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連載:今週の「ざっくり知っておきたいIT業界データ」 第4回

IT市場トレンドやユーザー動向を「3行まとめ」で理解する 10月16日~10月22日分

テレワーク率は約2割で定着、プライベートクラウド市場は35%成長、年末商戦動向、ほか

2021年10月25日 07時00分更新

文● 末岡洋子 編集● ASCII

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 本連載「ざっくり知っておきたいIT業界データ」では、過去1週間に調査会社などから発表されたIT市場予測やユーザー動向などのデータを、それぞれ3行にまとめてお伝えします。今回(10月16日~10月22日分)は、国内プライベートクラウド市場、テレワーク、シェアリングエコノミー、年末商戦などのデータを見てみます。

■[クラウド]2021年の国内プライベートクラウド市場は前年比35%増の1.2兆円に(IDC Japan、10月18日)
・2021年の国内プライベートクラウド市場は、前年比35.8%増の1兆2216億円と予測
・2020~2025年は年間平均成長率(CAGR)25.3%で推移、2025年には2兆7815億円に(2020年比3.1倍)
・遅延していたシステム刷新、新規プロジェクトの再開などが成長を牽引

 国内パブリッククラウド市場は2021年、コロナ禍で一旦停止していたプロジェクトが動き出したことで、前年比35%の高い成長を見込む。IDC Japanでは「クラウドファースト戦略」が浸透し、プライベートとパブリックの両クラウドがもたらす効果を「丁寧に比較」する傾向も指摘している。ベンダーに対しては、パブリッククラウド同様に、プライベートクラウドでもユーザーにコストの最適化を支援することが求められていると提言している。

国内プライベートクラウド市場は、2025年には2020年比3倍の2兆7815億円に(出典:IDC Japan)

■[仕事・働き方]宣言解除後もテレワークは2割で定着~第7回「働く人の意識調査」(日本生産性本部、10月21日)
・景気見通しに楽観的な人(「良くなる」「やや良くなる」)が、コロナ禍以降最多
・テレワークの実施率は22.7%、2020年7月から2割前後で定着
・メンバーシップ型雇用の希望者は35.1%、ジョブ型雇用は64.9%

 コロナが働く人の意識に及ぼす影響についての調査。2020年5月から継続して調査しており今回は7回目。10月11、12日に日本の企業・団体で雇用されている人1100人を対象に聞いた。緊急事態宣言解除後の調査であるものの、テレワーク実施率は22.7%であったことから「一定の定着がみられる」と評価。希望する働き方は、全体としてはメンバーシップ型が少ないが、企業規模が1001名を超えるとメンバーシップ型の希望者が52.7%と大きくなる。

テレワークの実施率は20%前後で定着している(出典:日本生産性本部

青がメンバーシップ型、黄色がジョブ型。企業規模により比率が大きく異なる(出典:日本生産性本部

■[セキュリティ]ソフトウェアの脆弱性関連情報の届出、第3四半期は合計210件(IPAとJPCERT/CC、10月21日)
・脆弱性関連情報の届出件数は210件、ソフトウェア製品に関するものが96件、Webサイトに関するものが114件
・脆弱性修正完了後に脆弱性対策情報サイトJVNで公表したソフトウェア製品の件数は34件(累計2316件)
・届出を受理してからJVN公表まで45日以内は10件

 情報セキュリティ早期警戒パートナーシップに基づき、IPAとJPCERT/CCが7月1日〜9月30日(3Q)の脆弱性関連情報に関する届出状況をまとめたもの。本四半期は届出件数に大きな増減はなく、ソフトウェア製品とWebサイトを合わせて210件。脆弱性の修正完了(JVN公表)は34件、うち9件は製品開発者による自社製品の脆弱性届出だった。調整機関から連絡が取れない製品開発者(「連絡不能開発者」)では1件が連絡が取れて進展、新たな公表はゼロだった。

脆弱性の届出件数は前四半期より微増している(出典:IPA、JPCERT/CC)

■[ビジネス]約半数がシェアリングエコノミーを認知、利用経験者は初の2割に(PwC Japanグループ、10月19日)
・「シェアリングエコノミーのサービス」の認知度は49.9%
・シェアリングエコノミーサービスの利用経験者が初めて20%を上回る(21.6%)
・シェアリングエコノミーの発展が「自分に影響を与える」は52%

 PwC Japanが2017年より実施するシェアリングエコノミーに関する国内調査。今年は6月末から7月1日にかけて、16歳~70代の男女に聞いた。サービスカテゴリを見せながらシェアリングエコノミーの認知を聞くと、2017年は30.6%だったのが2021年は49.9%に、利用経験者は21.6%だった。最も認知が多いカテゴリは「モノ」。利用したいカテゴリは「移動手段」が最多で38.9%、前年からの最も増加したのは「スキルや労働力」だった。自分への影響としては「節約」「便利」「選択肢の多様化」などが上がっている。

シェアリングエコノミーのサービスの利用経験を子供の有無、世帯年収でみた図(出典:PwC Japan

利用するメリットは、全カテゴリで「金銭的な節約」がトップ(出典:PwC Japan

■[生活]2021年の年末商戦、米国のオンライン売上高は過去最高の9100億ドルと予測(Adobe、10月21日)
・年末のホリデーシーズン(11月1日~12月31日)のオンラインショッピングの売上高は過去最高の2070億ドル
・米国の消費者がギフトに選ぶのは物販商品が51%、17%が体験(コンサートチケットなど)
・日本ではオンライン売上高は12.4兆円、前年比2%増と予想

 Adobeのグローバル調査。ブラックフライデー、サイバーマンデーを含む米国の年末商戦は今年もオンラインが前年比10%増で増える。コロナ禍で初の年末商戦だった昨年は前年比33%増だった。日本は12.4兆円で、前年比2%増。2019年比では27%増となった。全世界ではオンラインの売上高は9100億ドル、2021年通年のEC市場は4兆ドル越えを予想している。一方で、「EC普及により特定のショッピングデーの感覚が薄れつつある」とも指摘。

米国のホリデーシーズンのオンラインショッピングの売上高は2021年、2070億ドルを予想(出典:Adobe)

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