的に負荷が高くなっても処理性能の高いPコアで余裕をもって処理でき、後者はコアの実体と分身を同時に使わないようにすることで、Pコアの処理効率をより高めることを意図している。

 この設計思想にハマるゲーム(ゲームに限った話ではないが)なら第12世代Coreは強い。一方で、そうでない処理が多いゲームだとやや精彩を欠くといったところだが、インテルは当然ゲームをどう最適化すれば良いかのノウハウを公開しており、今後ゲームエンジンやデベロッパーがそれを吸収すれば、より第12世代Coreに有利な状況になることだろう。

 だが、第12世代Coreの最大のネックはDDR5メモリーの供給にある。発売から2週間以上経過した時点でも、 CPUやマザーボード(これも品薄気味だが)は手に入るものの、DDR5メモリーは入手困難である。モジュールメーカーによれば、DDR5のチップは潤沢にあるものの、DDR5モジュールの要であるPMIC(Power Management IC)が圧倒的に足りないからだという。

 しかし、第12世代CoreはDDR4メモリーも利用できる。第12世代CoreとDDR4メモリーの組み合わせでは、DDR5メモリーを組み合わせた時よりも性能が下がることがインテルから示されているが、どの程度落ちるのだろうか? 次回はそこのところを掘り下げてみたい。

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